<観劇レポート>あうるすぽっと「その男、ピッグテイル」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 あうるすぽっと「その男、ピッグテイル」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | あうるすぽっと |
題 | その男、ピッグテイル |
脚本 | 秋之桜子 |
演出 | 寺十 吾 |
日時場所 | 2020/11/22(日)~2020/11/29(日) あうるすぽっと(東京都) |
団体の紹介
あうるすぽっと(池袋にある劇場)の主催公演です。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
しっかりと構築されたストーリー性のある演劇作品を、劇場空間でなければ味わえないダイナミックな演出でプロデュースします。
演出を劇団"tsumazuki no ishi"を主宰し劇団作品の作・演出・出演のみならず、映画監督や外部の演劇プロデュース公演でも演出家・役者として引っぱりだこの寺十吾に託します。脚本は、演劇集団「西瓜糖」を2012年にたちあげ、骨太なストーリーテラーとして注目の劇作家・秋之桜子に書き下ろしの新作を委嘱しました。
江戸から明治へ時代の大きな転換期、社会の価値観の急激な変化に戸惑いながらも明日へ向かう若者達の「生」を描き、変化と淘汰を余儀なくされている現代をも想起させる意欲作です。
実力派・個性派若手役者陣が見せる化学反応に、どうぞご期待ください。
観劇のきっかけ
好きな役者さんが出演しているからです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2020年11月22日 17時00分〜 |
上演時間 | 130分(途中休憩なし) |
価格 | 5000円 全席指定 |
チケット購入方法
当日券を、電話で予約しました。(方法はホームページに記載あり)
当日、現金で代金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年齢の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・時代劇
観た直後のtweet
あうるすぽっと「その男、ピッグテイル」130分休無。
平安・明治・現代を駆け抜ける”ツバを合わせない”戦いの物語。あうるすぽっと一杯使う演出。殺陣多く迫力すごい。物語、100分目くらいでやっとああ!と入り込め、そこでオチまで読め。ちとまどろっこしい感とテーマ強すぎ感有。ジェダイに似てる? pic.twitter.com/B5jikurr5Z— てっくぱぱ (@from_techpapa) November 22, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
舞台全体の迫力がすごい。中心に置かれた階段状の舞台セットを回転させながら、様々な空間を描き出す。プロジェクターの映像と相まって、空間の圧力が強い。あうるすぽっとは、こういうダイナミックな演出をするのにとても向いているなぁ、とも思う。物語を貫くのは、武士…もののふ、の物語。殺陣のシーンやアクションのシーンが多く、これも相当な迫力。
物語は、平家の落人から始まる。「刀を合わさない」事を伝統とし、代々、もののふの魂を受け継いできた平家の落人。明治の世になっても、山奥に里を築いて住んでいて、文明社会を知らない。そんなもののふの夫婦、ウツギとササユリが、暗殺される直前の大久保利通、武士の不満が高まった時代にやってきたらどうなるか、というお話。冒頭、この伝統が産まれたいきさつを表す、斬首のシーンが鮮烈。
大久保とウツギが、庭で剣術の手合わせをしているシーンが印象的。人は、いずれ誰でも寿命が尽きて死んでしまうのに、己の我(ガ)で相手を殺してしまうのは何故か、という問いかけ。我と我が、ぶつかった時、人は鬼となり、どうしようもない醜い争いをしてしまう。それが、明治の混乱期の、士族と維新派との闘争に置き換えられていくのだが、客には同時に、古今東西の人々の争いに思いを馳せる。ラストに差し込まれる現代のシーン。「刀を合わさない」が、コロナ禍の今の世ではソーシャルディスタンスとなり、今の世にも通じる物語を暗示させる。ちょうど先日、アメリカの大統領選を終えた直後でもあり、「分断ではなく結束を」なんていう、バイデンの言葉も頭をよぎる。
物語の壮大さが原因なのか、中盤に至るまで感情移入やカタルシスを感じる場面が少なかった。「ああなって、こうなって、そうなって」の説明の時間がかなり長い感覚で、中々物語に入っていけなかった。前述の、大久保とウツギの会話で、物語が一つにつながって見えるのが、開演後90分~100分くらいだった記憶。それまでの描写が、どうしても状況説明に見えてしまって、じれったい感覚にフラストレーションが溜まった。その反動か、ラスト30分、伏線回収の鮮やかさもあり。前半どこかで、客側に「何故?」という問いかけをする場面があると、更に物語に入りこめたのになぁ、と思った。
「ピッグテイル」、ぶたの尻尾とは、ちょんまげを見た時の外国人の表現。ウツキの里では、もののふになると、髷を結う。