<観劇レポート>早稲田大学演劇研究会「Scrap ‘n’ Build」

#芝居,#早稲田大学演劇研究会

【ネタバレ分離】 早稲田大学演劇研究会「Scrap ‘n’ Build」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名早稲田大学演劇研究会
早大劇研'23新歓公演
Scrap ‘n’ Build
脚本時吉海希、岡野屋丈、小島淳之介、早坂奈菜穂
演出時吉海希、岡野屋丈、小島淳之介、早坂奈菜穂
日時場所2023/05/11(木)~2023/05/14(日)
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

1920年、創立。
この100年間で、名前を変えて、場所を代えて、
そして大勢の人間を替えながらも、多くを受け継ぐ。
そのうえで、捨て去れたら。

​>活動拠点は、大隈講堂裏に建つ「劇研アトリエ」。
入会希望者は、「新人訓練」を受けたのち、
「新人試演会」を経て、正式な会員となります。

​>入会後は、原則として平等な公演企画の権利が付与され、アトリエの使用権を会員同士で競り合います。
また、「アンサンブル」と名付けられた派閥制度により、アトリエの使用はさらに円滑なものとなります。

早稲田大学演劇研究会

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

当公演は短編日替わり3本立てです。
一公演当たり、以下の四作品の中から三本のみ上演します。
〇演目
?️『パンチライン・ザ・ホット・ペッパー』
●作・演出
時吉海希
●出演
大熊望友 三枝佑 澄川海音 峰岸航生 安い丈博(劇団くるめるシアター)
佐織祥伍(友情出演) ?(友情出演)
●演出助手
小林未和 綾畝
●メイク
古賀結夢

?『燃えよ私のマルゲリータ!』
●作・演出
岡野屋丈
●出演
岡野屋丈 久間朝陽 ご 紗栄華 成海ことね 能見千秋

?『ある大学の、小さな劇場に、草が生えることについて
−About a young grass growing in a little theater in a university−』
●作・演出
小島淳之介
●出演
池森香乃 樺香[カコ]
●演出補佐
久佐山れヱと
●演出助手
稲葉捺月 韮崎大輔

?『へその緒』
●作・演出 
早坂奈菜穂
●出演
及川晶 古賀結夢 ときちとせ 韮崎大輔 早坂奈菜穂
●アンサンブル
岡野屋丈 ご 澄川海音 鳥塚隼人 成海ことね
●演出助手
秋尾藍歌 久佐山れヱと

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2023年05月12日
14時00分〜
上演時間115分(途中休憩なし 組みごとに異なると思われる)
価格無料 カンパ制 全席自由

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

※メンタル的に厳しくて、しっかり書き上げる余裕が取れないため、当面は感想のメモだけ残しています。忘れ去るより、こぼれ落ちる物があっても何かしら残しておきたい故。後々余裕が取れたら、振り返って、もう少しちゃんとした文章に仕立てあげるかもしれません。

早稲田劇研の新歓公演。客席は当然学生が多いけれど、劇研の特徴は、絶対に一人か二人、親戚じゃない類のおじさんが混ざっている事。まぁ、私もその一人なんだけれど。

あらすじ説明の通り、各30-40分くらいの3作品オムニバス。観た3作はそれぞれ全然方向性が違っていたけれど、それがむしろ面白い。公演全体としては、劇研の裾野の広さを感じる。オムニバス公演は、関連が無さすぎて散発的に作品を上演する感が強くなりがちだけれど、映像で3作をしっかりと繋げているのも好感。作品ごとの切り替えに客に1分くれる仕掛けが、ありそうでなくて、とても良い。観た作品の感想メモ。

「パンチライン・ザ・ホット・ペッパー」作・演出:時吉海希

舞台で表現されている虚構なんて、所詮は意味なんてない事を、畏敬しつつもあざ笑われる感覚。そんな、自己肯定とも自己否定ともいう何かを、良いテンポと笑いでサラッと表現するのを狙った作品、・・・だと思う。舞台上で、とことん遊び尽くす感覚。早稲田でノスタルジーを感じるのもあって(劇研の芝居観てると、この手の類似感想書きがちな自分に反省しつつも)、鴻上尚史の初期の作品とかを思い出す。前半にもう少しパワーが欲しいところ。後半、デーモン小暮のようなメイクをした「大きな音による演出」(うろ覚え)が出てくるところから加速していく。クスクス笑いが止まらなくなる。そして終わったら、内容を全く覚えていない。舞台に意味なんて無くてもいい。楽しかったなぁ、という余韻が強烈に残った。

カテコ、あんよはじょうずかなぁ。あんよも、ひょっとすると月蝕歌劇団とか少年王者舘とか、あのあたりに影響を受けてて完全な大元という訳では無いのかなぁ。このやり方をぼちぼち見かけて、中々に影響度の強さを思い知る。

「燃えよ私のマルゲリータ!」作・演出:岡野屋丈

1作目の禅問答のような作品とはと打って変わって、童話・寓話のようなお話をハイスピードなテンポで描く。吉本新喜劇の真面目な演技部分を、キャラメルボックスっぽくアレンジしました・・・っていうのはかなり無謀な表現だけれど、そんな感覚。他に良い例えが思いつけばよいのに。童話とテンポの下に、文章にすると少し恥ずかしくなりそうな、割とストレートなテーマ、コンプレックスと家族愛みたいなもの、を描いているように感じる。表現の様式が「照れ隠し」として機能している感だけれど、演劇ならではって感じで好感。とまとちゃんの役者さんが上手いなぁと思うも、名前が分からん、配役表配ってくれよう。

「へその緒」作・演出:早坂奈菜穂

さらに変わって、今度は不条理劇っぽい要素が強い作品。映画の撮影シーンでは、正直何が表現したいのかさっぱりわからず、イライラしてきたのだけれど。お腹に生えた手に焦点が当たったところで、あれっと思い。手足が弱ってしまった老いた映画監督が出てきたところで、何だか引き込まれてしまった。コンプレックスとか、あるいは家族や社会の因縁とか、そんなものを「手」で表現したいのかな、と感じ。「手」や「障害」の描き方は、ひょっとしたら批判される危うさを含んでいると思うものの。とはいえ、過去の不条理作品がそうであるように、更にグロテスクな表現を観てみたいかなぁ、という、お化け屋敷に入る時の好奇心みたいなものを感じる作品だった。