<観劇レポート>ワンツーワークス「死に顔ピース」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | ワンツーワークス |
回 | 劇団ワンツーワークス #29 |
題 | 死に顔ピース |
脚本 | 古城十忍 |
演出 | 古城十忍 |
日時場所 | 2019/10/24(木)~2019/11/03(日) ザ・ポケット(東京都) |
劇団紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
『ワンツーワークス』は、古城十忍(こじょう・としのぶ)が主宰する劇団です。
事前に分かるストーリーは?
CoRichには、こんな記載がありました。
笑って笑って、楽しく死んで、旅立とう。
医療とは? 看取りとは? 自宅で死ぬ意味とは?
「理想の死に方」「笑いのある終末医療」を求めて奮闘、
その紆余曲折を描く、医師と患者とその家族の物語。
観劇のきっかけ
以前の古城作品が好きだったので、の観劇です。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年10月25日 19時30分〜 |
価格 | 4000円 全席指定 (事前プレイガイド発券・初日割) |
上演時間 | 135分(途中休憩なし) |
個人的な満足度 CoRichに投稿 | ★★★★★ (5/5点満点) |
客席の様子
老舗、ワンツーワークス特有でしょうか。アラフォーアップ、かなりシニアな方までいる客席でした。男女比は、半々くらい。
観劇初心者の方へ
観劇初心者の方でも、安心して楽しめる舞台です。
観た直後のtweet
ワンツーワークス「死に顔ピース」観劇。135分休無。
再演との事。パッチアダムスっぽい?どこかで聞いたようなお話ではあるものの。感情の重ね方、押し寄せはすごかったなぁ。ラスト30分涙が止まらなかった。その日に備えて、感情の備えを、しておかないといけないなぁと切に切に感じる。超オススメ! pic.twitter.com/lEzcMFO0zG— てっくぱぱ (@from_techpapa) October 24, 2019
DVD・BR等販売
初演の公演分か、劇団からDVD化されています。(観劇直後確認)
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
ガンの治療の最前線。死を目前にした患者の、ダジャレにも応えてあげれない、出世競争に忙しい医師。ある日、その虚しさに気がついて、在宅のターミナルケアに転向する医師の物語と。看護師として、何人もの患者を天国に見送る経験を持ちながら、シングルマザーとしての働き、その盛りでガンにかかり、余命を家族とともに在宅のターミナルケアを選ぶ女性。この2つのストーリーが交差して、1つの物語を織りなす。そんな物語。
ターミナルケア、緩和医療。そういった事に少しでも関心があれば、ストーリーは、どこかで聞いたことがある話題、だろうと思う。率直なところ、ストーリーに目新しさ、みたいな部分は薄かった。また、医師の物語が、私の好きなロビン・ウイリアムズの映画「パッチ・アダムス」に似ている部分があり、やはり、どこか聞いたことがある問題、という感覚があった。
一方、社会派ならでは。「ここは譲れない」という古城十忍の想い、主張は交えつつ、死に至る人の物語を、一般論ではなく「物語」として触れているのは、観ていて爽快感。ラストに至るまで、涙が止められない、という場面が何度もあった。途中、全員で「ピース」サインをしながら撮る写真。タイトルからの連想もあり、ラストのシーンはこの時点で概ね読めてしまうのだけれど。それでも、主人公の楠美と、医師の益造の、会話というか、進む道から、どこか目が離せない自分がいた。死を自分事としてとらえる。その物語の渦の中に居つつも、安楽死を否定する態度や、今の医療に対する批判など。しっかり織り込まれているのが、心地よい物語だった。
ラストに向けてのシーン。楠美が、医師の益造先生に、反発するシーンがある。あのシーン。「もっと生きたい、という事を考えずには居られない」という悩み。だからこそ死にたいという悩み。私には、そんな悩みを持つ事自体が、人生の時間を意味のある時間として送っている証拠、のように思えた。益造が彼女の生に関わることで、意味のあるものになったのではないか。あの悩みこそが、生きている感覚そのものではないか。生きているのだから、悩むのは当たり前ではないか。・・・そんな事をと感じた。
古城演出ならではの、カットアウトする大音量の中の、巧みな転換は健在。ワンツーワークスの客席は、思いの他、シニア層が多い。近くに座った、60代位の女性数名が、私が感じ入る所とは、違う所で涙しているのに気が付いた。また、一緒に観劇した50代の女性も、帰路の感想で、私が思っているのと違う視点で、舞台の「死」を見つめている事に気が付いた。客席にいると、この感覚は生々しい。物語が分かり易いものだったこともあり、「死」って、年代にょって、こんなに捉え方が違うんだ、という感覚を、42歳の私は、客席にいて肌で感じた。そう思っていると、もう少し若い年齢層が観たら、どう感じるのかなぁ、というのを思わずにはいられなかった。
印象に残った役者さん。奥村洋治、「善悪の彼岸」の時も感じたけれど。回し方というのか、運び方がうまいなぁ。みとべ千希己、背の高い、すらっとした白衣姿と、やはりラストに向かう部分が忘れられずだった。YAMA、トゥーマーって、解釈はtumorでいいのか、ちょっと自信ないけれど。名前とは裏腹に、ジャグリング的な手品?が効果的だった。