<観劇レポート>劇団俳優座「猫、獅子になる」

#芝居,#iaku,#劇団俳優座

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団俳優座「猫、獅子になる」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名劇団俳優座
劇団俳優座公演No.351
猫、獅子になる
脚本横山拓也(iaku)
演出眞鍋卓嗣
日時場所2022/11/04(金)~2022/11/13(日)
俳優座劇場(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団ホームページには紹介がありますが、長いので割愛します。
多くの俳優さんが所属し、テレビ等の出演も多い劇団です

劇団俳優座

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

中学時代の演劇部の発表における宮沢賢治『猫の事務所』の舞台化で起きた諍いが原因で不登校となる。50歳になってなお実家の自室に引きこもるが、世話をしてきた高齢の母の体調が芳しくない。
そんな中、美夜子の妹・朝美の家族が実家に引っ越してくる話が浮上する。朝美の一人娘・梓は、劇団活動に勤しみ、演劇を介して美夜子と関係を築いてきた。
そんな中、梓もかつて伯母も関わった『猫の事務所』を上演することに……。
8050問題に迫りながら、射抜く「現在」――。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年11月4日
19時00分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格4500円 初日割 全席指定

チケット購入方法

CoRichのページから予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。シニアupな年代層が多めでした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

今、最も注目されている劇作家、横山拓也の作品を、数々の賞を受賞している眞鍋卓嗣の演出で、あの俳優座が公演。いや~これは、都合がつくなら、初日に観るでしょ、これしかないでしょ、という作品なのだけれど。待ち焦がれて期待したが故に、ちょっと期待値上げ過ぎたかな~。いや、演劇としてはものすごく緻密だし、鋭いし、素晴らしい。でも私は、ものすごく別の事が気になってしまって、思ったほど感情が動かなかった。・・・誤解のないように書いておくと、作品としての完成度はメチャクチャ高いのだけれど、どういう訳か、感情が動かないのだから仕方ない。

横山拓也の作品を初めて観たのは、「逢いにいくの、雨だけど」。その後、2021年の再演も観た。私の中では、神がかっている作品で、生涯見た演劇で、5本の指に入る。この作品以来、iaku、横山拓也作品を追いかけるようになった。そんなニワカiakuファン、横山ファンからすると、この物語「猫、獅子になる」は、「逢いにいくの…」のアナザー・バージョンのような気がしてならない。その事が終始、気になって仕方ない。しかも、「逢いにいくの・・・」のキミちゃんの役に対応する美夜子は、罪悪感から引きこもりになってしまっている。キミちゃんが、じゅんちゃんの失明で、引きこもりになってしまった物語・・・に見えてしまった。

「逢いにいくの…」は「許す」に焦点をあてていた。今回の 「猫、獅子になる」は、ラストのセリフの通り、どちらかというと「責める」に焦点が当たっているのかもしれない。誰かが誰かを責めることで、自責の念から引きこもりになる・・・というのは、実際の出来事としてはあるのかもしれない。でもここまで裏面な物語として描かれると、私の中でその物語は、どこか「遠くの」事としてしか現れてこない。観ていて、とても当惑してしまう。「引きこもり」という問題を軽視している訳では決してないのに、それでもやはり、「ひきこもり」を、どこか遠い世界の出来事に思ってしまう。仕舞には、ひきこもりを軽視しているのではないかという罪悪感までチラついてくる。

それ故に観ている途中から、『「ごめんね」「いいよ」』っていう、「逢いにいくの…」のチラシに印刷されていた言葉が、頭をよぎって仕方ない。この世界、実際には「ごめんね」「いいよ」では済まない、心無い一言が、人を引きこもりにさせるのだ。・・・でも、そんな現実、もう十分に分かってる。済まなかった極端な例は、意外でも何でもない。・・・いや、要するに自分は、横山拓也の作品に、どこか「素朴な会話の中から意外な部分を刺激して欲しい」と思っているのだろうな、なんて事に気がつく。

そんな中で、「劇団」に関する描写や、「引き出し屋」「宮沢賢治」など、割と「演劇あるあるあ」な設定を持ち出されてしまうと、どうにもこうにも、取ってつけた感覚が否めない。作品としては秀逸だけれど、やはり「逢いにいくの、雨だけど」で受けたあの落雷を、懐かしく思ってしまう。期待して待ち焦がれたが故に、ちょっと肩透かしをくらった作品だった。