<観劇レポート>MCR 「Smells Like Milky Skin」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 MCR「Smells Like Milky Skin【5月8日~5月11日公演中止】」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | MCR |
題 | Smells Like Milky Skin |
脚本 | 櫻井智也 |
演出 | 櫻井智也 |
日時場所 | 2021/05/12(水)~2021/05/16(日) ザ・スズナリ(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。
コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。
また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。
過去の観劇
- 2024年04月26日 【観劇メモ】MCR「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)」
- 2023年12月23日 MCR 「シド・アンドウ・ナンシー」
- 2023年09月17日 MCR「絡め取りプリンセス投げ」
- 2023年06月14日 MCR「死んだら流石に愛しく思え」最終版(2023年)
- 2022年12月03日 MCR「無情」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
新作を書くのは久しぶりな気がします。
それどころか、こんなに書きたいと思う作品は初めてかもしれません。
劇団を旗揚げした際、自分の中から湧き上がる得体のしれない衝動を紙に殴り写したあの時のような、
そんな気持ちでいます。
それは個人的には、とっても幸せな事だと思っています昨年予定していた公演を、1年間の延期の末に上演することになりました。
あれから今日まで、何にも無かったし色々ありましたけど、それはこれからも続くんだろうなと思います。
なので、例えるならば蜃気楼のような
「何もないくせにあなたの目の前には存在している」僕たちでありたいと思っています。櫻井智也
【あらすじ】
まあまあ仲の良い夫婦に子供ができました。
まあまあ仲の良かった夫婦はそれを機にとても仲良しになりました。
セックスは無くなったけれど、会話はたくさん増えました。
自分が今、確かに幸せだと自覚できる、そんなある日、子供が死んでしまいました。
夫婦の会話は更に増えました、その殆どが、お互いを傷つけ合う言葉になったけれど。
+++
「子供がいなくても上手く回っていた」のに「子供がいなくなった事で上手くいかなくなった」夫婦と、
そんな夫婦の日常を「慈悲や悲哀や無神経を振りかざして」踏み荒らす人々が繰り広げる情景を
愉快な罵詈雑言で綴る、つまりは、どれだけ笑っても、どれだけ泣いても、どれだけ無我夢中になっても、
いつだって甘いミルクのようなあの子の匂いが鼻の奥にこびり付いて離れない暗夜に灯火を失った人たちの
それでもあなたには曙光が射し込むおはなしです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年5月13日 19時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページからで予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらいでほんの少し男性が多め。年齢層は様々でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・シリアス
・考えさせる
観た直後のtweet
MCR「Smells Like Milky Skin」100分休無
男女で感じ方大きく違うのかなぁ。男の視点、同じように息子を持つ立場として、お父さんの感覚がすごくよく理解できた。すごい断絶があるんだけど、叫んでも伝わらないのに、この作品ならそこに確実にあるミゾをお互い認識くらいは出来るのかな。超オススメ! pic.twitter.com/8KQ6GmwFKl— てっくぱぱ (@from_techpapa) May 13, 2021
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
交通事故で息子、太郎が3歳で死んだ。失意に打ちひしがれていた夫婦に、オッサンになった太郎が帰ってきた。どうやら「あっちの世界」で宝くじに当たったらしくて、つかの間、この世に戻る権利を得たらしい。夫と、妻と、太郎。そしてその周りの人々が感じる絆の物語。
私自身、今中学生の息子がいて。そんな中での妻とのコミュニーションというか、おそらく男と女のモノの見方の違い、みたいなものが、あまりに的確に表されていて、とても怖かった。夫が不倫に走った理由を妻モトキが受け止める態度と、その直後、太郎が限られた時間しかこの世には居られない事が分かる時の取り乱し方の対比が、怖いくらいに理解できた。
男の視点では、女性の「愛情」、女性の態度が、時にはヒステリーみたいなものに見えてしまう。それを、父、奥田が、冷静に論破する。…ストーリーとしては、不倫に対するいい訳でもあるのだけれど、そのお互いの性の差が、立体化して見えてきた。
劇中「腹を痛めて産んだ子」っていう表現が出てくる。一般的にも、女性と子供の絆についてはよく言われる事だけれど、子供に対して、男と女で、ここまでモノの見方が違うのは、本当に「性別」の違いなのだろうか。それ以外に差があったりするのだろうか…いやいや、そもそも性が違うんだから違っていいのか…溝があってしかるべきなのか…。そんな事が頭の中をグルングルンと回った。
奥田は、三澤と、びっくりドンキーでビックリしながら、いずれ結婚するのだろうけれど。この二人に子供が出来たら、また同じような事が起こるのかな。だって、奥田とモトキだって、きっと「この人しかいない」って言って一緒になったんだし。…「子はかすがい」って言葉があるけれど、これまで思っているのとはだいぶ違う意味の「かすがい」なのかな、とも思った。
MCRに出演する役者さんは、独特の愛おしさを背負って出てくる。なんだろうなぁ、この雰囲気。佐賀モトキ演じる母の変わり具合と、三澤さき演じる不倫相手、加藤美佐江演じる太郎が見えてしまう子供が、特に印象的だった。北島広貴の「やあやあやあ」っていうのは、定番のネタだろうか。「死んだら流石に愛しく思え」をフラッシュバックする。