<観劇レポート>Ito・M・Studio演技研究クラス「殺意(ストリップショウ)」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 Ito・M・Studio演技研究クラス「殺意(ストリップショウ)」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | Ito・M・Studio演技研究クラス |
回 | 第10回公演 |
題 | 殺意(ストリップショウ) |
脚本 | 三好十郎 |
演出 | 伊藤留奈 |
日時場所 | 2022/03/25(金)~2022/03/27(日) Ito・M・Studio(東京都) |
団体の紹介
ホームページにはこんな紹介がありました。
東京・代々木上原にあるIto ・ M ・ Studio では、作戦会議を主宰する伊藤留奈がプログラムする、 プロの役者を目指す方に向けた演技レッスンクラスを2015年4月から開講しました。
2019年からは「演じたい気持ち」をより大事に。演技経験を問わず、「演じたい気持ち」を育てるレッスンをしています。演技経験がない方、社会人で演劇を続けたい方、もちろんプロの役者を目指している方に
舞台に立つとはどういうことか——。
自分自身とより向き合い、自らの価値観を深く見つめ、
他者と関わり、他者との違いを知る。
そして社会にも目を向ける。このクラスでは演技メソッドを体で覚える基本はもちろん、 技術だけではカバーできない本質的な部分も学んで欲しいと考えています。
うまく役を演じるのではなく、役をきちんと生きられる役者を目指す人のためのクラスです。
事前に分かるストーリーは?
ストーリー記載を見つけられませんでした。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年3月25日 19時30分〜 |
上演時間 | 120分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 全席自由 |
チケット購入方法
出演者さんからのご案内で、Webの予約フォームから、予約しました。
当日、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年代の客がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・一人芝居
・考えさせる
観た直後のtweet
Ito・M・Studio演技研究クラス「殺意(ストリップショウ)」120分休無
作品初見。有名な本?気持ち乗るまで少し時間かかったけど、乗ったあとは前のめり。面白かった。戦中・戦後を生きたひとりの女性を、3人の役者の独白で演じる。結局人は弱いケモノで。そんな中でもこの女性は美しいな。オススメ! pic.twitter.com/TqC98UYHTS— てっくぱぱ (@from_techpapa) March 25, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
出演者さんからのお誘いで観劇。公演の冠から推測するに、演劇学校の発表会的な位置付けの公演、なのではないかと想像(詳細まで確認した訳ではないものの)。代々木上原駅の近くの坂の上の、見晴らしの良いアトリエのような場所での公演。作品自体は初見。作:三好十郎との事で、有名な作品だろうか。3人の女優が出演するも、一人芝居が基本の構成。今回の公演では、前・後半と、懐古するストリッパーと、別けて3人で演じられる作品だが、ひょっとすると戯曲自体は一人で演じることを想定しているのかもしれない。
ストーリー…第二次世界大戦のさなかと、終戦後を生きた女性の物語。戦中は、左翼思想の「先生」の家で住み込みで働くことで、気がつくとその思想まで理解した、九州の田舎出身の女。先生は戦中、右翼思想に肩入れし、終戦すれば左翼思想に。日和見の生き方と。「先生」の弟:テツオさんとの、ほのかな恋。招集される前日、空襲警報の中で一度だけ首筋に口づけをされたことが忘れられない女。テツオは戦地で死に、「先生」は日和見な思想を偉そうに話ながらのうのうと生きている。戦後、ストリッパー?と娼婦として生きていた女は、先生の様子を見て、唐突な殺意に襲われる。周到な準備の末にたどり着いた先生の本性は、浮気した女の住む薄汚い部屋で、女が患った痔のイボに薬を塗り、愛し、そして自らの欲望を果たすだけの、思想のカケラもない汚らわしい人間だった。殺意は消え…そして、自らの身の上を晒す「ストリップ」のように語る…と、かなり強引に端折るとこんな話。モノローグに近い一人芝居なので、とにかく情報量が多いので、かなり端折ってる。
最初、物語がどう進むのか、ちょっと腑に落ちなくて、気持ちが乗ってくるまで時間がかかったものの。終戦を迎えて女が失意に沈む辺りから、急速に引き込まれる。戦中・戦後を、ただ必死に生きる女の姿。身を売る以外に、生きる術がなかった女。それが、どこか日和見な思想によって、こそ、もたらされたのではないか、という疑念。そして、そんな思想を語る「先生」も、一人の人間というか・・・動物なんだという、どこか「同情に近い共感」と「あきらめ」とを、手にとるように感じられた。
もし、基が一人芝居だったという仮定が正しいとすると、戯曲として、上演するにはとても難易度が高い作品だなぁ、と思う。それを3人で分けて、作品を作るのは、良いアイデアだなぁ。板谷安子の妖艶なストリッパー・・・というよりベリーダンス、安田明由の終戦後たまのような汗を流しながら表現される転落の人生、宮村の人の性(サガ)を明け付けに迫る様、いずれも印象に残り。