<観劇レポート>チリアクターズ「宇宙の旅、セミが鳴いて」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 チリアクターズ 「宇宙の旅、セミが鳴いて」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | チリアクターズ |
回 | 第19回公演 |
題 | 宇宙の旅、セミが鳴いて |
脚本 | 鈴江俊郎 |
演出 | 大島寛史 |
日時場所 | 小田原三の丸ホール・小ホール (神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2009年、桐朋学園芸術短期大学同期の大島、上田、木村涼香らが中心となり結成。
2度のプレ公演を経て、2012年、「第3回これからよろしく公演」から
神奈川県小田原市を拠点に活動開始。以降、年に2~3回ずつ本公演を行いながら、県内の様々な演劇祭などイベントに出演。
2014年12月に「第10回これから‵も’よろしく公演」を小田原市市民会館小ホールで上演。
これ以降、「地方公演」と称し、都内でも公演を行うようになり、活動範囲を拡大。
2015年には鹿児島で行われた「国民文化祭」に参加し作品を上演する。2016年、短編演劇コンテスト「劇王神奈川Ⅴ」で優勝。
17年には「第2回神奈川かもめ短編演劇祭」に出場。最優秀賞と観客賞のダブル受賞達成。
18、19年「神奈川フェスティバル イン ハノイ」に参加。風魔忍者を題材にしたショーを
ベトナム・ハノイで上演。(構成・出演として参加)
21年「池袋ポップアップ劇場」に参加、「しらずのうちに」を上演。
22年、活動開始10周年を迎え、6月と10月にそれぞれ小田原と横浜で記念公演を予定。「気軽に来られる、気楽に観られる」をモットーに大島の書くオリジナル作品を多数発表。
ジャンルを決めずに作品を作り続け、既成戯曲に挑むこともある。
ただいま、劇団員募集中。
過去の観劇
- 2024年11月02日 【観劇メモ】チリアクターズ「邪行提燈」
- 2023年07月04日 チリアクターズ「放課後、重ね着、□△」
- 2022年10月31日 チリアクターズ「どんな顔すればいいの@焼跡」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
宇宙船の中。任務を終え、地球への帰り道。
母国日本でクーデターが起こり、無事に帰れるか怪しくなってきたという。
クセのあるエリートクルー達の人間関係が危機的状況の中、あらわになっていく。
そしていよいよ追い詰められ、言葉を重ねたクルー達は、生と死、他人と自分を見つめて。
彼らを乗せた宇宙船は、果たしてどこへ向かうのか。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年6月25日 14時00分〜 |
上演時間 | 110分(途中休憩なし) |
価格 | 2800円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ページからのリンクにあるフォームで予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
若い人は少な目で、30代から幅広い年代の方が多かった印象です。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
・シンプル
観た直後のtweet
チリアクターズ「宇宙の旅、セミが鳴いて」110分休無
劇団初見。地球に帰還する宇宙船の中の人間模様。話は面白いなと思ったけど、特に感情が湧き起こらず体温上がらぬまま淡々と観た。直接的じゃない表現多いけど、よく考えると割とグロいはずなので、直視したかったかも。ふんわり感が逆に物足りず。 pic.twitter.com/DTGdHhUrsc— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) June 25, 2022
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
物語は、事前のストーリーの通り。食料を積んだ宇宙船が地球への帰還途中のクーデター。ただ、クーデターよりも、船の中で起こっている「恋」の方が忙しい様子。船長に恋した料理長は、船のコースを変え、燃料も消費してしまって、もう助かる見込みがない。酸欠で、乗組員が最後の瞬間を迎えるまでの物語。
チリアクターズ。初めて観る劇団。オリジナル作品かと思ったけれど、この感想を書くときによくよく調べてみたら、2003年に文化庁演劇大賞を受賞した鈴江俊郎の作品。感想を書き出すまで、全く知らなかった。事前に読んだストーリーからはSF的寄りなものを想像していたのだけれど、お話の主眼はSFではなくて人間模様。クーデターや環境破壊、船のコース変更や燃料不足。その他諸々の出来事が起きても、人が考えているのは「恋」や「セックス」や「神」の事。そして、時には、生活に生産性をもたらさない「花」の事。業の深き人間の様子を、密室で描いてみせる作品。
物語の筋としては面白いと思うものの、不思議と感情が産まれない。目の前にある光景を、淡々と淡々と、見ている感覚。サラサラし過ぎているというのか。味がしないというか。なんだろう、この捉えどころの無さは、と思う。
花を育てる三姉妹は、同じ男を共有してセックスしてる訳だし。船長とコックの恋は、船の中という制約がなければもっと過激になるんじゃないかな…とか。神父の中途半端な信仰とか。目の前の事実を、頭の中で再度組み立てていくと、どう考えても、それなりにグロテスクな、よくある人間のサガが普通に展開されている、はずなのに。全編に渡って、言葉はおとなし目で、かつ、小綺麗な空間。基の脚本がおとなしいのか、今回の演出がこざっぱりし過ぎたのか、あるいは両方か、判別できなかったけれど。それを隠すため、あえて「船内」という設定なのかもしれないけれど、効果的じゃないというか、どうにもしっくりこない。業、の部分をそのままに描いたものを、むしろ観てみたいな、という願望が、途中からふつふつと沸き起こってしまう。
2003年の作品だというのは感想を書くときに知った。そんなに古くないし、きわどい言葉が出ない時代でもないし。大賞を取った作品だから、それなりに感情が動いたんじゃないか、と想像する(分からんけど)。初演の時はどんな魅せ方だったのだろう。今感想を書きながら、考えずにはいられなかった。
小田原三の丸ホール・小ホールで観るのは、螺旋階段の公演に次いで二度目。前回は、フル客席のオーソドックスなホールの使い方だったけれど、今回は一階部分の上手客席部分を切り取った使い方。「小」ホールとはいえ、小劇場には大きすぎるホールな気がするけれど、この空間の使い方は上手くていいな、と思う。