<観劇レポート>壱劇屋「劇の劇」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 壱劇屋 |
回 | 劇団壱劇屋 2020年 4都市ツアー |
題 | 劇の劇 |
脚本 | 大熊隆太郎 |
演出 | 大熊隆太郎 |
日時場所 | 2020/01/28(火)~2020/02/02(日) シアター711(東京都) |
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団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2005年、高校演劇全国大会出場メンバー(旧・磯島高校)で結成。
2008年より、大阪と京都の狭間、枚方を活動拠点として本格的な活動を開始。
座長・大熊隆太郎の作演出による年間2~3本の本公演のほか、コント公演やイベント出演も多数行う。
「世にも奇妙なエンターテインメント」を掲げ、パントマイム・ダンス・会話劇・コント・アクションなど、様々なジャンルを複雑に融合させた作風が特徴。身体表現を用いたパフォーマンスが、物語進行において大きな役割を果たしている。
不思議なストーリーとマイムで異空間へ導く「世にも奇妙なエンターテイメントシリーズ」、なんでもありのごった煮オムニバス「偽フェスティバルシリーズ」、殺陣ありダンスありの関西小劇場の王道エンタメ舞台「突撃ナリタシリーズ」を劇団の3つのブランドとして作品を創作している。
2015年から、劇団のリーダー・竹村晋太朗の作演出による一切台詞を使わない殺陣を中心とした芝居(ノンバーバル殺陣芝居、2018年「二ツ巴」よりWORDLESS殺陣芝居と呼称を改める)が劇団の主な演目のひとつに加わっている。
https://ichigekiyaoffice.wixsite.com/ichigekiya
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
かつて俳優だった男は語る。
「俺は演劇を辞めた!」と。
しかし彼がそう話す場所は舞台上で、
その姿は観客に見られており、
それは劇そのものである。
彼がいるのは未だに劇の中の…劇1:劇のボリューム
劇2:視線逃避行
劇3:ウルトラミムラメタフィクション
劇4:7年の枠
劇5:実況エボリューション
劇6:くっころ
劇7:死の後の言う話
劇8:ドーキングヘッド
劇9:台詞の台詞
劇10:劇の劇の
観劇のきっかけ
評判が良かったので、急遽、観に行くことにしました。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年1月30日 15時00分〜 |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団のホームページからのリンクで、CoRichサイト上で予約しました。
当日、受付で前売り料金を支払いました。
客層・客席の様子
平日マチネで席は余裕あり。男女比は6:4くらい。様々な年齢層の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・身体表現
・ノンバーバル
観た直後のtweet
壱劇屋「劇の劇」90分休無。
面白い。私にとっては初めてみる表現。舞踏的な身体表現と演劇との中間位、やや演劇寄り?。身体表現を見てるのにいろいろと言葉が浮かんでくるのが不思議な感覚。舞踏をよく見る人だと感じる事違う?人生は舞台って、めちゃ野暮に言葉にするとそういう事か。超オススメ! pic.twitter.com/IrsTJHfzmY— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) January 30, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
まず最初に。この文章では、舞踏というか、身体表現というか、ノンバーバル表現というか、…この類の表現をまとめて「ダンス」と呼ぶことにする。
ストーリー、というより舞台を貫くテーマ、主題は、事前ストーリーの通り「俺は演劇を辞めた!」男の話。ここだけ読むと割と小劇場ではよく見かける「劇団」モノの話かと思いきや、そうではなくて。「劇を辞めても、劇は続くよね」というストーリー。・・・まあ、そもそも「俺は演劇を辞めた!」といいつつ、それを演劇にしているわけだし。そもそも人生って、自分が主人公の演劇なんだし。そんな事を、ダンスなどの身体表現を通して、割と演劇寄りの要素を含みながら進む舞台。
大阪発の劇団、という事もあるのだと思うが、演劇的な要素のパートは漫才っぽい掛け合いもあり笑いの要素も含みつつ、全体としてはダンスと演劇とを融合している舞台。どちらかというと、ダンスよりも演劇の要素が多めに感じる。劇中、ダンスのパートと演劇のパートは、曖昧に移ろったりするものの、割と明確に分かれていた。ダンスのパート、多くのシーンは4つ打ちのビートのはっきりした曲に乗せながら、リズムと、キレッキレのダンスと共に進んでいく。
観ていて、何よりも不思議だったのは、ダンスを観ているのに、頭の中に言葉が生まれてくること。言葉ではなく単に動きで表現しているだけなのに、脳内自然と、次から次へと言葉が生まれてくる。ダンスを観続けているシーンでも、当然のようにストーリーを感じる。緑色のパイプ椅子と緑色の枠でいろいろなものを表現しながら、「演劇の舞台を降りても、人は人生の舞台で演じ続けている」という主題を紡いでいく感じ。ひょっとしたら私が「演劇」をよく観ているからで、ダンスなどの表現をよく見ている人からすると、違うように見えるのかもしれない。
チラシにも見え隠れする、緑色の枠を用いた表現が面白い。劇中でも出てくる、物語の層状のマトリョーシカ構造…「…をしている人を、夢見ている人を、言い訳している人を、実況中継してる人を、説明している人。」みたいな多段の物語層構造を表している場面として使っていたり。人が人の視点から観た時の「主人公の範囲」みたいな事を表している事がある。舞台正面から観た時の、純粋な「面白い形」としての表現も相まって、とても効果的に思えた。
実況中継をしているのが面白いな。年収150万顏のフリーターが、弁当を食べようとしてもLINEのメッセージが来て邪魔されて食べれない。気が付くとその「実況中継」が食物連鎖の鎖を表していて。あれ、何見ていたんだっけ、と思ってしまう。売れない役者の愚痴のような話からスタートしているのに、気が付けばそこは食物連鎖で、その役者さんも連鎖の中の一つになっている。そんな移ろいの表現が鮮やかだった。
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