<観劇レポート>Mrs.fictions「花柄八景」
<観劇レポート>Mrs.fictions 「花柄八景」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 Mrs.fictions「花柄八景」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | Mrs.fictions |
回 | Mrs.fictionsのこまばアゴラ劇場主催プログラム |
題 | 花柄八景 |
脚本 | 中嶋康太(Mrs.fictions) |
演出 | 中嶋康太(Mrs.fictions) |
日時場所 | 2022/05/11(水)~2022/05/23(月) こまばアゴラ劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
Mrs.fictionsとは?
主宰・今村圭佑を中心に、舞台芸術の創造と発展を目的に活動する舞台芸術創造集団。2007年8月、企画公演『15 Minutes Made』にて旗揚げ。
『人と人とは出会わなければならない』という理念のもと、同企画を継続的に行うことを中心に活動、その理念は多くの演劇人の共感を呼び、支持を集めている。舞台芸術は、『関係性の芸術』であるという考えから、表現者と観客の関係性、表現者同士の関係性、演劇と社会の関係性をより豊かにする為の活動を模索するとともに、こうした活動そのものが小劇場演劇シーン全体を牽引するものであると考えている。
過去の観劇
- 2024年08月09日【観劇メモ】Mrs.fictions「ミセスフィクションズのファッションウィーク」
- 2022年08月26日Mrs.fictions「伯爵のおるすばん」(2022年)
- 2019年08月06日Mrs.fictions「月がとっても睨むから」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
20XX年、TOKYO。世はまさに空前の落語ブーム。かつて都内に二つしかなかった落語協会の数は今や百を超え、一億総落語家時代を迎えようとするその影で、一人の師匠が自身の噺家人生にひっそりと幕を下ろそうとしていた……。
もうなにもかも冬の時代にMrs.fictionsが送る、高座の上の人生讃歌。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年5月13日 19時00分〜 |
上演時間 | 85分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichで予約しました。
当日受付で、Suicaで決済をしました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらい。様々な年代層の客がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・不思議
・笑える
・会話劇
・ハッピー
・考えさせる
・グロテスク
観た直後のtweet
Mrs.fictions「花柄八景」85分休無
落語家の話。面白かった。好き嫌い分かれるかも。ホンワカホンワカ不思議な世界。なんかよく分からないけど、笑って笑って楽しい。テーマ、ちゃんと受け取れたかは分からないけど、正しいなら、言葉にするのはちと恥ずいね。生垣の向こうできいてるよ。超オススメ。 pic.twitter.com/87TEoLGiDA— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) May 13, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
自分なりにまとめたストーリー
花柄花壇は、AI落語家初音ミクとの対戦に敗れた。巷では「落語が死んだ日」と言われ、生身の人間の落語家はどんどん辞めていく。そんな中、落語の「地獄八景亡者戯」よろしく、腐った鯖を食べたら、そこから地獄ではなく花柄の夢を見出す。パンクロックバンドの荒々しくて不器用だけど優しい男女や、川の下でホームレスしていた少女が門下に入り、落語を学ぶことになる。「落語が死んだ日」に花壇の弟子を止めたプランタは、元師匠の家に新しい仕事である訪問販売の商品を買ってもらおうとすると、変な門下が増えてる。そんなちょっと変わった彼らと、花壇師匠の、つかの間の時のお話。
感じた事
花壇の家の居間を、キッチリと舞台セットに組んでいる舞台。とても現実的に見えるけれど、物語はどこか、ハイコンテクストというか、ぶっ飛んでいるというか。現実と夢が、区別がつかないようなところがある。そんな中で語られる、落語家の最後の時間。
落語を、生身の人間が表現をする事の存在意義みたいなものを、サラリと隙間に入り込むように描く。劇中、人間の落語家が落語をする意味について、「人前でやるのが気持ちよくてしょうがない」から、落語をやっているという花壇。確かに、「人を楽しませる」のは、そのうちAIでもできるかもしれない。でも、高座で表現をする生身の人間が「気持ちよい」と感じる感覚。きっとそれは、落語という文化が続いてきた真実のひとつで。そしておそらくそれは、「演劇」も同じことで。その事に気が付きながら、底抜けに気楽に、何とか新たな風変わりの門下生に、落語を教える姿が、作品の目線が、なんともなんとも優しくて、優しくて。・・・あまりにも優しいので、ちょっとテーマを感想に書く事に、気恥ずかしさはあるくらいの優しさを一杯に感じた、そんな舞台だった。
風変わりな門下生がいい。今村圭佑と永田佑衣が演じる、パンクロッカーの、鉢と萌が強烈。パンクのライブで、突然「芝浜」を話し出す鉢を想像して笑ってしまう。(しかも、「芝浜のラストで、客が笑ってくれた」ってのが面白い。)そして、落語家の所作や生き様を一身に背負っているのに、どこかヒョイヒョイ軽く生きている、岡野康弘が印象に残った。これまでも何度も拝見している役者さんだけれど、実は途中まで、岡野康弘だと気が付かなかった。