劇団やりたかった「ねえ、お化粧して首に境目できてるよ」小劇場に慣れてる人に観てほしい、感情キャッチボールコメディ
どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
劇団やりたかった 第12回公演 |
「ねえ、お化粧して首に境目できてるよ」 |
脚本 かぐやまふたみち |
演出 YammerSunshine |
2019/01/17 (木) ~ 2019/01/29 (火) 参宮橋TRANCE MISSION |
観劇した日時 | 2019年1月22日 19時00分〜 |
価格 | 3500円 全席自由(事前にネット予約) |
上演時間 | 97分(途中休憩なし) |
Corich満足度 | ★★★★☆(4/5点満点) |
客席の様子・観劇初心者の方へ
役者の知り合いの方が多い印象でしたが、終演後、隣の席でたまたま感想を会話した方は、癖になって通っている方でした。
初心者でも安心して観劇出来ます。
一方、この作品は、演劇慣れしている人にこそ、ぜひ観てもらいたい芝居かもしれません。癖になる感覚があります。
劇団やりたかった?
ホームページにはこんな劇団紹介があります。
2013年旗揚げ。最初の公演は二人の観客を前にひとり芝居をする。じょじょにファンを獲得し、現在は年二回のロング公演をおこなう。台本にあった配役を毎回オーディションにより選出。台本は半年前に配られ徹底した役作りに重きをおき、どこまでが台本でどこまでがアドリブかわからないとの評価を得ている。年齢を重ねたからわかる笑い、ふふふ、ぷぷぷとなる笑いが特徴。
という事で。
女優さんが団長をつとめる劇団のようで、座付き作家、座付き演出家さんがそれぞれ専属でいる豪華な劇団。詳細は分かりませんが、今回の座組に参加されて要る方は、社会人が主かもしれません。忙しい中で、じっくり時間をかけた舞台創りは、期待が持てます。
事前に分かるストーリーは?
チラシやホームページには、こんな記載がありました。
喪服姿の四人。清めの塩がないので玄関に入れないところから物語は始まります。亡き母親の人柄のせいか重い雰囲気はありません。
いつも控え目な長女、もてる次女、夢を追いかける三女、すっとこどっこいの四女。やがてお焼香をあげにくるそれぞれのボーイフレンドもシャツのボタンを掛け違えたような人たちで、一緒にいるこっちが間違っているような気分にさせられます。自分が自分であることにどこか絶大なる安心感を抱いているようです。
ぷぷぷとなる笑いで評価を受ける劇団やりたかったの第12回目の新作!
と、はちゃめちゃ四姉妹のお話のようです。チラシの写真を見ると、女性四人はアラフォーでしょうか。何だか、深いコメディが観れそうで、ワクワクします。
感想(ネタバレあり)
パンフレットのストーリーの通り、シチュエーションコメディ。
母の葬式の後、初七日、四十九日の三つの時間を切り取って、四姉妹と、その彼氏(候補)が何故か、故郷の実家の居間に一堂に集まって、それぞれ言いたい事を言う。物語としては、ただただ、それだけなんだけれども。
出てる人出てくる人、皆どこかピントがずれていて・・・要はどこかマトモじゃなくて、話が微妙に噛み合ってない。噛み合ってない「ズレ」の感を、傍から見ている観客は、気が付くと何だかクスクスと笑ってしまう。しかも、その「ズレ」の感覚が、観客それぞれ微妙に違う。客席が笑うタイミングも結構まちまち。あちこちから、思い思いの「クスクス笑い」。そんな、不思議な90分を過ごした感覚だった。誰も笑ってないのに、私だけ、笑いが止まらないシーンが何度かあって。なんとか無音で笑うの結構大変だったが・・・。ズレた笑が許される芝居なのは、素晴らしい。(後述の制作さんの前説もあり)
話の中で、テーマになっている一本の軸は、「三女」と「母」の関係。母が死ぬ間際の入院中も、三女の面会時、2秒で言い争いのケンカになっていた二人。
東京で役者をしている三女に、生きているときには、全く興味を示していなかったけれど。実は隠れて三女の芝居を観に行っていたりして。四女の失言で、それを知る三女。このストーリーが根幹に座ってくる。この主題で泣かせるだけ泣かすことも出来るけども、最後の「う~ボーン」っていうセリフは、もう見ていると、可笑しくて仕方なくて、笑いが止まらない。
というのも、コメディではあるものの、役者たち、特に主役の4人の感情と会話のキャッチボールが上手い。ボールがグローブに収まる「バチッ」ていう音が聞こえてきそうなくらいに(とはいえ、会話の内容は微妙にズレているんだけれど)。終演後、小田急の車内でよくよく考えると、この四人が「姉妹」であることを、その時まで、観客として片時も疑う事がなかった事に気づく。
全編通して、セリフを片耳で聞きながら、セリフを喋っていないときの演技を観ているのが、途中から楽しくなってしまった。もしこの演目をリピートしたら、喋っていない人だけを追っかけてしまいそう。
当日パンフがなく、役名と役者との対応付けが分からなかったけれど・・・。
三女「ウメちゃん」。顔の表情が凄くて、表情観ているだけでも笑ってしまう。叫ぶ感が強い役だったけれど、最後のシーンまでしっかりと物語を運んでくれた所がよかった。叫ぶシーンはうっすら泣いたけど、半分笑っているので、コメディだから泣くもんか、と思って留まったケド。
四女、あのポジションはズルいなぁと思いつつも。役者としては、姉さんたちの細かい感情をちゃんと拾っている様が好感。舞台の安定感を担う一人。
長女、「出会い系」を告白する様が、可愛い。・・・あの後、京都の彼に騙されてなければいいけれどw。
次女、ドアの前で塩を探しているシーンと、部屋に入った後のシーンの様子が全然違う・・・。「消しゴム」あーいいなーと思いました。チラシの紹介の「モテる次女」というより、「たぶらかす次女」感でした。
当日受付さん(制作さん?)、おそろいの可愛い服を着ていて、しかも接客の感じがいい。役者さんが受付しているのかな?と思ったけれど、舞台には登場せず。こんな好印象を持った開場は、そうそうない・・・けども。残念ながら、開演が5分押し。押すことは仕方ないにしても「まだ到着されていないお客様がいるのを待つ」という説明は、いろいろな意味で、出来れば聞きたくなかった。前説が上手い。「それぞれ、笑うポイントが違う」と説明するのはよかった。この芝居の性質をよく捉えている前説だった。
観劇慣れしている人が、更に感想を語り出したら面白くなる気がするが、twitterをみると、さほど感想が上がっていない。SNSハッシュタグなんかも決まってなさそう。せっかくのロングラン。もっとたくさんの人に観てほしい。
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