<観劇レポート>なかないで、毒きのこちゃん「MITUBATU」
【ネタバレ分離】
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | なかないで、毒きのこちゃん |
冠 | 劇場公演 |
題 | MITUBATU |
脚本 | 鳥皮ささみ |
演出 | 鳥皮ささみ |
日時場所 | 2019/07/02(火)~2019/07/09(火) OFFOFFシアター(東京都) |
なかないで、毒きのこちゃん?
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
鳥皮ささみ、猪股和磨、田村優依、森岡未帆、石澤希代子、森田ガンツ(/猫のホテル)の6名による団体。
2012年より鳥皮ささみが作・演出をするためにこっそりと東京で活動を始め、野外や古着屋、蕎麦屋、BAR、ツイッターなど劇場以外での公演を得意とし、かわいらしくもどこか毒のある独特の劇世界をハイペースに発表し続けている。
事前に分かるストーリーは?
劇団ホームページには、こんな記載がありました。
ある男が、あることをしてしまい、それに対してうんうん悩んだり、考えたり、
落ち込んだりしているのを、ああじゃないか、こうじゃないか、と関係ある人や関係ない人が言ったり言わなかったりするお話をします。本公演ではないですが、なかないで、毒きのこちゃんが
2019年劇場で行う最後の公演です。どうかお見逃しなく。
観劇のきっかけ
過去の公演時、Twitterでの評判がよかったのが、観劇の決め手です。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年7月3日 19時30分〜 |
価格 | 2500円 全席自由(事前にネット予約・前半割) |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
個人的な満足度 CoRichに投稿 | ★★★★★(5/5点満点) |
客席の様子
男女比は概ね7:3でしたが、男性はスーツ姿が多く、女性は様々な年齢層がいました。一人で来ているお客さんが多かった印象です。
観劇初心者の方へ
観劇初心者の方でも、安心して楽しめる舞台です。
観た直後のtweet
なかないで、毒きのこちゃん「MITUBATU」観劇。90分休無。
なんだかものすごい所に連れてかれちゃったなぁ。吹き溜まりのおじさん達のthe bodyとは初め予想だにせず。90分とは思えない濃密な時間だった。
皆キャラ立ち激しいけど、吉田戦車の漫画に出てそうな夫婦好き。好きな劇団増えた!超オススメ!— てっくぱぱ (@from_techpapa) 2019年7月3日
感想(ネタバレあり)
下北沢の廃棄された劇場に住んでいる男たち五人。そこに何故か出入りするデリヘル嬢。何故かその劇場は、生肉を食べさせる飲食店を営んでて、舞台となるのはその店の裏側。ドンジャラがあって、ごみが散乱していて、そんな廃墟の中で雑魚寝して暮らす人々。どうもそこに集まった人々は、人生で一苦労も二苦労も背負っていて。それを言い出せずに、淡々と自堕落だけれど楽しい生活。そんな中、いつもオムツ履いてて上半身裸の男ケ太郎の娘と娘婿が、一緒暮らそうとやってくる。どうやらケ太郎は、過去に事故を起こして人を殺してしまっているようだ。そんな自分に、いっぱしの幸せを求める権利がるのか。そんな事を悩みながら、そして風俗嬢からも惚れられながら、ヘヘヘと笑いながら人生を少しずつ前に進める、コメディ要素の強い人情劇。
観終わって俯瞰してみると、まあ話としてはよくありがちな人情劇なのかもしれない。でも、オムツ男と、それに恋するデリヘル嬢。もうこの設定だけで、なんのこっちゃい、っていう感じで。生肉を出す店、というのも、何だかよく分かったような、分からないような感じだけれど。どこか人生の吹き溜まりのような場所に集まってしまった人々がなんか活き活きしていて、愛おしさのような共感があって、観ている側としては何だか、舞台で生きている事を応援したくなるような舞台だった。
ラスト。「電車にひかれた人間を見に行こうぜ」位から、スタンド・バイ・ミーだとは思ってクスクス笑っていたけれど、まさかラストに流れてくる、ベン・E・キングの曲「スタンド・バイ・ミー」。あの曲に乗せられたわけじゃないんだけれど、上手くいかない人生、ジタバタしないでゆっくり癒そうぜ、なんて事を考え出したら、うっすらと涙をしてしまった。お気に入りの劇団が一つ増えました。
役者さんが活き活きしているなぁ・・・。政岡泰志、オムツだけれど、タバコ吸いながら、受け止めて受け止められながら、たたずんでいるのカッコいいなぁ。オムツどんどん脱がしていくのいい。斉藤マッチュ、目立つ役どころじゃないけれど、若干傍観者的に観ているのが印象的。最初に持っていたのは・・・やっぱりアレなのね。自分のカンの鋭さを呪う。森田ガンツ、携帯電話の注意もそうだけれど、シニアな役者さんが締まっていると舞台が映えるなぁ。芳田遥と、植田祥平、なんだか吉田戦車のマンガに出てきそうな夫婦だ。ごめん、生々しくて、どんな風におもちゃにするのかな、と想像してしまった。未来、スカートの裾持ちながら、モジモジ恥じらう感じがいい。あの役に現実味があったから、一歩間違うと非現実的な空間になりそうな舞台が、うまく成立している気がする。
ところで「MITUBATU」ってどういう意味だろう。鈍感なのかな、タイトルの意味が分からなかった。
ちなみに、映画「スタンド・バイ・ミー」。スティーブン・キングの原作小説は「The Body」。大分捉え方違うけれども。
チラシの裏