<観劇三昧>続編の公演間近。うさぎストライプ「空想科学」は時間と空間を行き来する不条理劇。

<観劇三昧>続編の公演間近。うさぎストライプ「空想科学」は時間と空間を行き来する不条理劇。

「空想科学Ⅱ」が上演間近。下敷きになった作品を、観劇三昧で観てみました。

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今回も、演劇動画配信サイト「観劇三昧」から。

うさぎストライプ「空想科学」。2014年の作品です。

ストーリー

酔った勢いで一夜を共にした男女。翌朝らしいシーンからストーリーは始まる。付き合うことにした二人。でも、男の頭には斧が刺さっていて既に死んでいる。死んでいるのに、普通に話している。買い物に出たりデートをしたり。

一方、部屋の遺品を片づける、3人。舞台上に交錯する、2つの時間と空間。

何が現実なのか、空想なのか、時間軸さえも曖昧になっていく。カップルの2人は、宙をフワフワと浮くように、時間を行き来する。

やがて、一人の死んだ男と、生涯独身を通した60歳の女の話に。どうやら遺品の整理は、斧を刺された男のものでもあり、女のものでもあるようだ。女の生涯を語りながら、人生を振り返る3人。その中の一人が、実は頭に斧が刺さった男を殺した犯人だった・・・。

しかし、これはストーリーの一つの解釈でしかない。解釈の仕方が何通りも存在するような、フワフワとした物語だ。

あったかもしれないし、なかったかもしれない

今回初見となる、うさぎストライプ。劇作家・演出家、大池容子の作品を上演するユニット。

全体として「あったかもしれないし、なかったもしれない存在」を描こうとしている。

女は半ば男に一方的に惚れ込んでいく、そもそも既に「死んでいる」と主張し、頭が斧に刺さった状態で会話をする、通常の物語の解釈からは成り立たないコミュニケーション。

そこから、女の死の直前まで時間が飛び「かつて付き合っていた」という回想まで飛んでいく。それが女の妄想だったのか、あるいは男の妄想だったのか。結局のところ何も分からないし、劇中では明確なことは語られない。

人の記憶の中で人は生きる。その曖昧な記憶の中の存在を、舞台の中で上手く切り取っていたように思う。

役者たち

物語を進行させている、川田智美の演技が素晴らしい。

男とのセックスを模したちょっとコミカルなダンス。舞台で着替えながら時間空間を移動していく様。自らに自信のない、しかしほんのちょっとした記憶の断片を大切に生きてきた様、など、この女性の心情がよく表現されている。

斧で刺されて死んだ男と、老いて死んだ女、という2つの時間軸がある中、川田智美の演技が素晴らしく、この時間軸を強調させてしまう。物語の解釈を変えてしまいそうな演技だった。

「空想科学Ⅱ」が来週開演

今回観た「空想科学」を下敷きにした「空想科学Ⅱ」が、2018年11月29日から上演予定です。既に初日のチケットは売り切れ。この不思議な空間を、もう一度舞台でも楽しむことができます。

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小劇場のチェックは観劇三昧で

小劇場の劇団。

知らない劇団に、最初に足を踏み出すのって、

勇気要りますよね。

観劇三昧 」で過去の公演をチェックして、

好みに合うかどうかを調べてから行くと、

お気に入りの劇団にあたる可能性が上がるかも。

うさぎストライプの作品は、「空想科学」以外にもラインナップされていますね。

空想科学 2014年作品

学級崩壊 2014年作品

わかば 2016年作品

おかえりなさいⅡ 2012年作品

いないかもしれない 動ver. 2012年作品 

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