<観劇レポート>U-33project×route.©️「真っ赤なブルー」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 U-33project「真っ赤なブルー」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | U-33project |
回 | U-33project×route.©️コラボ公演 |
題 | 真っ赤なブルー |
脚本 | 結城ケン三、平安咲貴 |
演出 | 結城ケン三、平安咲貴 |
日時場所 | 2022/09/15(木)~2022/09/19(月) 王子小劇場(東京都) |
団体の紹介
2団体のコラボ公演です。
U-33project
世の中で話題になる出来事、ニュース、思考は全て「マジくだらない〇〇」からなるという考えの元に作品を提供。“笑いを取りにいかない笑い”のスタイルを基本に日常、非日常にある不条理に様々な視点で噛みつきユーモアで真意を隠すスタイルによって笑いの中に真面目なテーマを隠しメッセージを伝える。憂と遊が燦々としている作品を提供します。
route.©️
「ひねくれ者よ、可愛く、世界を創れ」を合言葉に、平安咲貴を主宰とし2017年11月に結成。
ハッピーエンドで幸せになれない人たちに向けたハッピーエンド、を目標にした舞台を作っている。
過去の観劇
- 2023年08月20日 U-33project「燦々」
- 2023年05月26日 U-33project「コスモポリタン」
- 2022年06月25日 U-33project「もんくちゃん世界を救う」
- 2021年11月30日 U-33project「嫉妬深子の嫉妬深い日々」
- 2021年10月21日 U-33project「シャンデリヤvol.2」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
U-33projectの脚本・演出を担当する結城ケン三と、route.©︎の脚本・演出を担当する平安咲貴が、お互いの脚本をチェンジして演出する。
ポップに"憂い"を描くU-33projectと、
鬱々しさを"可愛い"で描くroute.©︎。真逆のようで似ている、似ているようで真逆な両団体をぶつける事で、どんな科学反応が起こるのか。
U-33project×route.©️コラボ公演
『真っ赤なブルー』《U-33project》
『愚者の恒心』
作/平安咲貴 演出/結城ケン三ある日、偉大なコメディアンが死んだ。
どうやら自殺のようだった。「ぼくぅ?」
大人はそう言って、僕の頭から足のつま先まで舐めるように見つめる。
膝にかかる制服のスカートがうざい。
やがて大人は、何かを理解したかのように頷いた。
"そういう時期もあるよね"と。
こいつはきっと、その目が人を殺す凶器になることをまだ知らない。だから僕は武装して、
理不尽共へ銃口を突きつけた。世界を少しだけ、正しくするために。
《route.©️》
『U』
作/結城ケン三 演出/平安咲貴私には頼ってしまう人がいる
「客観的に見て…」
その人はいつも私に見えない“客観的”な何かを見ている
相談をするとありとあらゆる事をなんでも“客観的”に解決してくれる
私にとって必要不可欠な存在だ私は今日もその人に私の見えない何かを求めて相談をする
これはそんな私が初めて“客観的”に自分を見た物語である
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年9月15日 19時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし。45分×2本+interval) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichで予約しました。
当日受付で、現金でお金を払いました。(Suica他の電子マネーも利用できました)
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
様々な年代がいましたが、若い人が若干、目だったかな。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コラボ公演
・シリアス
・会話劇
観た直後のtweet
U-33project × route. ©「真っ赤なブルー」100分休無
2団体コラボ2本立て。各々の脚本をお互いに演出する企画。
結城ケン三作品は何本か観てて好き。平安咲貴作品は初見。どっちがどっちか確認せず観たけど。似た作風なのに演出のテイスト結構変わるなぁと興味深い。これから答えあわせ。オススメ。 pic.twitter.com/kjZRHDLyd2— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) September 15, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
U-33projectと、route.©️のコラボ公演。それぞれの座付き作家の脚本を、演出をクロスして作品制作。1本目は、U-33projectの結城ケン三の脚本「U」を、平安咲貴が演出。もう1作は、平安咲貴の脚本「愚者の恒心」を、結城ケン三が演出。2本立て。上演順は、「U」「愚者の恒心」。私自身、U-33projectの結城ケン三作品は何本か観ていて、route.©️の平安咲貴作品は初見。
「クロスで演出」する事を、なんとな~く情報としては得ていたものの、あえて、上演順と脚本の作者を、事前に紐づけないで観た。終演後に感じたのは、コラボ公演をするだけあって、二人の作家の作品は、割と似ているなぁ、という事。結城ケン三脚本はいつもの作風で、平安咲貴の脚本も結城作風に近い。(今回のコラボ公演のために、作品のテーマを寄せたのかもしれない、けれど。)1作目の「U」を観ていて、こっちが結城作品だなぁと思ったものの、2作目の「愚者の恒心」を観ていて、ちょっと自信が揺らいでしまった。・・・そもそも、自分の中で、作者当てクイズをする理由が分からないけれど、まぁなんとなく、突然やってみたくなったのだけれども。
2作目で、自身が揺らいだ理由。脚本のテイストは似ていても、演出の毛色は、似ているようでだいぶ違う。以前の感想にも書いている、U-33projectの「独特なみずみずしい青臭さ」が、2作目、平安咲貴の脚本「愚者の恒心」、結城ケン三が演出する作品で強く感じる。「U」の方は、結城作品だろうなぁ、というのは分かるものの、演出的には「ちょっと青臭くて、甘酸っぱくて、口にするのは恥ずかしい何か」・・・劇中の「うらめしやー」という時のあの恥ずかしさを、作品全体で「隠そうと」している演出に感じる。正に「ポップ」なのかもしれないけれど。それがU-33好きの私には、ちょっと物足りなく感じる。ここはもっと、甘酸っぱくキュンキュンしたい、みたいな感覚。「U」は、スタイリッシュではあるけれど、テーマで語られているような愚直さとはかけ離れている感。
U-33projectのあの「青臭さ」は、脚本からくるものだとばかり思っていた。でも、よくよく考えてみると、元気な女性の出演者をベースに、若干様式的な演出を用いることで出てくるが故の「青臭さ」は、演出がカナメなのかなぁというのに気づいて、驚きというか、ふむ~という興味深さを覚えてしまう。脚本上で、演出がどれくらい指定されているのかなぁというのが気になって、上演後2作品収録の脚本を買ってみた。どちらの作品も、ト書きは最小限で、演出のタッチまで指定していた訳ではなさそう(販売脚本が、制作時に使われた脚本と同じかは分からないけれど)。・・・まあ、こんな変な視点で観てるのは私くらいかもしれないが、今回のコラボ公演、そんな比較をしながら観ていて、私の中でとても興味深いものだった。初見のroute.©️は本公演はどんな感じなのか、興味を持った(ガラッと作風が違ったりしても面白いけど)。
両作品とも、女性のみの出演で、演出的に兼役の調整も効きそう。テーマも思春期に悩みそうなこと、でもあるので、高校演劇、演劇部の脚本としても成立しそう。演出でどう遊ぶかで、作品のイメージがかなり変わる気もするので、別バージョンを観てみたいな、というのを感じた。