<観劇レポート>fukui劇「母孵ル、」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 fukui劇「母孵ル、」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | fukui劇 |
回 | fukui劇 vol.10 |
題 | 母孵ル、 |
脚本 | 福井しゅんや |
演出 | 福井しゅんや |
日時場所 | 2022/02/23(水)~2022/02/27(日) 劇場MOMO(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
福井しゅんや
fukui劇主宰、脚本家、演出家1990年10月、 奈良県宇陀市生まれ。
京都造形芸術大学舞台芸術学科卒業、
同大学院芸術学部舞台芸術領域修了。
在学中より映像や舞台に役者として出演、演技・舞台演出を学ぶ。
2013年、同大学舞台芸術学科卒業制作作品『蟲(むし)を解放(はな)つ。』にて最優秀学生作品賞および学長賞を受賞。
過去の観劇
- 2022年12月21日 fukui劇「美々須ヶ丘」
- 2022年07月23日 三栄町LIVE×fukui 劇 「うねるペン2022」
- 2022年05月05日 三栄町LIVE×fukui 劇「まどうペン~さよなら私のいびつな純情~」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
とある一軒家。結婚のあいさつのため、婚約者、その仲人とともに、十年ぶりに帰郷した奈美子。
彼女たちは実家の居間にて、大きな卵と遭遇する。父や兄弟の話では、奈美子が去った後、失踪した母に代わるように、裏庭で見つかったのだという。
この卵はもしかして、母のものだろうか、、
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年2月24日 15時00分〜 |
キャスト | Bキャスト【初春の夜】 |
上演時間 | 80分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席指定 |
チケット購入方法
CoRichで予約しました。
当日、受付で現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は7:3くらい。
40代upの男性と、若い女性が目立ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
fukui劇「母孵ル、」80分休無
劇団初見。ん~めちゃんこ面白かった!!緻密なセットで繰り広げられる会話劇。一見静かな演劇?な感じするも、気がつくと、めちゃくちゃ変なところに拉致られてた感覚。所々アダルティ。設定の面白さと、大真面目なキャラクターがギャップあっていいな。超オススメ! pic.twitter.com/HbxaTxeo9U— てっくぱぱ (@from_techpapa) February 24, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
田舎の古びた家の居間で繰り広げられる会話で、徐々に明らかになる、家族の人間関係を描いた作品。父と姑が夕食時。元Jリーグの審判の父の家に、暴徒と化したサポーターが押し掛ける。久々に帰宅した娘は、結婚相手と仲人を連れてきたかと思えば、、、、娘はAV女優になっていて、実はそれはハメ撮りの隠し撮り。仲人はAVの監督だった。警察官の息子は、警察副所長の妻を取るも、毎日動画投稿にハマってる。奥の部屋には、コートジボワールから来ている留学生のクロちゃんが下宿している。。。。そして、母は行方不明。行方不明になったその日に、クロちゃんが近くの山で、でっかい卵を拾ってきた。その卵が、居間にドドンと鎮座する中でのお話。・・・設定だけ書き下してしまうとブッ飛んでいるものの、これらの関係が、徐々に明かされる。
緻密に組み上げられた、古びた家の居間のセット。デカい卵が、居間を占拠している以外は、ごくありふれた風景・・・のように見える。会話も、どこか静かな演劇のような、まった~りとした感じからスタート。でも、注意深く細かく会話を聞いていると、どこかおかしい。何年も前にJリーグの審判を辞めた父の家に、どうしてサポーターが押し掛けるのか。怪しさ全開の仲人は、一体何者なのか。・・・ある種の不条理劇・・・とでもいうのか、気が付くと、客が変な世界に迷いこむ・・・というより、変な世界に拉致られている感覚。徐々に明らかになっていく設定に、クスクスを通り越して、ケラケラと笑わずには居られない。ジャミロクワイと美空ひばりを歌いながら、卵を母だと思って、贖罪し出す、父と娘。会話がリアルなまま、でもよく分からない世界に連れていかれるのがとにかく心地よくて、80分と短めの芝居だったけれど、もっともっと、このやり取りを観ていたいな、というのを強く感じた。
劇団初見だけれど、とにかく脚本が上手い。わざとらしさが全くない自然な会話の流れの中で、よくこんな変なところに迷い込ませられるな、と、途中からちょっと引いた目線で、感心してしまったのと。そこに生きている人々が、大真面目に変なキャラクターを演じていて、完全に術中にハメられたー、という感じ。テーマは、(主に)父と、娘の、母に対する贖罪。後ろめたさの清算と、成長による母の理解。・・・ちょっと直球に描き過ぎて仕舞うと、胃もたれしそうになるテーマだけれど。笑いと、変空間への拉致で、茶化しながら上手く刷り込まれた感覚。観終わった後の、物語に上手く騙された心地よさがこみあげてきて、幸せだった。福井しゅんや、多分初めて観る脚本家だけれど。どんな人だろう。追いかけないといけない劇団と、脚本家が一つ増えた。
役者さん。とにかくハマり役が多すぎたけれど。片瀬直、あのAV監督の作品を全部見ているの、カミングアウトが忘れられないのと。岩堀なみき、最初から怪しさ漂わせて、何かするな、と思ったら。母に贖罪するのを促す場面が、強烈すぎた。なんかAVでホントにありそう。九島勇、警察官には見えないのと、細かい台詞から見え隠れする、副所長上司との夫婦生活を思わず想像してしまう。山崎良郎、あのレッドカードは、レッドカード。ピッチで頭突きを想像するだけで面白い。