<観劇レポート>iaku「逢いにいくの、雨だけど」(2021年再)
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 iaku「逢いにいくの、雨だけど」、2021年の再演版の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | iaku |
題 | 逢いにいくの、雨だけど |
脚本 | 横山拓也 |
演出 | 横山拓也 |
日時場所 | 2021/04/17(土)~2021/04/25(日) 三鷹市芸術文化センター星のホール(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
劇作家・横山拓也による演劇ユニット。横山のオリジナル作品を日本各地で発表していくこと、また各地域の演劇(作品および情報等)を関西に呼び込む橋渡し役になることを指針に、2012年から本格的に活動を開始。作風は、アンタッチャブルな題材を小気味良い関西弁口語のセリフで描き、他人の議論・口論・口喧嘩を覗き見するような会話劇で、ストレートプレイの形態をとる。小さな座組でカフェやギャラリーなど場所を選ばずに全国を巡るミニマルなツアーと、関西屈指のスタッフ陣営を敷いて公共ホールなどを中心に組む大きなツアーを交互に実施。ほとんどの作品で上田一軒氏を演出に迎え、関西の優れた俳優を作品ごとに招くスタイルで公演を行う。繰り返しの上演が望まれる作品づくり、また、大人の鑑賞に耐え得るエンタテインメントとしての作品づくりを意識して活動中。
過去の観劇
- 2024年07月19日 【観劇メモ】iaku「流れんな」
- 2023年12月03日 iaku「モモンバのくくり罠」
- 2023年04月21日 iaku「あたしら葉桜」
- 2022年11月07日 劇団俳優座「猫、獅子になる」
- 2021年10月29日 iaku「フタマツヅキ」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
27年前。絵画教室に通う幼い二人の間に起きた小さなもめごとの最中、不可抗力で男の子が片方の目を失明してしまった。あの事故以来、会っていない彼のことが記憶の中に立ち上り、彼女は彼に会いに行こうと決意する。ニュースにはならない、しかし、それぞれの人生に多大な影響を与えた出来事を巡り、その後の人生、親同士の関係、被害者になること、加害者側に立つこと、そして「許す/許される」とは何かを考察する。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年4月21日 19時00分〜 |
上演時間 | 125分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席指定 |
チケット購入方法
良い席が欲しかったので、三鷹市のプレイガイドで予約しました。銀行振込で決済。
チケットが郵送で送られてきました。
開演時間が19時30分から、19時に変更になりましたが、メールで意思確認が来ました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
様々な年齢層の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・泣ける
・会話劇
・静か
・考えさせる
観た直後のtweet
iaku「逢いにいくの、雨だけど」125分休無
演劇って恐ろしいよね。こんなよくわからない感情も描けるんだものね。少し冷静に観れるかな、と思ったけど、くちゃくちゃだった。初演より感情が深かった。これが岸田賞だったよなぁ。超オススメメメ!! pic.twitter.com/on8W8luFOQ— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 21, 2021
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
2018年の初演を観た。当時は演劇の感想をブログに書き始めたばかりだった事もあり、ものすごく感激した感想を、ここにぶつけている。再演。…あの時の感動が壊れたらどうしよう、という不安もあったけれど。ポツポツとtwitterで聞こえてくる感想が、その不安を払拭してくれて。
素晴らしかった。もうこれ以上の会話劇があるのかな、というくらい。初演のDVDも手元にあって何度か見ているし、もう少し冷静に観れるのかな、と思ったけれど。だめだ、涙が止まらない。もうどうしたらいいの。異儀田夏葉演じる君子が、新人賞を受賞してウジウジしているあたりから、もう涙腺がダメだった。
宣伝記事なんかでは、初演とは「少し違う」と書かれていたけれど、個人的な感想としては初演とは大きく変わった個所は無かったように思う。なので、作品に対して感じる感情が、大きく変わる事は無かった。細かく台本まで見比べた訳ではないので、気持ちが落ち着いたら、もう一度初演のDVDを見直してみようとは思う。
むしろ初演との違いとして感じたのは、一つ一つの感情の動きが、とても丁寧に描かれていた事。初演の時は遅れて入ったので最後尾の列で観た。今回は最前列で観れたので、その差もあるかもしれない。その一つ一つの動きが、手に取るように分かる。スピードが必要な演劇ではない、純な会話劇なので、その確実なキャッチボールが見事にハマり切った。そんな印象だった。役者さん…初演との違い、というので感じたのは、川村紗也演じる潤ちゃんの母の心の動きがさらにさらに深まったのと、納葉演じる、智のヒラヒラした感覚が、場に収まった感覚を強く感じた。
舞台美術。初演と同様、球場を模した段差の舞台。初演の時はかなり高さのある舞台だった。観ていて「あー、役者さんこれ、高くて、移動するの怖いんじゃないかなぁ」と思ってたのだけれど、今回は、構造はそのまま、高さが低くなった。初演の、少し不安定なところを渡り歩く役者さんの動きが、感情描写にも繋がっていた気がするので、その部分が少し残念に感じた部分はある。一方、動きやすい舞台になった事で、感情のキャッチボールが安定する面はあったように思った。
・・・本来、初演との違いで感想を語るのはちょっと違うかな、という思いもありつつ。あまりにも、力強い話で、そうやって捉えるのが精いっぱい、というのが正直なところ。
一つ気が付いた事は。この物語、なんとか冷静に捉えようとすると、なんで涙しているのか、自分でもよく説明できないこと。感動系の話ではないのに、涙が止まらない。宣伝の説明にも、当日パンフにも、初演の時の感想にも「許す/許される」の物語、と記載されているのだけれど。少し頑張って冷静に観てみると「許す/許される」の話でもないような気がする。人の人への愛の物語と捉えたほうが、しっくりくるのかもしれない。…ま、許すは「愛」だと言われれば、その通りなのかもしれないけれど。
そして、今回も一番涙したのは、松本亮演じる、風見の一言。「俺も監督にバカヤローって言ってやろうかな・・・言えないんですけれどね」っていう一言。8人の登場人物すべてに、どこか感情移入出来る物語なんだけれど。生き方としてはとても不器用な風見に、とても感じ入る所が多かった。