<観劇レポート>くちびるに硫酸「あの星にとどかない」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | くちびるに硫酸 |
回 | アトリエ5-25-6Produce vol.1 くちびるに硫酸 #3 |
題 | あの星にとどかない |
脚本 | 水野はつね |
演出 | 水野はつね |
日時場所 | 2019/11/02(土)~2019/11/04(月) アトリエ5-25-6(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
【アトリエ5−25−6 Produceとは】
南千住の住宅と駐車場を拠点に活動し、住宅内での家公演や、毎年夏の野外演劇フェス「弔EXPO」を始めとした、野外劇の上演を行っている、gekidanUによるプロデュース公演。
公演可能な場を持ち、スタッフがほぼ劇団メンバーのみで揃うという特性を活かし、志はあれど時間やかけられる費用に制約がある方や、地方からの上京でまだ表現ができる場を見つけられていない方などが、よりよく公演を行うことができる環境を提供することで、南千住の地からさらなる演劇文化の活性化を目指す。
Vol.1は京都出身ユニット「くちびるに硫酸」による上京初の公演となる。
くちびるに硫酸
水野はつねによる個人ユニット。
2017年3月にリーディング公演「あの星にとどかない」を上演し旗揚げ。
2018年夏まで京都市・大津市を拠点に活動。転居のため今後は首都圏での活動を予定。基本的には企画・脚本・演出を水野が務めるプロデュース公演を行う方針。
少女漫画や近現代の詩歌に影響を受けた散文詩的なモノローグを軸にした作品が特徴。
現在のところ、愛や性、家族の在り方に関心を持った制作を行っている。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
宇宙工学の研究をする若い科学者・マコト。
研究所の主であるカオルさんと一人娘のトコに支えられながら日夜研究に励んでいる。
ある日、マコトは自宅で謎めいたメモを見つける。
メモをきっかけに、夢とうつつの境目をさまようマコト。欠落した記憶と、繰り返しよぎる幻。
「幸福は確かにあって、だけど目には見えない。人は幸福の痕跡を目にしてようやく、そこに幸福があったことに思い至る。僕らは、……僕らはあのとき幸福だったんだ。まちがいなく。」
ー誰かを好きになったことがある大人のための60分絵本ー
観劇のきっかけ
twitterに流れていた評判が良かったのと、観劇時間的に鑑賞できるタイミングだったからの観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年11月4日 16時00分〜 |
上演時間 | 70分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページから、こちらのサイトで予約しました。
料金は、当日清算で、当日現金で支払いました。
https://www.quartet-online.net/ticket/anohoshi
客層・客席の様子
男女半々くらい。若い人から、シニアな方まで、わりといろんな方がいる客席でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・シリアス
・幻想的
観た直後のtweet
くちびるに硫酸「あの星にとどかない」70分休無。
小さな空間の使い方が上手い。特に照明の使い方が幻想的で綺麗だなぁ。メルヘンというのか、童話的なお話表現すればいいのか。現実との境目が曖昧で。残された苦悩みたいなのは理解しつつも、私にはちょっと観念的な物語にに思えたかなぁ。 pic.twitter.com/HObaaVogUk— てっくぱぱ (@from_techpapa) November 4, 2019
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前の記載通りなのだけれども。断片の台詞を基に想像すると・・・。
何らかの問題があり、生物が滅びかけている地球。地球周回軌道を回る衛星?的なものが、落下してくる。落下物にはどうやら有害物質が使われていて、落ちてきた場所に居る人は被害を被る。そこに居た、家族を失った人の物語。劇中、背景について明確に説明がある訳ではない。科学的な説明よりも、そこに残された家族の「記憶」みたいなものを芝居にしているので、明確な前後のつながりも、読めるわけではない。ベースラインとしては、チコという女性を愛してしまったが、その有害物質のために子供を授かることも出来ずに、離れ離れになってしまった二人の関係を、濃密に絵本のように描いた時間の描写の物語。
アトリエ5-25-6という所に初めて来たのだけれど。普通の民家というか、商店街でお店を営んでいたような民家の広いリビングキッチンという感じのところ。ベンチ的な席が20席程。その場所で、ストーリーのような壮大な物語。小さい空間の使い方が上手く、特にテラススペースのガラスの使い方、照明を使った空間の魅せ方が、とても面白い公演だった。
人類と共に、何かを喪失してしまって、とても哀しい状況だという事は理解できる。どこかアンニュイで、どこかメルヘンチックで、どこか科学的な要素もある、空間の余韻的な部分を楽しむという点ではとても楽しめたのだけれども。トコという子供がどのような経緯で産まれなかったのか(あるいは産まれたのか)、カオルはどのような経験をしているのか・・・といった説明の余白を埋めるだけの情報が非常に少なくて、私には想像を膨らませる余地が足りなかった。雰囲気を楽しむ、というのであれば、楽しめたし、良かったのかしれないが。芝居に、物語としての筋、謎解きの部分を求めてしまう自分としては、やはりもう少し、なぜそうなったのか、どうしてそうなったのか、といった情報が欲しく、少し理解が難しく感じてしまった。心から楽しむ、という風に捉える事が出来なかった。
役者さん。伊藤優、何処かで見たなぁ・・・と思っていたのだけれど、観劇中は思い出せずだったが。ミラクル祭’19で、猫多ユウとして拝見していた。立っているだけで(寝ているだけで)空間をさらっていってしまうような不思議な魅力は、健在。挟まれていたパンフを見る限りは、役柄と為人には差がある様子。また別の役をされているのを観てみたい、と思ったが、前回の感想にも同じことを書いていてびっくり。