<観劇レポート>制作「山口ちはる」プロデュース「ビニール袋ソムリエ2021」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 制作「山口ちはる」プロデュース「ビニール袋ソムリエ2021」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 制作「山口ちはる」プロデュース |
回 | 制作「山口ちはる」プロデュース |
題 | ビニール袋ソムリエ2021 |
脚本 | 雲隠ノノ太郎 |
演出 | 雲隠ノノ太郎 |
日時場所 | 2021/10/13(水)~2021/10/17(日) 駅前劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
制作「山口ちはる」プロデュースとは
2017 年からスタートさせ、月に 1〜2 本の驚異的なペースで公演をプロデュースしている。
結成 4 年目に関わらず、現在 40 回以上の公演を行っている。
2020 年には2カ月連続本多劇場公演を行う。
固定のジャンルにこだわらず、様々なことに挑戦を続けている。舞台演出家以外にも「映画監督」に作・演出をお願いし舞台制作なども行っている。
過去の観劇
- 2023年04月18日制作「山口ちはる」プロデュース「東京と歩む」
- 2022年03月05日制作「山口ちはる」プロデュース「THE LAST SHOW」
- 2020年10月10日制作「山口ちはる」プロデュース 「俺の屍を越えていけ」
- 2019年01月19日「山口ちはる」プロデュース「さよなら光くん、さよなら影さん」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
「今から行くよ」
佐藤は親友から届いた招待状を握りしめそう呟く。
そしてあまりにも自然にファミリーマートのビニール袋を頭にかぶる。終わらないキャッチボール。
世界一の母さんのお弁当。
いかれた彼女の告白。頭上の世界は日に日に膨らんでいった。
傘に落ちるパラパラ。
今日はやけに耳に残るな。午前11時。全国の覚醒したソムリエ達が下北沢駅前に集結する。そして。
ビニール袋と共にあらんことを!
ビニール袋と共にあらんことを!
ポリエチレーーーン!ああ、最高だ。
午後からは晴れるらしい。
虹が見れるかもしれないな。
物語へと通じる扉を開け放ち。うっすらと佐藤そんなことを思う。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年10月15日 19時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 4000円 全席指定 |
チケット購入方法
CoRichの公演情報ページから予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5。若い人が多い客席でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・笑える
・アホ
観た直後のtweet
制作「山口ちはる」プロデュース「ビニール袋ソムリエ2021」100分休無
生涯に観た演劇の中で一、二を争う下らなさ。くだらね〜〜〜~!でも全力でくだらねえ。たまらねえ。細かいネタが客層と若干合ってないのが無念。作者は40代?オジサンは腹筋が痛い。May the plastic bag be with you.超オススメ! pic.twitter.com/otmMOyL2j6— てっくぱぱ (@from_techpapa) October 15, 2021
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ビニール袋ソムリエの闊歩する、ビニール袋を頭から被っていないと、テロリストに殺される世界で、テロリストの佐藤が、周りの雰囲気によってテロリストたちに従順になり、そして自らの考えを取り戻していく話。って、ストーリー書いても一体何のことや。そんな「ビニール袋ソムリエ」の世界を、まるでビニール袋=ナチスか何かによるファシズムの洗脳に抗った、かのように描く作品。
・・・久しぶりに観た、ブッ飛んだ演劇。「くだらねー」とか「ばかじゃねーの」という言葉しか出てこない。しかも、音響照明は、この異様な世界に惜しみない演出効果を付け加えて、一大冒険活劇に仕上げている。バカのクオリティが高すぎて、開いた口が塞がらない。・・・お久しぶりな感覚。演劇らしい「アホ」を、一直線に表現した作品に出会った。痛快だった。
各所に出てくる、下北沢の劇場ネタや、コンビニの袋を頭に被るから出てくるコンビニ比較ネタ(「ナナチキ」と「ファミチキ」の話とか)、あるいは、下北沢の小劇場界隈に関するネタ(「シアター711」の711は、本多さんの誕生日だとは知らなかった)。随所随所に、クスクス笑いが続く感覚。割と真面目なシーンでも、ふとビニール袋被っている様子を客観的に見ると可笑しさを感じて、笑いが押し寄せてくる。でも演じる方は大真面目。「高がビニール」を、「されどビニール」と扱う、迫真の演技で、世界をくみ上げる。
ビニール袋に熱中している舞台を観ていると、ふと、物語って一体何だろう…なんて事が頭をよぎる。もしこれか、「ナチスの鉤十字」だったら全く笑えない、むしろ権力に立ち向かう感動の物語ですらあるのに。ビニール袋にした途端、アホさが滲み出てくる。その「笑える」と「笑えない」の紙一重の違いって何だろう、僕らは普段、一体何に感動しているのだろう…、そんな、ちょっと哲学的な問いに思いを馳せたりもした。
コロナ禍の中、政治や疫病をどこか匂わせる真面目な物語が多い中、ここまで秀逸な方法で、世界を「おちょくって」みせるのも凄い。細かいネタを拾いながら、クスクス笑って、笑い続けて、観終わった後、腹筋が痛い。痛快。痛快。とにかく気持ちがいい。最高な作品だった。
それにしても、ラストに近いシーンでのセリフ、『「楽園」の柱を切ってきた』っていうのは、たまらねー。忘れられない。