<観劇レポート>コンプソンズ「何を見ても何かを思い出すと思う」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 コンプソンズ「何を見ても何かを思い出すと思う」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | コンプソンズ |
回 | コンプソンズ#7 |
題 | 何を見ても何かを思い出すと思う |
脚本 | 金子鈴幸 |
演出 | 金子鈴幸 |
日時場所 | 2021/04/07(水)~2021/04/18(日) 「劇」小劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2016年、金子鈴幸・星野花菜里が主宰として明治大学 実験劇場を母体に発足。ある実在の出来事を題材に事件から事件、あるいは現実から虚構を縦横無尽に渡り歩く作風が特徴。速射砲の如く繰り広げられるナンセンスギャグとこじつけによって物語はあくまで物語としての結末を迎える。
過去の観劇
- 2024年10月18日【観劇メモ】コンプソンズ「ビッグ虚無」
- 2024年04月19日【観劇メモ】コンプソンズ 大宮企画「映画のパロディ」
- 2023年08月05日コンプソンズ「愛について語るときは静かにしてくれ」
- 2022年04月06日コンプソンズ「イン・ザ・ナイトプール」
- 2020年12月11日「脳天パラダイス」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
この度コンプソンズは、2020年3月に新型コロナウィルスにより中止となった演劇作品『何を見ても何かを思い出すと思う』を、2021年4月下北沢・劇小劇場にて上演致します。
昨年に中止となった公演から、新たに出演者と、楽曲提供に額田大志(ヌトミック/東京塩麹)を迎え、下北沢を舞台にした若者たちの群像劇をお届けします。
[あらすじ]
有名なカレー屋に向かうカップルがいて、手応えのないライブを終えたバンドマンがいて、劇団で売れようとしてたのに一人だけ事務所に入って後ろめたい役者がいる街で、「まぁそんなことはほっといて銭湯でも行こうよ」とはしゃいでると「うるせぇんだよ」とヤバイ目をした男に絡まれる。あーあと思ってツイッターを見ると噂がかけめぐっている。
「下北で向井秀徳が路上ライブやってるらしい」 2010〜2020年のあいだに移ろいゆく人間関係を描く、青春群像劇。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年4月7日 19時30分〜 |
上演時間 | 115分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
Confettiのホームページでチケットを予約、カード決済しました。
モバパスアプリにチケットを取り込んで、当日アプリ画面を提示しました。
客層・客席の様子
男女は5:5くらい。
若い層が目立ちました。観劇初心者かな、という人も多く。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・笑える
・会話劇
観た直後のtweet
コンプソンズ「何を見ても何かを思い出すと思う」115分休無
面白かった。けどやっぱり訳わからん。今回は話は分かりやすいのに分からん。固有名詞は半分くらい理解。でも絶妙なタイトル含めコンプソンズの本質?っぽい気も。
会話劇としての構造が面白いけど、そこは騙されてる気もするw。オススメ! pic.twitter.com/qwMWeDRcgk— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 7, 2021
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
やっぱりコンプソンズは、言葉にするのが難しい。今回の作品、割とストーリー…というか、舞台上で何が起きているのか、スッキリ理解出来たのだけれど。じゃあ作品として何が言いたいのか、みたいなことが言葉にならない。…特に言葉にするような意味はないのかな…。毎回、コンプソンズ作品を観て悩んでいるけれど。
ストーリーは。2011年~2021年の様々な世界を、演劇・小劇場を目指す人々と、映画を目指す人々、その周りの役者さん達や、幼馴染の人々などなどの、1つの緩い人間関係を軸に繋いでいく。時間が行ったり来たり、会話していると、突如時制が変わったりもする。思い出なのか、未来を見ているのか、登場人物たちは分からないけれど、時に未来や過去の会話をしながらの生き様を描く。そして今回は、1980年~2020年位?のサブカルや風俗の言葉たちをマシンガンのように散りばめる(相変わらず半分くらいしか分からない)。ラスト、一人の俳優が死んだ、という連絡が来るので、その俳優の死をキッカケにした、回想であり追悼、という作品の解釈の仕方もあるな、とは思うものの。やはり決定打というか、決定的な作品の解釈を提示しない作品スタイルは、これまでの作品同様。
「何を見ても何かを思い出すと思う」というタイトルが、とても絶妙だな、と思う。
開場後、舞台にプロジェクター投影される、どこかで見たような町の風景。…多分下北沢の町の風景だと思うけれど、下北沢をよく知らなければ、日本全国津々浦々、どこにでもあるようなありふれた風景を映しているようにも見えてしまう。一方、舞台で展開される会話も、一つ一つの言葉が、ドキドキするほど鋭いのに意味ありげなのに無意味で、しかもどこまでもよく理解できない言葉。でも、作品を観ている最中にも、過去のセリフを思い出したりする。正に「何を見ても何かを思い出すと思う」。別れた彼女の面影とか、あきらめきれない夢とか、中学校時代の名前すら忘れてしまった得体のしれない友達とか、ふと何かを見た瞬間に思い出して、1人感慨にふけっているようなあの感覚。正にタイトルの通りだなぁ、なんていう事を思うのと。これまでのコンプソンズの作品自体が、「何を見ても何かを思い出すと思う」といわれると「そうそう」という気もしてくる。ふと、ここ何作か観ている作品をフラッシュバックしながら、割とコンプソンズを表す言葉なのかなぁ、というのをぼんやりと思っていた。
小劇場、中々売れない劇団の自虐ネタっぽいのが多分に盛り込まれているからかだろうか、コンプソンズ、という劇団についてふと気が付いた事がある。劇団って良かれ悪かれ「演劇している私たち、嬉しい、楽しい、大好き」感が出ている。そういうフレッシュさに惹かれて、観客は劇場に足を運ぶのだけれど。コンプソンズからは、そういう雰囲気が希薄な事に気が付く。…これまでもそう感じていたのだけれど、言葉に出来ていなかった気がする。実際、演劇創るなんて面倒なものは、何らかの情熱なりこだわりが無ければ、創るのは難しいだろうけれど。なんだろ、この妙に突き放された心地よい感覚。制作はしっかりしているし、一見さんお断り…みたいな雰囲気は全く無いのに、作品から感じる妙な素っ気なさ、ドライさ、ツンデレさ。作品の解釈の難しさと併せて、こんな空気感が、コンプソンズっぽさなんだろうなぁと思った。
10人の役者さんの個性が、変わらずもそれぞれ全く違う方向に走り出しているのも魅力的。ここまで被らないのもすごいな。客演の、小野カズマの緩急自在なダンディズムと、石渡愛のちょっと影がありそうな可愛さ、東野良平の若干鬱陶しい感覚、が印象的。「高橋ジョージを思い浮かべながら死ぬのは嫌だ」、笑った。過去観た作品より、今回はシンプルな作品だったからかな、ここまでコンプソンズに馴染むのが凄い、という感覚もあり。