<観劇レポート>あんっ♡HappyGirlsCollection「泡雪屋流寓譚」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | あんっ♡HappyGirlsCollection |
題 | 泡雪屋流寓譚 |
脚本 | 夢乃屋毒花 |
演出 | 夢乃屋毒花 |
日時場所 | 2019/09/13(金)~2019/09/14(土) ザムザ阿佐谷 |
劇団紹介
公式な劇団紹介は見当たりませんでした。
不幸女子の人生ネタ帳
https://twitter.com/fuko_colle
事前に分かるストーリーは?
劇団ホームページには、こんな記載がありました。
開店して4年。盗撮くそ客や性的サービスを求めるくそ客などもいるが、良い固定客もつき細々ながら盛り上がりを見せるストリップ小屋泡雪屋。
看板娘の結婚。突然の引退宣言。懲りないくそ客。元カレへの怒り込める女。ヒモ男。亀。女たちは、絶望の荒野で踊る。
チラシの裏面にも、詳細な記載があります。
観劇のきっかけ
ツイッターで流れてきた情報が、少し気になっての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年9月13日 11時30分〜 |
価格 | 3000円 全席自由 (事前にネット予約) |
上演時間 | 105分(15分押含む・途中休憩なし) |
個人的な満足度 CoRichに投稿 | ★★★★☆ (4/5点満点) |
客席の様子
開場時間には、30代以上の男性の方が列を成していましたが、開演直前に一人で訪れる若い~アラサーくらいの女性が多くいて、結果的には5:5くらいでした。
観劇初心者の方へ
他の舞台に比べて、少し過激な要素が多いので積極的にオススメ、ではありません。ただ、特に怖い事や、客イジリもありませんでしたので、トライしても大丈夫な舞台です。事前にいろいろと「注意事項」が出ますので、守りましょう。
観た直後のtweet
あんっ❤️HappyGirlsCollection「泡雪屋流寓譚」105分、含15分押。
全体がストリップ劇場の設定。カオスだなぁ、カオス。お話ヅラは理解できるんだけどピンとは来なくて、女性特有のカタルシスなのかなぁと想像。体を張った演技は観ていてエロティック。更に表現のクオリティを上げれると観やすいかな。 pic.twitter.com/VB7VWlgcS1— てっくぱぱ (@from_techpapa) September 13, 2019
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
劇場全体が「ストリップ劇場」の設定。ステージはストリップ小屋、客はストリップを見に来たお客さん。そこで展開される、ストリップ嬢の物語。人気ストリップ嬢の美里が、同じくストリップ小屋に勤める山田と、結婚する。終演後の楽屋でプロポーズした山田。それを受け入れた美里。かつての山田の恋人で、いつしか関係が自然フェードアウトしてしまった暗子は、元カレのプロポーズを目の前で見せつけられて、落ち込んで。でも、自らのストリップに磨きをかける事で見返してやろうというエネルギーも湧いてくる。一方、美里。結婚相手の山田は「ストリップする君に惚れた」「結婚しても仕事を続けていい」と言っていたはずなのに、結婚が決まると豹変し。「お前が人様の前で股を広げているのは見ていられない」と、ストリップショーの最中に、彼女の引退を勝手に宣言してしまう。美里は、自己表現としてのストリップを続けるのが幸せなのか。結婚して家庭に入るのが幸せなのか。女の幸せとは何なのか。ラスト、結婚や家庭や男から自由になり、ヨボヨボのおばあちゃんになったストリップ嬢達が、皆の前で踊る。・・・と若干テーマの解釈も入れて強引にまとめると、こんなお話。
多分、この物語は、男性と女性で、大分感じる事が違うんじゃないか、という思いがある。あくまで男性視点での感想。加えて、全4ステージで、キャストがかなりシャッフルするので、私の見た回の印象だというのを付け加えておく。
全裸寸前の女性が、歌って踊ってっいてうのは、観ていて純粋に、エロくて楽しい。この女性、奇麗だなぁと思ってしまうと、つい目を奪われる。ストリップ小屋にに行った経験がないので、今回の芝居がどの程度ストリップと同じなのかは分からないが、女性の裸体を楽しむのは、真っ当な楽しみ方なのだとは思う。また、ストーリーラインには直接は絡んでこないが、女王様とM女性2人がいて、物語が進行している中で、舞台中央の吊台で緊縛が行われていて、こちらもエロい。舞台全体で、カオスとエロスを、全力で表現しているのは、純粋に楽しめた。
物語の主軸。結婚に代表されるような社会的な通念で、女性が活躍したり自己主張したりすることを、奪われる話、なのだと思う。テーマとしては、ストリップではなくてもきっと成立するお話なのだとは思うけれど、風俗嬢とかAV女優とか、いわゆる「社会から後ろ指さされる職業」を取り上げると、その事が顕著に出てくる、という事だろうか。その中の1つとしての「ストリップ小屋」なのだとは思う。
恥ずかしい話だが私自身、女性を制限したり、差別したり、見下したりという事を、男性の一人として無意識に、きっと、やってしまっていると思う。その通念に普段どっぷり漬かっているからだろうか、話の流れとテーマは理解しているつもりでも、直感的に「ピン」と来る理解が出来なかった。客席が、割と女性が多かったことが意外なのだけれど(ストリップ小屋なのに!・・・ストリップ女性も見るとは聞くけれど、ここまで多くはないよね)、制限される側、差別される側の共感を基にこの話は展開している事への共感からなのではないか、というような事を思う。エロの表現がもう少し少なければ、そこに集中できたのかもしれないけれど・・・、いかんせん、私は男。どうしてもエロい方に心を奪われてしまう。
深読みかもしれないが、この「男女の視点の差異」は、創り手側の作為で、男性と女性とで、感じる事が変わるように配置しているのだと考える。そう考えると納得だ。要は「男って単純ね」と言われているのだけれども。・・・その時、疑問なのは、エロティックな表現は、女性にとってどう映っているのだろうか、という事。「元始、女性は太陽であった」的な、解放の象徴としてのエロスなのだろうか、あるいは、「ホラー映画のファンは女性が多い」的な意味でのエロスなのだろうか。この域に入ると、もう想像しかできない。女性の人、教えてほしいけれど、きっと単純な男には、教えてもらえないのかもしれない。
そんな断絶を感じつつ。演劇の表現としては、とてつもなく「粗さ」が目立った。開場・開演共に15分押しはまだしも、舞台全体の動きや、出はけ、転換、装置なとしかり。いろいろな小道具が出てくるも、その作りや使い方に、粗さが目立つ。加えて、全4回公演でキャストがシャッフルすると、楽日に向けての追い上げみたいなのも、あまり期待できないのかもしれない、というのも頭をよぎる。ストリップ劇場の猥雑としたカオスな世界だったり、「取ってつけたような世界」を表現したいのだとは思うのだけれど、単純に創りこまれていない感、とも取れる。猥雑さと安っぽさは、どこか紙一重だし。この点がちょっと残念だった。
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