劇団なのぐらむ「愚か者のオノマトペ」は、良質なストレートプレイ。観劇三昧で無料でどうぞ。

演劇初心者でも観やすい、良質なストレートプレイ。

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ネットでお芝居が見れる「演劇動画配信サービス「観劇三昧」」で、劇団なのぐらむ「愚か者のオノマトペ」を観たのでレビューします。今週末に本公演があるようですので、観に行くかどうかの判断も含めて。

この記事を書いている段階では、「観劇三昧」で無料で視聴可能です。


ストーリーは

話は、結婚式の前夜。前夜の宴に集まった人々が、過去の出来事に思いを馳せながら、それぞれの今を語っていく。名家の息子と、幼い頃に家の火事で火傷し、半身が自由にならない花嫁。会話の中から、明らかになる火事の原因。幼い頃の記憶が蘇り、愛憎と復讐がはじまる。

ストーリーだけまとめると、こんな感じです。

劇団「なのぐらむ」とは

劇団なのぐらむは、1998年創立の劇団。この公演で、39回目。長く続いていますね。

脚本は、劇団の座長さんでもある、鈴木実。第一回公演からずっと脚本・座長(演出)をされているようです。緻密な人間劇を得意としているのか、劇団ホームページによると、以下の記述があります。

登場人物の一人ひとりが人間味にあふれており迫真で滑稽。
照明は過度になりすぎず、時間の経過による繊細な変化を見せ、出演者の演技にコントラストを加える。
音楽は物語の始まりと終わりにのみ流れ、ストーリーに期待と余韻を持たせる。
具体的な舞台セットを背景に、出演者のわずかな仕草などを深く追求し、
舞台の上の出来事をまるでのぞき見ているようなリアルな世界を作り出す。

劇団紹介の通り、脚本は力強く、一人一人の人間がきめ細かく描かれ、物語の中で生きている。登場人物が多いにも関わらず、脇役が殆どいないのは、脚本の力と言える。

舞台セットは、非常に緻密。今回は、結婚式を祝う宴のためのコテージ、という設定のようですが、小劇場とは思えないほどのリアルなセットが展開している。

ホームページのコメント通り、場面を表す照明以外はなく、音楽は最小限。まさに、「ストレートプレイ」のど真ん中をチャレンジしている。とっぴな展開はありません。「劇団なのぐらむ」は幅広い年代、また小劇場初心者にもオススメと言えます。

女優さんがいい

劇団員、という方式をとらず、毎回俳優を集めているように見えますが、この作品に関しては、女優陣のの頑張りが目立ちます。役名と役者さんの紐付けの資料がないのですが・・・。

話の本筋には絡みが薄いものの、花嫁の女友達3人組の会話劇が面白い。配役リストがないので、画像と写真で確認する限り、、、、杉山朱里、古川日菜子、秋葉穂垂の3人だろうか・・・。望まれない妊娠している「サヨ」と友達二人。「アキヤマ君」の話題を提示する3人。何気ない会話の中で、この芝居にリアリティを与えている。

潜入して取材中の、新聞記者の「エリナ」。女優さんは望月茉由だろうか・・・。途中の狂言回し的な役を一手に引き受けている。

それと火傷を負った花嫁「ミカ」。最後まで登場しないかな・・・と思いきや、赤いワンピースで登場。底意地悪い性格が、嫌という程出ていた。女優さんとしては上手いなぁ。おそらく、・・・山岡南美という女優さんだと思う。

回ごとに、役者さんを集めて行う公演の弱みだろうか。この辺りの情報が、弱い。ぜひ、劇団には解決して欲しい問題です。

テーマ性に不満・・・

質の高い演劇を提供している、劇団なのぐらむ。でも、一つ、大きく不満なことがある。

それは、何をテーマにしているのか、この芝居を見ただけでは判断できなかったことだ。

確かに、質の高い演劇を提供しているのは分かる。質の高い脚本と、緻密な演技を演出しているのも理解する。でも、この物語、客に何を残したかったのだろうか。「ミカ」の狂気だろうか。人間の愚かさだろうか。どの要素も、テーマとしては「脇役」である。この演劇を観た観客に、何をお土産として持って帰ってもらいたいのか・・・その強い思いが、欠如しているように感じてならない。「脇役」のいない、質の高い、人間の生きているドラマだけあって、伝えるものの弱さが、残念でならない。

「愚か者のオノマトペ」を観て、欲求不満に思った点だ。

とはいえ、演劇としては素晴らしい

とはいえ、この作品は、演劇としては素晴らしい。テーマ性の無さは、この作品だけたまたま、という事もある・・・かもしれない。質の高い「ストレートプレイ」に感じる魅力には抵抗し難い。

今週、新作が上演されるようだ。是非、実際にみて確かめて観たいと思う。

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知らない劇団に、最初に足を踏み出すのって、
勇気要りますよね。

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