<観劇レポート>劇団ボンボヤージュ!「世界で一番可哀想な境遇の人々2022」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団ボンボヤージュ!「世界で一番可哀想な境遇の人々2022」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団ボンボヤージュ! |
回 | 劇団ボンボヤージュ!#4 |
題 | 世界で一番可哀想な境遇の人々2022 |
脚本 | くまがいじゃる(劇団ボンボヤージュ!) |
演出 | くまがいじゃる(劇団ボンボヤージュ!) |
日時場所 | 2022/09/17(土)~2022/09/19(月) APOCシアター(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
BonVoyage!(ボン・ボヤージュ!)は、旅立つ人に対して「よい旅を!」「道中ご無事で!」という意味の声掛けの言葉です。
劇場に足を運び、その舞台の世界の中に入り込んでいくお客様の観劇体験というのは、まさに一種の旅のようなもの。
劇団ボンボヤージュ!は、劇場に来たお客様を“非日常のエンターテインメント空間へ招待する”をモットーに、ナンセンスでシニカルな笑いのある、肩肘張らずふらっと観に来れるくだらない芝居づくりを目指している劇団です。
主宰のくまがいじゃるの脚本・演出を中心に、歌やダンスなどの“ショー”的な要素を取り入れた舞台づくりを行っています。
➤演劇初心者に紹介しやすい敷居の低い舞台
➤冗談みたいな話を本当に舞台化しちゃう大胆さ
➤歌やダンスなどを取り入れたおもしろ演出
➤観る側と演る側の高マッチングによる高満足度そんなあたりをウリにしようとしている劇団です。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
劇団ボンボヤージュ!第2回公演 『世界で一番可哀想な境遇の人々』 の リニューアル版としてお届けするミゼラブルな物語。ヴィクトル・ユーゴーに最大級の敬意を表して―
ブラック企業を逃げるように転職した南原純は、名前を変え過去から決別し人生をやり直そうとするが、彼の前に 現れる様々なヤバみのある人々により事態はより複雑になっていく……
右を向いても左を向いてもみ~んな可哀想
これは、どうしようもなく愛おしく
可哀想な境遇の人々の物語―*やたらと歌があるのでご注意ください
*真面目に観ればいいのか笑えばいいのか困ったときはとりあえず笑っておくことをお勧めいたします
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年9月17日 19時30分〜 |
上演時間 | 140分(途中休憩なし) |
価格 | 3000円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団のページからのリンクで予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。様々な年代の人がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・笑える
・ミュージカル
・パロディ
観た直後のtweet
劇団ボンボヤージュ!「世界で一番可哀想な境遇の人々2022」140分休無
レミゼをベースに、様々な曲を織り交ぜ、ブラック企業の辛さを歌い上げるミュージカル風コメディ。やりたい放題!とはこの事でw。全編がグッチ裕三のHPステーションのパロディ部分みたい。笑いつつ自由さに唖然ともし。オススメ! pic.twitter.com/CA7whmE7zW— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) September 17, 2022
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ミュージカル「レ・ミゼラブル」を軸にしつつ、古今東西のミュージカルや歌謡曲、あるいはCMなどのパロディで満たして描かれる、ブラック企業で働く「可哀想な人々」の物語。・・・いや、物語に関しては、それほど語ることはなくて。要は、ミュージカルパロディで、かつ、ミュージカル仕立てになっている、コメディ作品。
年初に観た、APOFESの「腹痛行進曲」を演じていた、くまがいじゃる率いる、劇団ボンボヤージュ!の作品。腹痛行進曲の感想にもに書いたけれど、過去作品として映像を見た「世界で一番可哀想な境遇の人々」の、今回は再演。ストーリー・・・というか、大まかな流れは観る前から知っていたので、実際にみてみてどうなんだろう・・・というのが興味のポイント。
ミュージカルの名曲たちは、日本語のブラック企業で働く人の哀歌に変わり哀愁漂うも、出演者たちが歌い上げ、踊り上げる。悪い奴らに搾取されていく人々のそれぞれの物語も、パロディミュージカルで歌われれば、もう笑うしかない。・・・いや、ブラック企業がテーマだけに、手放しに「笑える」訳じゃないのだけれど、「パロディ演劇をやりたい放題やっている状況」そのものが、既に壮大なコメディ。なんというかまぁ、ここまで「やりたい放題!」やるかぁ、やり切るかぁ、やり切ったなぁ!という、仕事のあとのとりあえずビール感。・・・を観客として観ていて、細かいネタに笑いつつも、全体的には、開いた口がふさがらないというか、唖然とする感覚が強い。
何か似たものを探すとするならば・・・昔NHK教育でやっていた番組「ハッチポッチステーション」の中で、グッチ裕三がオールディーズをパロディにして歌っていたけれど、あれを超ロングバージョンにして、パロディ・ミュージカルで盛大にやり切ってる・・・とでも言えばいいのか(知らない人にとっては、なんのこっちゃ、かもしれないが)。後期のグッチ裕三も、やりたい放題、って思ってたけれど、ボンボヤージュ!も、それ以上にやりたい放題。しかも、曲の使い方が秀逸。グッチ裕三が、オールディーズの曲たちを愛しているのと同様、ミュージカル愛に裏打ちされた故の馬鹿なんだよなぁ、というのが、観ていてひしひしと伝わってくる。ここまで愛があるパロディなら、まあいいかって思えてくるのが不思議。(・・・まあ別に許可は必要ないと思うけれど、元ネタ作品を知ってる人は、みんなそう思ってると思う。)
題材が「世界で一番可哀想な境遇の人々」で、ブラック企業は手放しに笑える題材じゃないのがちょっと残念だけれど(とはいいつつ、IT下請け企業の哀愁は、私も何となく把握しているので苦笑い)、レミゼじゃなくて、もっと痛快に笑い倒しても大丈夫な題材で構成したら、どんなのができるのかなぁ・・・みたいなことを思いながら、唖然としつつも、最後まで歌い上げるのを見守る感覚だった。
ここまで馬鹿を突っ走るには、役者さんの吹っ切れ方がとにかく重要だけれど。特に女優陣が・・・絶妙なバランスで「艶めかしい」のがいい。衣装は、確信犯的に選んでるだろ、というものばかりで、ちょっとクラクラする。・・・別に、ストレートなエロネタがあるわけでは、全く無いのだけれど、あの「哀れな人々」が思わず騙されてしまう、手が届きそうで届かない絶妙な艶めかしさが、ツボにはまる。・・・あと、栗林まんぞうの、視線が異世界にいっちゃってるのがとにかくヤバイ。私、ちょうど視線の先の席に座ってて、睨まれたのでマジ怖い。ミロは届いたのだろうか・・・。