<観劇レポート>Nana Produce「レネゲイズ」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | Nana Produce |
回 | Nana Produce vol.11 |
題 | レネゲイズ |
脚本 | 高木登 |
演出 | 寺十吾 |
日時場所 | 2019/10/11(金)~2019/10/15(火) 赤坂RED/THEATER(東京都) |
劇団紹介
ホームページに紹介は特にありませんでしたが、プロデュース公演を定期的に手掛けている団体のようです。
Nana Produce
事前に分かるストーリーは?
劇団ホームページには、こんな記載がありました。
【レネゲイド(renegade)】
背教者、変節者、裏切り者を意味する言葉。
関東地方のある新興宗教団体施設で、女性信者の集団焼身自殺事件が起きた。彼女たちは「神の子」と呼ばれた信者たちで、病死した教祖の後を追ったのだった。十五年後、事件の関係者たちが新たな教団施設に集められる。彼女たちは何故みずから命を絶ったのか。それはほんとうに自殺だったのか。果たして真相は何処にあるのか—飽くなき議論が、いま始まる。
観劇のきっかけ
脚本の高木登作品、鵺的(ぬえてき)「悪魔を汚せ」が非常に面白かった~の観劇です。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年10月11日 19時00分〜 |
価格 | 6000円 全席指定 (プレイガイド発券) |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
個人的な満足度 CoRichに投稿 | ★★★★☆ (4/5点満点) |
客席の様子
男女半々くらい。男女共に、いろいろな年代の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者の方にも、安心して観劇できる舞台です。
観た直後のtweet
Nana Produce「レネゲイズ」120分休無。
向こう側に行ってしまった人と、それが見えない人。常にその中に。結局人は、都合の良いものしか見ない。いろいろあったけど、詰まる所ただそれだけ、の感覚が横たわり。
もう少し、重苦しいものを想像してたけど、それ程でもなかったかも。割とオススメ。 pic.twitter.com/sYSpPY9zan— てっくぱぱ (@from_techpapa) October 11, 2019
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前紹介の通りだが少し補足しておくと。
「先生」という名の新興宗教の教祖を追って、焼身自殺を図った女性4人の、まさに自殺を図る前の時間と。その後数年経った後、残された人が教団を運営し、自殺を図った中の1人の娘にいて。そこに、「大切な人を亡くした」と抗議をする、残された人の物語の時間が交錯し。そこに、「先生」の息子だという男が現れて、怪奇な力を見せ。その人々が織りなす物語。
物事は、見る人の立場や状況によって、当然、見え方が違う。物語の上では通常「伏線」とか「比喩」いう形で、ある一つの物事の、別な意図を観客に気づかせる事で、物語に解釈の幅やテーマを持たせるようにする。どんな物語でもそうするのが一般的だが、不思議なことにこの作品は、ある1つの物の見方・・・どちらかというと、この新興宗教をどこか肯定するような論調で、物語が進むように思える。もちろん丁寧に、「盲信させる訳ではないけれど」、という注意書き的な事を説明しつつも、向かう方向は、一つの方向のような気がして。
一方、自然科学的な常識も覆しそうな力を持っているように見える「先生」の息子、という存在が登場し。明らかに、教団に残された人はビビっている。そこで登場する「神の子」。「私は神の子だといえば神の子になれたんだ」と。・・・あれ、随分と簡単に登場するんだなぁ、と思ってしまい。その後、「冷めている」教団広報の人のモノローグなんかもありで。
加えてラスト。「先生」がリンゴの折り紙?を噛み切るところ。・・・私には、小学生の女子に、「童貞」を指摘された事への、怒りや抗議のように思えて・・・考え過ぎな解釈かなぁ、と何度も自問しつつも・・・、そうとしか取れなくて。でも、その場で食事をしている女達、誰一人として、多分そんな事は思っていなくて。何も語られていないけれど、「先生の奇跡」とでも思ったのかな。
そんな解釈をして、結局全体を思い返してみると。
結局のところ、ここに出てきている登場人物、全て「自分の見たいようにしかモノを見ていない」。そんな人間の勝手さ、視野の狭さを表現したいのかなぁ、と思うようになってきた。確かに、新興宗教をはじめとする宗教だって、あるモノの見方を受け入れて、それ以外の見方を放棄した時に、成立するものだ。いろいろと話の展開はしていくものの、結局は人は見たいものしか観ない。見たいようにしか解釈しない。そういう滑稽さを表現していると思えて。
・・・一方、舞台を観ている一観客の私自身の自意識としては、「まあ、人間なんて、結局そんなもんじゃないのかな」という思いもあるので、それ程驚く要素がなく、あまり感情的に迫ってくる部分は、なかった。逆に、「当たり前の事」を、回りくどく言われた感もある。テーマには新興宗教が選ばれているけれど、描かれているのが人間の滑稽さなら、実は新興宗教とかはあまり関係ない話のような気もした。
人は、その人の見たいものしか見ない。確かに真実だと思う。・・・それ以上でも、それ以下でもなく。分かり切った事だったのか、特に感情は動かない観劇体験だった。
気になった役者さん。今井あずさ、姉の自らが選んだ変わり様が、私には印象深くて。私の席から見たシルエットがとても奇麗だったのと、意味深なセリフもあって、気になった。
お芝居好きの方は、要登録サービスです。