<観劇レポート>MCR「あの部屋が燃えろ」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 MCR「あの部屋が燃えろ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | MCR |
回 | MCR |
題 | あの部屋が燃えろ |
脚本 | 櫻井智也 |
演出 | 櫻井智也 |
日時場所 | 2021/12/15(水)~2021/12/19(日) OFFOFFシアター(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。
過去の観劇
- 2024年04月26日 【観劇メモ】MCR「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)」
- 2023年12月23日 MCR 「シド・アンドウ・ナンシー」
- 2023年09月17日 MCR「絡め取りプリンセス投げ」
- 2023年06月14日 MCR「死んだら流石に愛しく思え」最終版(2023年)
- 2022年12月03日 MCR「無情」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
2014年に上演した「あの部屋が燃えろ」を改訂して再演します。
「いつまでも、昔を愛でてのセンチメンタルでもないよな」とも思うんですけど、色々と変化した景色の中、昔から見えて来るものも今だからあるんじゃないかな、という気がしています。櫻井智也
+++
東京都杉並区、商店街を抜けた先、
一階、風呂無し、外に共同シャワーあり。
隣には友だちが住んでいて、
うちの冷蔵庫に入ってるものを僕が留守の間に自分の部屋に持ち帰る。
僕はそういうアパートに住んでいる。
鍵は付いているんだけど、なんでかみんな、
素手でうまいこと鍵を開ける術を知っている。
知っているから、帰ってくると、
知らない人が横になってテレビを見ていたりする。
僕はそういう部屋に住んでいる。もしもあの頃に戻れるならば、
あの時間をアパートごと、燃やしてやりたいと思う。つまりどういうことかというと、
世の中の基準が部屋にまで届かない閉鎖的な世界観を、
溢れる罵詈雑言と小気味よいリズムの会話群で
空間をいびつにも広げようと努力する人たちの、
結局は畳を指でガリガリするだけだったりする、そんなおはなしです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2021年12月15日 19時30分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 3000円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団のホームページからのリンクで予約しました。
当日現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年齢層の人がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・泣ける
・笑える
・会話劇
観た直後のtweet
MCR「あの部屋が燃えろ」100分休無
四畳半?1間のアパートでの群像劇。ここまでのセルフ応援歌、を書けるのは凄すぎだよなぁ。もう、ちょっとした照れくさみたいなのを優に飛び越して、清々しさがあり。優しくて、悲しくて、研ぎ澄まされてて。元気になりました。オススメ! pic.twitter.com/ygJEr4VZlR— てっくぱぱ (@from_techpapa) December 15, 2021
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
2014年初演の作品を、再構成して再演との事。感想書くのが難しい。
MCRを観て、もう何本になるのだろう。…数えてみたら今回で7本目だ。まだまだにわかファン、でしかないのだけれど。展開される空間が、とにもかくにも愛おしくて、愛おしくて。クセになって、毎回観に行く、という感覚が強い劇団。…でも今回の作品は、作・演出の櫻井智也の自伝的な要素が強く含まれているように感じて、観ている側にはある種の辛さ、痛さがある。何しろ、役名と役者さんの名前が一緒なのだし(いつも通りとはいえ)。
シンプルに言うなら、主人公の澤を含め、智クンを取り巻くすべての登場人物が、どこか客の想いを、代弁しているのかもしれない。何者かになろうとして、でも何者にもなれない、絶望。未来が見えたらいいのにな。お金があったらいいのにな。泣きながら一緒に走ってくれる友達がいたらいいのにな。…そういう、ある種のヨコシマ?な期待。それを乗り越える過程。本来、客は知り様もない部分が、全て本人によって俯瞰した目線で、コミカルに丁寧に描かれている。観ていて、とにかくヒリヒリするほど痛い。本来なら、決して観たくない、フタを開けたくないものかもしれない。
それでも、観たくないものも丁寧に切り取って舞台にする。お決まりのヤクネタ、AVの下品なネタ、藤子不二雄のような漫画家も交え、バカ笑いしなながら、丁寧に絶望を切り取ってくる。絶望に、ここまで真摯な言葉で向き合えるって、なかなかない。物語云々という感想以上に、その事の印象が大きい。愛おしい。愛おし過ぎる。…愛おしいなんて言葉で感想を書くこと自体が、気楽な客の残酷さ、なのかもしれないとは思いつつ。
ここ何本か観ている作品では、カーテンコールに立つ櫻井智也が、満面の笑みで送り出してくれる。笑いながらヒリヒリした後に、カーテンコールで泣きそうになる。拍手を止めて舞台に手を振りたくなるなんて、他の舞台を観ていても、私はこの瞬間しか知らない。日々の生活で疲れて肩に乗った憑き物が、一気に飛び散って、軽くなる感覚。とにかく大好き。ただそれだけなのかもしれないけれど。