<観劇レポート>URAZARU「ストリッパー物語」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | URAZARU |
題 | ストリッパー物語 |
チーム | 青キャスト |
脚本 | つかこうへい |
演出 | 太田勝(さるしばい) |
日時場所 | 2020/01/15(水)~2020/01/19(日) オメガ東京(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
より多くの⽅に、より多くの作品を―
2011年4⽉、かつて浅草橋にあったアドリブ⼩劇場で⼩さく産声をあげた猿芝居。
着実に公演を重ね2016年9⽉〜10⽉では⼤塚・萬劇場にて連続上演された、猿芝居第8回公演「拝啓、⿂屋さん」・第9回公演「はい、カット︕」では延べ1864名の動員に成功。
また「拝啓、 ⿂屋さん」の千秋楽では萬劇場の1⽇の動員記録を更新。
後ろ盾のないインディーズ劇団にとって⼤成功と⾔って良い数字を残せました。
今後、この勢いを⽌めないためにも、本公演以外の時期にさるしばいにとって有益な活動の場を設け本公演では出来ない制作体制でより多くの ⽅に、より多くの作品を提供する⽬的で作られた場が、さるしばい新ブランド・URAZARUなのです。
URAZARU official website | さるしばい
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
さあ落ちよう。お前と一緒ならどこへでもいける!
明美は盛りを過ぎたストリッパー。落ち着いた暮らしをしたいと思うこともあるが、腐れ縁の〝ヒモ〟シゲさんとは切っても切れない縁。ある日、明美の前に一人の少女が現れる。
「わたし、ダンサーになりたいんです」「踊り好きなの?」「…はい」
その少女は、シゲさんが家に残してきた娘の美智子だった…!輝く瞳で夢を語る美智子に、いつしか明美はかつての自分の姿を重ね合わせていく…虐げられるが故により深く愛し合う、ヒモとストリッパーの愛の物語。
観劇のきっかけ
出演者の方にお誘いを頂いての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年1月16日 19時00分〜 |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
価格 | 4000円 全席自由 |
チケット購入方法
団体ホームページからのリンクされている、CoRich予約ページから予約しました。
当日、受付で前売り料金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は半々か、6:4くらい。アラフィフアップのシニア層と、若い層とに真っ二つに別れていて、私くらいのアラフォーサラリーマンもチラホラいるも、少数派な感覚。シニア層は2人連れ。若い層は一人観劇が目経ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
「ストリッパー物語」というタイトルで、不安を感じる人もいるかもしれませんが、性的な表現が苦手でも、ものすごく過激な事はないので、概ね安心して観る事が出来ます。
・会話劇
・愛憎
観た直後のtweet
URAZARU「ストリッパー物語 」120分休無。
つかこうへい作品。作品初見。なんじゃろ。うまく言えないけと、終始1人取り残された寂しさみたいな感触。話もしっかり理解してるつもりなんだけど、それでも不思議と。なんでこんなに冷静に見れちゃうのかなぁ、と考えてた。マリ役の女優さんがよかった。 pic.twitter.com/H2com1YxlY— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) January 16, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
ストリッパーの明美は、ヒモのしげとストリップ小屋で生計を立てている。明美は、ストリップだけじゃなくて、そのつてで町の金持ちに本番をやらせて、生計を立てている。ある日、美智子というシゲの娘が訪ねてくる。明日留学のためにアメリカに旅立つけれど、実は留学は早々に抜け出して、バレエダンサーとしてニューヨークのロイヤルバレエシアターに入る機会を伺うという。最初はちょっと対立するも、打ち解ける明美と美智子。美智子の野望を知り、明美は応援するようになる。シゲに隠れて密かに文通し、お金を送るようになる。いつものように、明美に客を取らせているシゲ。かつて夏の間だけ、バイトに来ていた学生が、弁護士になって明美を呼んだ。そして、明美と結婚したいという。シゲとは別れろ、という。それでも結局シゲと関係を続けることになるも。明美は梅毒にかかっていて、失踪。見つけた場所は大阪のストリップ小屋だったけれど、もう息も絶え絶えだった・・・と、強引にまとめるとこんな感じ。
なんだろう。熱い芝居のはずなのに、心に引っかかってこなかった。スルスルと、トコロテンのように抜けてしまった感覚だった。どうしてそうなるのか、自分でも分からなかった。脚本が、自分には引っかかってこないのだと思ったけれど、確信が持てなかった。途中から、少し引いた視点で、芝居を観ながらその引き気味の視点の理由を考えていた2時間だった。
多分、物語は理解していたはずだ・・・と思う。物語の中の話で一番腹がたってしまったのは、終盤、緑がシゲに「貴方たちの愛の形だって、受け止めようと思っていたし、そんな事は私にはどうでもよかった」みたいな事を言うのに、直後には「(本番の売春に)行かないでくれ、やめてくれ、って一度でも(明美に)言ったことある?」と詰め寄っている時。シゲも弱っているシーンだから、真に受けてて。・・・シゲがそんな事言えるなら、この二人は恋に落ちてないし、ここまで堕ちてないし、堕ちたシゲを明美は惰性でも好きではいられないんじゃないかなぁ、と。客に対して、共感を得るための台詞なのか、反発を求めていたのか、よく分からなかったけれど。私の中では、反発せざるを得ないところで。そこで見せる、二人の愛の関係なのだろうとは感じるものの、一方、明美とシゲの中だけで分かればいい事を描いているのに、その部分の描写が意外とのっぺりしているなぁ、とも思う(アメリカ行きの船とか、高校教師と教え子だった・・・とか)。
全体的に「叫ぶ」感じの台詞が多く、何でそんなに叫ぶ必要があるのかなぁ、と割と引いた目線で、冷静に見てしまった自分がいた。この台詞、冷静に言ったらどうなるのかなぁ、とか脳内で考え出して。脚本の意図は別に、2020年の上演で、叫ぶのが最善の表現だとすると何か要素が足りなくないかな、と考えて。たどり着いたのは、「下品さ」。出てくる登場人物は、みんなどこか上品だ。「本番」っていう、売春を表す言葉が出ても、何処か上品に聞こえて。あーその部分が、モノ足りなかったのかなぁ・・・と思ったけれど、なんとなく確信も持てずにいる。美智子のバレエ姿が、単に可愛い、って感じてる。「下品さ」が際立っていたら、もっと後光が指すような感情が生まれたのかなぁ、とかそんな想像をしてしまう。作品、初演が1975年。帰宅後、家にある昔の芝居の写真集的なのを引っ張り出してきた。つかこうへい事務所の写真はいくつか載っていて、この作品を原型にした1981年の「ヒモのはなし」っていう作品の写真が出ていた。ヒモは田中邦衛でストリッパーは根岸季衣。演劇的にはアングラブームから小劇場ブームの時代、か・・・。初演、どんな雰囲気だったのかな。もっと下品さ、下世話さが、漂っているん作品なんじゃないかな・・・写真からは判断がつかないけれど。時代の熱のギャップなのかな。・・・振り返りながら、そんな事を考えた。
気になった役者さん。鵜濱咲紀、頭のあまりよくない役所なんだと思うけれど、舌っ足らずで物凄く必死に自分を伝えようとしているのが印象的。抱かれた経験がない、っていう流れは、緑とのやり取りから先の話が読めてしまうものの、何だか切実な、切羽詰まったものを感じた。
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