<観劇レポート>劇団ミックスドッグス「グッドバイ,グッドボーイ」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 劇団ミックスドッグス |
回 | 劇団ミックスドッグス'19 Winter stage |
題 | グッドバイ,グッドボーイ |
脚本 | 奥田悟史 |
演出 | 奥田悟史 |
日時場所 | 2019/12/12(木)~2019/12/15(日) BroaderHouse(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2011年2月に結成!東京理科大学発の劇団です。
”雑種犬”という意味である劇団名『mixdogs』には「演劇の本流ではない私たちだけれども、いつか一流になってやろう(血統書のない雑種犬が新たな血統と認められるように)」という思いが込められています。
脚本はすべてオリジナル。ハリウッド映画のようなハイスピードな展開の中で繰り広げられる濃密な物語により老若男女あらゆる人を楽しませます。
魅力溢れる役者達の感情を、心に響くロックな音楽と、夢の世界のような照明と共に物語をお届けします。
夢は、池袋サンシャイン劇場での公演です。今はまだ小さな劇団ですが、1年間に4公演と元気だけは大物の劇団です。
一度私たちの演劇を観に来てみませんか?どんな時でもあなたを元気にします。
それでは、劇場でお待ちしています。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
時は2030年。
あらゆる物に人工知能が搭載された「ハイパーデジタル時代」。
人工知能の開発に全てを賭けていた、立川良輔40歳は、家庭を壊し、
一人息子にも縁を切られた。それから30年。
2060年、「アナログバック時代」。
人工知能は所持する事も禁じられ、誰も開発を続ける者はいなかった。
70歳になった良輔を除いては……ある日、彼の元に見知らぬ少年が訪ねてくる。
立川楓、人工知能が大好きな10歳。
おじいちゃんに会いに来た」と言う……予期せぬ初孫との出会い。その頃、楓の父親であり良輔の息子の翔馬は、デジタル管理局局員
として人工知能の開発を違法に続ける老人の調査を命じられていた……
観劇のきっかけ
これまでの公演が面白かったからです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年12月12日 14時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 3300円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページから、チケットを予約しました。
当日、受付で代金を払いました。当日受付順の入場。自由席です。
客層・客席の様子
男女は半々くらい。若い人から、30代くらいの人が目立ちました。
1人で来ているお客さんが多かった印象です。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・SF
・テンポいい
・にぎやか
観た直後のtweet
劇団ミックスドッグス「グッドバイ,グッドボーイ」100分休無。
毎度同じ事を書いてるけど「ミクドクらしさ、世界観」にハマってる自分に気づく。劇団員だけの座組みは好き。一人複数役がコミカルで面白いも、反面いろんな役やるので深い感情表現には不利か。幾世さん、こんな役もこなすのね。可愛い。 pic.twitter.com/ooMAniISw4— てっくぱぱ (芝居と酒好き) (@from_techpapa) December 12, 2019
映像化の情報
今回の作品は、DVD化の予定が無し、とのツイッターが流れていました。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、記載の通りだけれども。
近未来。AIが発達し過ぎて、逆に先祖返りしたアナログな時代。AIや、AI的なテクノロジーは、政府によって取り締まられる時代。かつてAIの開発者だった祖父(亮輔)と、父(翔馬)と、少年(楓)。祖父の開発したAIが引き起こした混乱のせいで、野球の夢を諦めた少年時代の父。祖父と父は疎遠になり、その子である少年は祖父に会ったことがなかった。ひょんなことから出会い、ひと夏を過ごすことに。そこで少年は、祖父の開発したAI「IROHA(イロハ)」と出会う。次第にIROHAに恋をする楓。一方、破壊活動をするAI「KOKI」が、政府に対して攻撃を宣言。その取り締まりを行う翔馬は、父を追ってきた・・・と強引にまとめるとこんなお話。
作品自体は再再演、との事だけれども。私は作品初見。
ホームページの記録を見ると、2012年の初演の役者さんは7人。2015年の再演は12人。今回の再再演は6人。今回の公演は、芝居の中で、一人が何役もの役を演じるスタイル。過去の公演の事は分からずも、役者の数が大幅に変動している事からも、今回の公演は複数の役を一人に任せる形で、再演したものなのかもしれない。ミクドクらしいSFな世界観と、人の感情をストレートに紡ぐストーリーは、観ていて気持ちがよい。キャラメルボックスっぽい、っていうのも毎回思うのだけれども。今回も「キャラメルらしさ」も多分にあり。物語の要素がSFだし、描く感情が、とてもストレートで単純なものだから、という類似点もあるのだと思う。
物語として、少し気になったのが。AIの描き方が、ちょっと「古いな」と感じた事。この作品が再演だ、と知らずに観ていて感じたので、感覚としてはピュアな印象だと思う。(そう感じたからこそ、再演かも、と調べてみるきっかけになった。)AIを取り巻く現状は、おそらく2012年、2015年のそれぞれの頃から大分変化している。確かにAIがいろいろな要素を変えていきそうな兆候はあるものの、2019年の今、IROHAみたいなAIが出てくるのかなぁ、と感じてしまう。ちょっとまだギャップが広いんじゃないかなぁ、という印象。「AI」という言葉に対して、ある程度の期待値が高いときに書かれた本、という風に受け取れたも。過去の脚本を含めた事実関係を確認していないが、この何年かでAIの捉え方って大分変わった、という事を表しているのかもしれない。
一人一人の役者さんが、複数の役をこなして進むストーリー。特に、マリオカートのようなカーチェイスのシーンや、早替え早変わりのコミカルなシーンは、とても面白い。舞台後方にかかっている衣装を着替えれば、すぐに別の役に変わる面白さ。狭い小屋ならではの工夫かもしれないけれど、作品にテンポも生んでいたように見えた。一方、作品のテーマとして表現している感情がストレートな分、何役もやっていると一人に対する見方が固定できないので、感情的な深さみたいなものの表現は、難しいのかなぁ、という印象もあり。客がたどり着くべき感情は、とてもシンプルなのだろうけれど。その一人ひとりが抱える感情のヤマ、みたいなものがちょっと弱かったかなぁ、と感じる。
気が付くと、この一年でミクドクを4作品、観ている訳だけれども。私にとって、思わず観続けてしまう要素を、何処か持っている劇団。そんな事を今回確信しつつも。初めて観た「クロノスコープ少女」の時の、あの余韻みたいなのが自分の中で残っていて。若干の物足りなさもあり、またあの感情に出会いたい想いがどこかで蘇らざるを得なかった。
印象に残った役者さん。ミクドク以外の舞台でも何度か見かけている、幾世優里。物凄いパワーで迫ってくる役が得意な役者さんかなぁ、と思っていたのだけれども。いろいろな役をこなしつつも、その中のAI「IROHA」の役がものすごく可愛い。前回の「発明少年天才ピカリ」では、別の意味で可愛い、コミカルな鶏の役だった気がするけれど。ギャップにドキドキしてしまった。多嘉良荒、自信満々で、どこか確信犯的に笑顔になるのが魅力的だなぁ。伊藤貴史、はにかむ感じが好き。
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