<観劇レポート>四日目四回目「ツインテールドールハウス」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 四日目四回目「ツインテールドールハウス」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 四日目四回目 |
回 | 第二回公演 |
題 | ツインテールドールハウス |
脚本 | 旦妃奈乃 |
演出 | 旦妃奈乃 |
日時場所 | 2022/04/08(金)~2022/04/10(日) 北池袋新生館シアター(東京都) |
団体の紹介
CoRichの劇団ページにはこんな紹介があります。
多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科演劇ゼミ在籍中の旦妃奈乃によって立ち上げられた団体。現実と虚構の境界を漂う舞台芸術をつくる。
過去の観劇
- 2022年12月31日多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科「メビウスの輪〜縁の交わり〜」
- 2022年09月02日東京学生演劇祭実行委員会「東京学生演劇祭2022」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
完璧主義者「林桜子」は、ツインテールを自分に課している。林桜子の親友「加藤桃」は勤労学生である。優等生「梅澤静香」は音楽を志している。愛川家長女「愛川杏」はおさげのお嬢様である。自称アマチュアカメラマン「西海渡」は、林桜子が無機物の中の無機的な有機物としての人形にふさわしいとして被写体を依頼する。林桜子が人形を演じる撮影会が開かれる。それを密かに覗いていたのは愛川杏であった。
見えるものと見えないものをかきわけて、生物として且つ自分として生きていく方法を模索する。高校二年生三学期。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年4月08日 19時00分〜 |
上演時間 | 75分(途中休憩なし) |
価格 | 2000円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団twitterからのリンクで、CoRich上で予約しました。
当日受付で現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は3:7くらい。
男性は、30代upが多め。女性は若い人が多い気がしました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・考えさせる
・シンプル
・ハイコンテクスト
観た直後のtweet
四日目四回目「ツインテールドールハウス」75分休無
劇団初見。ハイコンテクスト。理解できたか怪しいけど興味深い系の面白さ。抑圧・役割・変身願望等を言ってるのか?神秘性に比してセット等が少し雑な気が。girls、私的には躍動感のイメージだけど覆してきて好き。他の人の感想読みたい。オススメ。 pic.twitter.com/Hz7zHSO3bT— てっくぱぱ (@from_techpapa) April 8, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
劇団初見。ハイコンテクストな作品。ストーリーは事前紹介の通りだが、続きを書くと、・・・愛川杏は、その場の流れで無生物の被写体を、林桜子と共に引き受ける。すると、無生物の人形のように、体を動かさなくなってしまう。林桜子は愛川杏の家に電話するも、親はどこか興味なさげな返答。愛川杏を自宅に連れ帰り、完璧主義の何もかも投げ打って、人形のお世話をする日々。それを心配する、他の三人。しばらく人形としての生活をしたのち、愛川杏は元に戻る。本当の人形でいる時間が実は一番自由で、今までの人生は人形だったのではないか、と語る愛川杏。その後、林桜子は愛川杏の家を訪れる。そこには、桜の木の下て、お嬢様として来客をもてなす愛川杏の姿があった・・・と、かなり強引にまとめるとこんなお話。
ハイコンテクストな物語。たぶん、全ての意味を捉えられていないと思う。独特の空間の作り方に圧倒される。ひとまず意味の理解は横に置いて、最後まで観ようと思わせる不思議な空間。とても「ガーリー(girly)」な高校生たちが、自分のアイデンティティや、その確立を拒んでくる抑圧だったり、期待という名の幻想だったり、あるいはそこから抜け出したいという変身願望を、独特な表現で描いている物語に見える。言葉がとても繊細で、説明のような台詞は極力排されているが故に唐突に感じる事があるものの、むしろ事細かに説明しないのが魅惑的で、不思議な空間を醸し出している。
主に、女性への抑圧を表現しているように見えるものの、一方で多分、とても普遍的な主張にも出ようとしているのかもしれない。劇中唯一の男は、カメラマンの西海渡。彼は、ファインダーを通して、被写体としての彼女たちと、距離を置く。描かれるのは、男としてのコンプレックスの存在。男なんて、結局どこまでいっても自信のない生き物なんだ・・・なんていう、過去に触れた物語で何度も登場してきた言葉が頭をよぎる。
おそらく、みずみずしい葛藤の感覚をすくい取ろうとしているのだろうけれど、それを完全に理解するには、自分はちょっと歳を取り過ぎてるかなぁ、なんて事も感じる。作・演出の旦妃奈乃ってどんな人なんだろう、どんな世界観の作品を書くのだろう。他の作品も観てみたいと同時に、この作品、他の人がどんな解釈をするのかがとても気になる。しばらくはサーチして、射抜く感想を探してしまいそう。
劇団は、第二回目の公演との事。役者さんと物語が醸し出す雰囲気とは裏腹に、舞台セット…というか、空間の作り方がちょっと粗いかなぁ、というのが残念。全く現実感の無い書割で、表現したい意図は理解出来てるのだけれど、なんだか全体的に洗練度が足りないかなぁ。物語と役者さんの研ぎ澄ましに負けてしまっている気がした。
高木正勝の曲、「girls」が大好きで、たまにヘビロテで聴く。愛川杏が人形として世話をされ始める時に、この「girls」が使われていたのがとても印象的。「girls」、どちらかというと小学生くらいの女の子が、躍動感を持って走っている姿を連想する曲なんだけれど(PVの影響が大きいけれど)人形として全く動かない場面・・・こんな真逆のイメージのシーンにもピッタリはまるのか、と、シーンの最後の暗転の中で、思わず唸る。彼女にとっては、人形になることが、ある種の跳躍で、そのイメージが重なったのかもしれない。(曲の冒頭の、和音だけが何度も繰り返されて、「ん?girls?違う?」と思ってちょっとフラストしたけど。)
「マゼラン」っていうあだ名は、後半、唐突に登場したように思ったのだけれど、前のどこかで言葉が登場しているのを聞きそびれただろうか。突如「マゼラン」と呼ばれる西海渡を見て、2-3秒頭がフリーズした後に、気が付いて笑ってしまった。単に、前半で聞きそびれただけかもしれないけれども。