<観劇レポート>MCR「死んだら流石に愛しく思え」最終版(2023年)
【ネタバレ分離】 MCR「死んだら流石に愛しく思え」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | MCR |
題 | 死んだら流石に愛しく思え |
脚本 | 櫻井智也 |
演出 | 櫻井智也 |
日時場所 | 2023/05/26(金)~2023/06/04(日) ザ・スズナリ(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、
各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。
過去の観劇
- 2024年04月26日 【観劇メモ】MCR「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)」
- 2023年12月23日 MCR 「シド・アンドウ・ナンシー」
- 2023年09月17日 MCR「絡め取りプリンセス投げ」
- 2022年12月03日 MCR「無情」
- 2022年10月23日 劇団三日月座「あの部屋が燃えろ」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
罪の上に立つ自覚のある殺人鬼と疑問も持たず只の空白で踊る殺人鬼と天使と呼ばれる資格のない女。
どれだけ手を伸ばしても
その手に触れるものは、何もない。+++
2015 年、2019 年にザ・スズナリで上演した「死んだら流石に愛しく思え」に大幅改訂を加えた『最終版』になります。実在した殺人鬼「ヘンリー・リー・ルーカス」を下敷きに、クズと、クズと、ある人にとっては善人と、クズだけど世界にとっては善人と、善人だけどある人にとっては邪魔者などが、やあやあやあと愉快な情景を繰り広げる、四方八方から罵詈雑言が飛び交う滑稽なお話です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年06月07日 14時00分〜 |
上演時間 | 135分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 平日昼割 |
観た直後のtweet
MCR「死んだら流石に愛しく思え」135分休無
ヘンリー・ルーカスの話を下敷きにしたシリアルキラーの話。作品2度目。 19年の再演の時は終演後衝撃で席立てなかった悪魔的な作品。記憶の確認な意味合いの観劇だったけど笑ってるのに意味不明な涙。あの曲の場面は小劇場史に残すべき凄さ。超オススメ!! pic.twitter.com/m19ay6W0s9— てっくぱぱ@観劇垢/2 (@from_techpapa) May 31, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
※メンタルの余裕が無く、しっかり書き上げる余裕が取れないため、当面は感想のメモだけ残しています。こぼれ落すより、何かしら残しておきたい。後々振り返って、もう少しちゃんとした文章に仕立てあげるかもしれません。
2019年の再演の後、印象が強すぎて尾を引き続けていた作品。「最終版」Final Editionという事。作者の櫻井智也にとっても思い入れの深い作品の様子。実在のシリアルキラー、ヘンリー・リー・ルーカスの話をもとに、人を殺める事を「ふつうに」やってしまう「くそったれ」が、どうしてそのような心理になるのか・・・という事を、おそらく作者を投影したキャラクターが、夢の中に迷い込んで彼と対話する・・・ように描かれた作品。
観終わってもう2週間くらい経とうとしているけれど、なかなか言葉にならない。言葉にならないまま2週間経ってしまった。何を観たんだろう。この作品は何だったんだろう。私にとって初めて観た2019年の時は、終わった後にあまりに重々しくて、すぐに席を立てなかった。今回は、さすがにそこまでではなかったものの。同じようにずっしり重いものが、のしかかってくる作品だった。
作品は、最終版に向けて大幅改定した、とあるものの、概ね私の中の記憶にある「死んだら…」と同じであった。もちろん、後半に出てくる、殺人を隠喩する、矢井田瞳の「My Sweet Darlin'」もそのまま(2019年に観た時は、芝居全体の丁度半分くらいのところにあるシーンだと思っていたけれど、今回観て、後半1/3の時間にあるシーンだと分かる)。あの切ないシーンがとにかく、突出して印象に残る。シリアル・キラーを「理解しよう」とあがくことが、どうしてここまで、MCR独特の「やさしい眼差し」、に繋がるのだろう。2019年のこの作品を観たのがきっかけで、その後MCRをずっと観続けている訳だけれど、いつものMCRに繋がる、優しさに、再度触れたような感覚だった。
映像化て伝わるものなのか分からないものの、映像化して欲しいと切に願うものの。ただ、矢井田瞳の曲があるので(しかも、このシーンは外せないだろうから)なかなか難しいだろう。今回、脚本を手に入れたので、これは大事に手元に置いて、温めておきたい。