<観劇レポート>劇団三日月座「天邪鬼」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団三日月座「天邪鬼」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団三日月座 |
回 | 劇団三日月座2021年度秋公演 |
題 | 天邪鬼 |
脚本 | 中屋敷法仁 |
演出 | 佐野晃基 |
日時場所 | 2021/11/19(金)~2021/11/28(日) 横浜国立大学 第一食堂裏(神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
劇団三日月座は、横浜国立大学唯一の公式演劇サークルです。
このサイトでは、最新の公演情報はもちろん、過去に上演してきた作品の概要もご覧いただけます。
今までご来場いただいたお客様も、これから見てみようかなとお考えのお客様も、ジャンルを問わず様々な演劇に挑戦し続ける三日月座をどうぞよろしくお願いします!
過去の観劇
- 2024年11月23日【観劇メモ】劇団三日月座「略式:ハワイ」
- 2022年10月23日劇団三日月座「あの部屋が燃えろ」
事前に分かるストーリーは?
ストーリーの記載は見当たりませんでした。
劇団 柿喰う客によって、2015年に初演された、中屋敷法仁の作品です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年11月20日 19時00分〜 |
キャスト | Bキャスト |
上演時間 | 105分(途中休憩なし) |
価格 | カンパ制 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichで予約しました。
当日名前を告げて入場しました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらい。
学生さんは多いですが、他にも様々な年代がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
野外公演なので、寒さ対策をしての観劇が良いです。特に下半身が寒い。
・にぎやか
・現実と虚構と
観た直後のtweet
劇団三日月座「天邪鬼」105分休無
劇団も作品も初見。大学構内の野外ステージで。元作の演出との類似は分からずも野外上演の雰囲気が、作品に超絶マッチしてる。空間圧が凄い。時折聞こえる学内の雑音でさえ作品の一部に思え。ラストそう来たか。横国だし中屋敷+からさんなのね。超オススメ!も売切! pic.twitter.com/eLGuxlUq1d— てっくぱぱ (@from_techpapa) November 20, 2021
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁の2015年の作品。柿喰う客は、映像を含めて何本か作品を観たことがあるが、本作「天邪鬼」は初めて。劇団三日月座は、横浜国立大学の演劇サークル。私が学生の頃から存在は知っていたけれど、同劇団の作品を観るのは初めて。
柿喰う客の独特のスタイルというか、素早いセリフ回しの中で次々と場面を変えながら進む展開は、劇団三日月座バージョンでも同様。6人の俳優が身体をめんいっぱい使い、虚構の戦場や、古今東西のおとぎ話の世界を表現していく。作品のテーマは、一言で言ってしまうと「虚構の大切さ」「虚構の愛おしさ」。虚構に逃げ込む事は決して悪い事ではない、みたいなことを、短く素早く展開するシーンが、一見ストーリーがないやり取りなのに、ごくごく感覚的にすり込んでくる。柿喰う客が公演した時は、実際どんな演出だったのかが、どうしても気になってしまうものの、三日月座バージョンも、私が知っている「柿喰う客」のスタイルを、大きく逸脱はしていなかったようにも思う。
ただ、この作品を、野外のステージでやってしまうのが、演劇の空間造りという点で凄く面白い。「虚構」の世界に迷い込むお話をされている中なのに、風にさらされる寒い客席の「現実」感。夜の大学構内、時折、談笑しながら歩いてくる学生の声が遠くに聞こえ、車のライトの光がステージに漏れ当たる。紛れもない「現実」の侵入。でも、舞台上では、シンデレラに憧れ、ミニカーの戦車に脚を潰され、クリスマスツリーそのものになる。身体を尽くして描かれているのは、紛れもなく「虚構」。そのギャップが何とも演劇的、刺激的な空間で、寒さに震えながら酔いしれた感覚だった。あるいは、この野外劇場で初めて観る作品が「天邪鬼」だった事が、とても幸運だったかもしれない。
ラスト。舞台後方、つぎはぎされたブルーシートが落ちて、虚構の世界が、現実の世界に繋がっていく。この演出は…確か「唐組」の大好きなやつ(と伝え聞いてるやつ)じゃないか(まあ、唐組の場合は、高層ビルとかだったらしいけれど)。そういえばここは、横浜国大。唐十郎のおひざ元か。思わず、おおと唸ってしまう。…柿喰う客の元バージョンではラストをどう表現していたのか気になる所(勝手な予想だけれど、多分ここまでの大掛かりな演出は存在しない気がする)。私の中で勝手に、横国と唐作品を連想しているのは認識しつつ、中屋敷作品に70年代アングラの、野外の、荒々しさを、(ひょっとしたら創り手の意図を超えて)組み込んだテイストだったのかなぁ、なんて事を、終演後に振り返りながら思った。
柿喰う客の元作品の映像、残っている。しかも今は無料。どう違うのか、見比べてみたいような気もするし、この空間のインパクトをそのまま残しておきたい、という想いもあり。見るかどうか、悩むところ。