<観劇レポート>feblaboプロデュース「ホテル・ミラクルThe Final」
【ネタバレ分離】 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクルThe Final」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | feblaboプロデュース |
題 | ホテル・ミラクルThe Final |
脚本 | 【REST ver.】服部紘二(ハイバネカナタ)/河西裕介(Straw&Berry)/屋代秀樹(日本のラジオ)/笠浦静花(やみ・あがりシアター)/窪寺奈々瀬(AURYN) |
演出 | 池田智哉(feblabo/24/7lavo) |
日時場所 | 2023/06/08(木)~2023/06/20(火) 新宿シアター・ミラクル(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
東京を中心に演劇の創作をする池田智哉のソロユニット、
過去の観劇
- 2021年08月10日 feblaboプロデュース「Who’s it? 〜ニューヨークの日本人〜」
- 2020年03月17日 Ammo「桜の森の満開のあとで(2020)」
- 2020年01月11日 feblaboプロデュース「十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-」
- 2019年11月23日 feblaboプロデュース「日曜日よりの使者2019」
- 2019年10月11日 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクル7」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
ストーリー記載を見つけられませんでした。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年06月16日 25時00分〜 </br(6/17>(6/17 AM1:00~ 深夜上演回) |
チーム | REST |
上演時間 | 175分(途中休憩約10分) |
価格 | 当日精算料金 4800円 全席自由 |
観た直後のtweet
feblaboプロデュース「ホテル・ミラクルThe Final」REST ver. 約175分含休憩
ラブホにまつわる短編を5篇+α。深夜上演回。過去のシリーズからから選りすぐりと新作と。とても濃くてどの作品も観入ってしまった。リプで作品の感想を。超オススメ!
私にとって劇場最後。ありがとうシアター・ミラクル。 pic.twitter.com/DML3oPd6oJ— てっくぱぱ@観劇垢/2 (@from_techpapa) June 16, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
2023年6月で閉館するシアター・ミラクル。最後の上演は「ホテル・ミラクル The Final」。過去一作観ているが、これで8作目らしい。ラブホテルの一室を舞台にした、短編の連続上演。今回は、過去のホテル・ミラクルからの選りすぐりと、新作を加えた構成。RESTとSTAYの2バージョン。各5本ずつ計10本。私が観たのはREST。金曜日の深夜25時から開演する回があり、閉館前の祝祭にも加担したくて、この回を選択。
これまでのよりすぐりというのもあり、かなり深い、刹那な恋愛会話劇。劇場からはトー横も近いし、深夜の歌舞伎町はもう少しうるさくて混じりかなぁと想像していたものの、実際には騒音も殆ど無く静かな中での深夜観劇。水を打つような静けさの中での会話とか、若干深夜テンションもある笑いとか。演劇体験としてとても深く、濃く、楽しかった。
私にとっては、シアター・ミラクル最後の観劇。ありがとうシアター・ミラクル。
「シェヘラザード」脚本:窪寺奈々瀬
大臣の娘…というのに臆して男たちはいつも及び腰。彼氏に振られた勢いで、会社の上司と一夜を共にする。・・・そんな様子を友達に話したのだけれど。実はその上司、友達のセフレでもあった。。。。というお話。
今回のための新作とのこと。会話というより、会話の行間にある仕草や、想いのやり取りか興味深い。最もエロ要素の緩い作品であるにも関わらず、細かい仕草がエロいのが印象的。アフタートークで、窪寺奈々瀬が同じようなことを語っていたのも印象に残った。
「よるをこめて」脚本:笠浦静花
「ホテル・ミラクル7」でも観ていて2度目。交際相手の女性。大好きなのに起たない男。その状況にイライラする女。ホテルに呼んだ、分給1000円の第3者の男。3人のやり取りをコミカルに、でもとても悲しく描いた作品。
まずはとにかくお話が巧みで。前回観た時も結構長めの感想を書いていて。改めて深いなぁ・・・っていうのを感じたのと。焦る女性を演じる陽向さと子が、両方の男にキスをするのだけれど、これがとても生々しい。人の心の駆け引きを、外側から細かく目撃した感覚。時に笑い、時に静寂。とても濃い時間だった。
「きゅうじっぷんさんまんえん」脚本:屋代秀樹
女性用風俗に来た女と、風俗嬢。ふたりの駆け引きの会話の物語。
恥ずかしながら、ちょっと物語の読みに自信がない。オドオドする女と、自信たっぷりの女。最初は、自信たっぷりの女が風俗嬢だと思っていたのだけれど。途中から会話がどこか逆転していて、実は、オドオドしている女・・・が風俗嬢だったんだと思ったのだけれど。解釈として正しいだろうか?。あえてミスリードを誘うように、そして逆転するように組まれている物語、・・・に私には見えた。
オドオド話す女がとても印象的。ああいうオドオドさを持った女性っているよなぁ・・・しかも解釈が正しいとすると、かなり手の込んだお話だなぁ。ラストにキスで会話を塞ぐのが、幕切れとしては完璧だった。
「クリーブランド」脚本:河西裕介
密かに男を好きな女。泥酔した勢いでキスして、ホテルに入ったけれど、朝目覚めてみると体の関係はなかったみたい。冗談っぽく「抱かれてみたい」と話しかけるも、男はそんな様子はない。どうやら女は、ここにはいない別の男と結婚することが決まっていて。それを知っていた男。ラストの会話で、実は男は同性愛である事が分かる。実らない恋。すれ違いの恋を描いた作品。
会話の微妙な感覚というか、フワフワした何かを摑もうとするような感覚が好き。ベッドの中で二人でピロートークしていて、iQOSってなに?何の略?「i」ってなに?iPhoneのiと同じなの?・・・っていう、他人が聞いていると詰めが甘い、でも友達(恋人)だから許されるような、気恥ずかしい他愛もない話が出てくる。二人とも、将来この他愛もない話を思い出すのかな。女の方は思い出すのかな。男の方はどうなんだろう。タイトルの「クリーブランド」もそうで。そんな刹那な瞬間の、哀しい恋が切り取られていて、好きだった。
「獣、あるいは、近付くのが早過ぎる」脚本:服部紘二
東京を怪獣が歩き回って破壊している。そんな時に、学生時代から片思いだった女と飯食って、ホテルに入った。死ぬ前に、ヤリたい男。でも女には50代のオジサンの恋人がいた。でもオジサンは3マタかけてて、女は優先順位3番目だった。いざヤレるか、という時にその事を男に暴露する女。「怪獣に殺されるからワタシとヤリたいなんて、ムシが良すぎるだろ。でもヤルなら早くやれよ」と、時折オジサンと電話で話しながら言う女。怪獣も、恋も、どっちも極限状態な状態でのラブホの一室の物語。
シュールだなぁ。怪獣だったり、その怪獣と闘うヒーローをモチーフにする作品って演劇だと結構ある。そんんな状況の中、描かれるのがラブホの一室の中だけという作品。アフタートークで、5作の順番をどうするか悩んだと池田智哉が話していたが、これは「ボーナストラック的な扱い」との発言に納得。確かに前4作がしんみりしつつも、この作品はちょっとぶっ飛んでいる。
男の方には、どこか終始ノリ切れないヤリ切れない感情がある一方、女の方がオジサン・ラブなのがヒシヒシ伝わってくるのがいい。むしろ女側に感情移入していて。そして更におじさんの私としては、自分で自分にちょっとキモさも感じるけれど(笑)。怪獣が迫ってるのに、ヤルだヤラないだ、3マタだと話している。人間ってどこまでも可笑しいなぁ、なんて事を思った一作だった。