<観劇レポート>ことのはbox「彗星はいつも一人」

#芝居,#ことのはbox

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名ことのはbox
ことのはbox第12回公演
彗星はいつも一人
脚本成井豊(演劇集団キャラメルボックス)
演出山崎亨太(劇団TIRNANOG)
日時場所2019/12/12(木)~2019/12/15(日)
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2014年、原田直樹と酒井菜月により設立

「良質な戯曲を取り上げ、上質な舞台創作を目指す」をコンセプトに、1970年代以降に書かれた日本国内の戯曲を上演する演劇団体
日本国内の既成戯曲を上演する団体は少なく、上演されなければ埋もれてしまう名作をキュレーションするという点に文化的な価値を見いだし、それを活動主旨に据え創作活動をしている

旗揚げ当初から主宰2人よるプロデュースユニットとして活動してきたが、2018年末に劇団員を募り2019年より劇団として活動

ことのはbox 公式サイト

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

クリスマス・イブ。
下関で暮らすナオとしずえの元へ、東京で高校教師をしているヒカリから手紙が届く。
ヒカリはナオにとっては孫、しずえにとっては幼馴染。
毎年クリスマスが近付くと、ヒカリの部屋の前にチョコレートケーキが置かれる。
それが誰の仕業なのか、ようやく解ったらしい。その人の名前は、北条雷太。
ナオが58年前に出会った男と同じ名前だった───

観劇のきっかけ

気になる役者さんが出演しているから、の観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2019年12月12日
19時00分〜
上演時間125分(途中休憩なし)
価格4000円 全席指定

チケット購入方法

Confettiというサイトで、席を指定して予約、そのままクレジットカード決済をしました。
予約番号をセブンイレブンに持って行って、券を発券してもらいました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。男女ともに、アラフォーアップの方が目立ちました。2人連れ、3人連れのグループ観劇が多かったように思いますが、1人で観劇しても浮くようなことはありませんでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・泣ける
・感動
・ちょっとSF
・キャラメルボックス

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
明治初期、五稜郭の戦いを生き延びて、その後嵐にあって不老不死の体を手に入れた3人、雷太、陣八、騎一郎が、170歳前後で尚、大切なものを見つけつつ、今の世に生きている話。・・・強引過ぎるが、成井豊作なので、他でもストーリーは調べられるであろうから、この辺りは手短にして。

気になる役者さんが客演で出演していたので、あまり劇団の事をよく知らずに予約をした。演目も「キャラメル作品だな~」「成井豊だなぁ~」くらいにしか考えていなくて。タイトル「彗星はいつも一人」も、多分見たことない話だなぁ、とおぼろげに感じ。・・・要は、完全に油断して観に行った状態だったのだけれど。結果的には、ラストに進むにつれてもう涙が止まらなくなって困った。油断したのが、逆によかったのか。物凄くストレートに刺さる、成井豊作品だった。・・・ちなみに、作品は観たことあった。おそらく、キャラメルボックスTVで放送していたのを、観たのだろう。タイトルまで覚えていなかったようで。

「ことのはbox」は初めて観る劇団なので、この作品を上演する背景みたいなのが、実は正確にはよく分からない。劇団紹介を読むと、1970年代以降の名作戯曲のキュレーションあとるので、毎回異なる作品に取り組んでいるのだと想像する。(実際、次回作案内は、「横内謙介」との事だし)。演出としては。ことのはbox流・・・演出家は外部から呼んでくる団体のようなので、今回の演出家、山崎亨太流、的な部分はそれほど感じなかった。要は、成井豊の演出、キャラメルボックスの演出に非常によく似ていた。一方、成井豊作品をやる上での「ツボ」みたいなのは、ものすごく押さえている感触。音楽の選曲、照明、間の取り方、ダンスの魅せ方、そのあたりもすべて「心得てるなー」という感覚を受けた。(谷山浩子?っぽいのを選曲しているのは驚いたけれど。記憶、あっているかな。)

キャラメルと違う点、とい視点で語ると。会話の紡ぎ方・会話でのやり取りが、キャラメルのあのスピード感を保ちつつ、しかしとても丁寧な事。・・・成井豊の脚本って、私的には、意外に「当て書き」的な笑いネタが多いと感じる事が多くて。当然、「ことのは」の出演者たちはキャラメルボックスの役者さんではないので、ちょっとズレている部分もあったりして。それが原因か、どうしても、ギャグ・・・というか笑いを取る部分に歪みが出ていたような気がして、序盤はその部分が気になった。・・・とはいいつつも、客がそれ程笑いで湧かなくても、会話と感情の流れが丁寧なので、物語が揺るがない。舞台も、一本の芯が揺るがない安定感。気が付くとそのまま、「ちょっとSF」な成井豊の世界の中で、人の感情を浮き上がらせる、あのキャラメルボックスの世界に、迷い込ませてくれた感覚だった。

後半、ナオが東京に行く、と言ったあたりからは、もうチロチロ涙が止まらない。ラストに向けてのスパークが、とても気持ちいい。結果的に、キャラメル脚本で、演出的にはストライクにキャラメルなのに、演技の部分がキャラメルキャラメルしていない何処かに落ち着いている感覚で、ストレートに脚本の良さが刺さった感じだった。・・・見始めの「油断」も相まって、とても意外な感情で、あー、こんな風になるんだ。こんな魅せ方があるんだなぁ。素敵な成井豊の世界に浸らせてもらった。

客層が、シニアアップの方が多かったけれども。この作品に関しては、もう少し若い層が入った、笑のシーンなんかの雰囲気は、変わるのかなぁ、と思いながら観ていた。

気になった役者さん。大河日氣、舞台全体の回し方の安定感、好きだった。普段からあんな髪型なのかな。原弘、正直、最初はそれ程気に留めてなかったんだけれども。ラストに向けてどんどんカッコよくなっていく感じだった。廣瀬響乃、華があっていいな。木村望子、「あの頃と全然変わっていない」っていうやり取りはもう涙止まらなくなってしまい、好き。篠田美沙子、と2人の掛け合いのシーンも印象に残った。光希、役は少し年長役だったけれど、実際は少し若めの方かな。シルエットが奇麗で、ちょっと見とれてしまう事何度か。