<観劇レポート>東京演劇アンサンブル「走れメロス」
【ネタバレ分離】 東京演劇アンサンブル「走れメロス」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 東京演劇アンサンブル |
題 | 走れメロス |
脚本 | 広渡常敏 |
演出 | 公家義徳 |
日時場所 | 2023/05/19(金)~2023/05/20(土) 新座市民会館(埼玉県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
東京演劇アンサンブルは、故・広渡常敏と故・入江洋佑の強い意志によって、1954年創設されました。社会変革は個々人の心のなかに変革が起こることによって進むと確信し、演劇によってそれを実現しようとしてきました。演じる側も同様で、「集団のなかでこそ人間が変化する可能性がある」として劇団制を貫き、ブレヒト等社会派の作品に取り組みながら、共に育ち力をつけてきました。現代社会の矛盾を突き、マイノリティに寄り添いながら社会に一石を投じる演劇を作り、それが人の心を揺り動かすことこそが、わたしたちが演劇活動を続ける理由になります。創作・書下ろしも加えつつ、世界で何が起き、何をみつめているのかに敏感に、翻訳劇を中心に新作を作りつづけています。また1967年以降、子どもたちの文化芸術体験の充実を図るため、義務教育外にあってフォローされていない高校生のための演劇鑑賞に情熱を注いでいます。
2019年7月より、「ブレヒトの芝居小屋」から埼玉県新座市の新しい稽古場「野火止RAUM」に居を移しました。時を同じくして代表だった入江洋佑も亡くなり、劇団は新体制に入りました。学校公演を主な財政ベースにしつつ、「野火止RAUM」で若い俳優たちを中心に新機軸を打ち出していく。この5年間は、新稽古場をいかに人の集まる場にできるか、地域と結びついたイベントづくりなども含めて、拠点づくりが大きな仕事となります。研究者や市民運動と連携しながら、文化の交差する場として、東京のベッドタウン新座に新しい「座」を創ることを目指しています。
過去の観劇
- 2024年09月12日 【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「ヤマモトさんはまだいる」
- 2024年03月29日 【観劇メモ】東京演劇アンサンブル 「行ったり来たり」
- 2024年01月22日 【観劇メモ】東京演劇アンサンブル「消えた海賊」
- 2023年03月25日 東京演劇アンサンブル「送りの夏」
- 2021年09月11日 東京演劇アンサンブル「タージマハルの衛兵」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
『走れメロス』は「走るメロス」
1976年、池袋サンシャイン劇場にて初演した、この型破りな『走れメロス』。当時脚本・演出を手掛けた広渡常敏は、「これはもはや芝居ではない。ぼくらの現実そのものである。」とし、「走りながらこれまでの自分をこわし、自分を支えている安全な守りを外し、未知の自分の顔を発見しよう」と語りました。
昨年末クリスマス公演として復活した『銀河鉄道の夜』に続き、劇団レパートリーの復活第二作として、新しいキャストで新しい演出家のもと、新しいメロスが、新天地である新座の地で、走りはじめます。
メロスは文字通り、劇場の客席の間を走りつづける。洪水、砂嵐、山賊と闘い、それを克服しながら走りつづける・・・・・・。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年05月19日 19時00分〜 |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 全席自由 |
観た直後のtweet
東京演劇アンサンブル「走れメロス」90分休無
打楽器演奏も加えてのメロス。思えばメロスの舞台観るの初めてかも。話にひねりがあるかと思ったけどストレートメロス。焦らない若者…はあまり話に繋がって来なかったけど、肉体のエネルギーすごい。ダンスWSSっぽいのだがいつ頃確立した演出かなぁ。 pic.twitter.com/W1agfS8sWy— てっくぱぱ@観劇垢/1 (@from_techpapa) May 19, 2023
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
※メンタル的に厳しくて、しっかり書き上げる余裕が取れないため、当面は感想のメモだけ残しています。忘れ去るより、こぼれ落ちる物があっても何かしら残しておきたい故。後々余裕が取れたら、振り返って、もう少しちゃんとした文章に仕立てあげるかもしれません。
1976年初演の東京演劇アンサンブルのレパートリー演目との事。ここ何年か上演されてこなかったものを復刻した様子。新座市民会館の客席も含めて、メロスが、走り回る。舞台も扇型に八百屋のような、あるいは陸上競技のトラックのように傾いている。客席との間を何周も走り回るメロス。後半は、アンサンブルたちも走り回る。ラストは、上半身裸で走り回る。エネルギーがとても高く、客席にいや応くな伝わってくる。
加えて、新座市民会館特別バージョンという事で、舞台前方でマリンバの生演奏。加えて、アンサンブルたちが、舞台に打楽器を持ち込んでの演奏が、走り回る演劇にリズムを加えていく。
ラスト近く「俺たちはあせる あせらない若者なんているだろうか・・・ 」という垂れ幕が出る。観る前にもこの言葉が宣伝に出ていたので、気になっていた。お話が、教科書で読んだ太宰治作の「走れメロス」だとすると、この言葉が登場する余地があるのか?と思ったから。故に、お話しにある程度アレンジと言うか、太宰作品からの改編があるように予想していて、ちょっと期待していた。ただ、実際ストーリーは、ストレートに「走れメロス」でこの演劇独自の改編らしきものは無かった。それ故、「あせらない若者・・・」のくだりは、私には唐突に映ってしまう。1976年初演との事で、日本がアツかった時代を潜り抜けてきた作品だろうから、それ故のギャップ、と捉えたらよいのだろうか。
中盤のダンスシーンが、ウエスト・サイド・ストーリーに似ている気がして、調べてみると初回の映画化が1961年だから、初演の時期とはギャップがある。あのダンスは、レパートリーの中でどの時期についた演出なのかなぁ・・・とか、この「走れメロス」の経年の歴史が、ふと気になったりした。