<観劇レポート>劇団た組「綿子はもつれる」

#芝居,#た組。

【ネタバレ分離】 劇団た組「綿子はもつれる」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名劇団た組
綿子はもつれる
脚本加藤拓也
演出加藤拓也
日時場所2023/05/17(水)~2023/05/28(日)
東京芸術劇場シアターイースト(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2013年に結成、加藤拓也が脚本・演出を務める劇団。丁寧な言葉とドラマ運びで、底抜けた暴力性と虚無感がねっとりと複雑に立ち上がる物語を上演している。22年に初めての国内ツアー公演を実施。

加藤拓也
1993年大阪生まれ。
劇作家/監督/主宰。

演劇と映像で執筆と演出活動をしている。外部公演で作品を発表したりする他、映画監督、ドラマの脚本、演出家としても活動している。2022年に初監督作品「わたし達はおとな」を発表。2021年「きれいのくに」(NHK)が第10回市川森一脚本賞を受賞。2022年「もはやしずか」「ザ・ウェルキン」で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。第67回岸田國士戯曲賞受賞。

劇団た組

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

綿子と悟の夫婦関係は破綻していたが、
綿子と不倫相手のある出来事によって、夫婦は再構築を始める。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2023年05月24日
14時00分〜
上演時間110分(途中休憩なし)
価格4800円 全席指定

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ドードーが落下する」が、第67回岸田國士戯曲賞を受賞して後の作品。本作と、ドードーが落下するを併催した戯曲をロビーで販売。ドードーは、正直あんまりピンと来なかったので岸田賞は意外だなぁと思ったのだけれど、安達祐実の主演も気になって観劇。

既に冷え切った、よそよそしい生活のルールまで作っている、夫婦。妻の綿子が不倫。もうだいぶ長く続いているようだ。だがホテルの部屋から出た所で相手が交通事故で死んでしまう。それを目撃した綿子。夫の連れ後は高校生。今まさに友達の女の子と恋に落ちる瞬間。冷え切った綿子は、夫と旅行するも火はつかない。誕生日のプレゼントをきっかけに、夫か綿子の浮気に気がついて、問い詰め始める。

テーマとしては、まあありふれた不倫の話なのだろから、ドラマとかの映像作品では取り上げられている話のようには思う。また、カーテンで仕切られたホテルのベッドは出てくるものの、エロチックなシーンはほぼ登場しない。それにもかかわらず、不倫の関係。冷え切ってしまった関係。そして、対比として出てくる高校生カップルの、初恋の初々しさ。男女の感情が、とてもナマナマしい。やらしさやエロスに頼らずに、ここまで生々しいのが凄い。当然、物語は舞台で起こっている「他人事」だから、時折、目を背けたくなったり、でも好奇心で注視したくなったり。そんな空間を、鋭い台詞で紡ぐ。

誕生日に出てくる、ダイエット用のゴムの縄跳びのような器具を、引き合う二人のシーンが切ない。夫婦って・・・あんな関係だよなぁ。伸びたり縮んだり。相手が突然「バチーン」って手を離すんじゃないかとヒヤヒヤしたり。誕生日で、どこか打ち解けた二人のシーンに、あのゴムを引き合うシーンを入れたのが印象的。

安達祐実の舞台は初めて拝見するも、こういう「もつれた」女性がかなりはまり役。ラストで不倫がバレて泣くシーン。不自然な泣き方にも見えるのに、どういう訳かずっと見ていると、こういう泣き方する女性いるよなぁ、な説得力。高校生カップルの田村健太郎、天野はなのかけあいが、作品全体のテーマとは真逆なのだけれど、それ故に隠し味のスパイス的な、対比の要素になっていて、劇全体を引き締まらせていて好きだった。

舞台#芝居,#た組。