<観劇レポート>キ上の空論「幾度の群青に溺れ」
【ネタバレ分離】 キ上の空論「幾度の群青に溺れ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | キ上の空論 |
回 | 10周年記念公演 |
題 | 幾度の群青に溺れ |
脚本 | 中島庸介 |
演出 | 中島庸介 |
日時場所 | 2023/07/05(水)~2023/07/09(日) 紀伊國屋ホール(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
キ上の空論とは、
2013年12月旗揚。 リジッター企画 中島庸介の別ユニット。 言葉遊びや、韻踏み、擬音の羅列や呼吸の強弱など、会話から不意に生まれる特有のリズム『音楽的言語(造語)』を手法に、ありそうでない『日常』をつづる。
過去の観劇
- 2024年03月28日 【観劇メモ】キ上の空論 「けもののおとこ」
- 2023年04月13日 キ上の空論 「けむりの肌に」
- 2022年04月15日 キ上の空論「朱の人」
- 2021年02月09日 オフィス上の空 /キ上の空論「ピーチオンザビーチノーエスケープ」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
太田マドカは、ストレスで胃痛を抱えながらホストクラブの店長をしている。マドカはひょんな事から川辺タイラの“秘密”を知る。タイラの唾液には人を眠らせる成分があり、彼女の唾液を摂取した者は眠ってしまう。睡眠時間は摂取量次第。秘密を知ったマドカは不気味に思うが、それでもタイラとの友人関係は変わらずに続いた。
その頃、とある教団の反社会性を批判し“被害者の会”を設立したタレント『江角弘光』が失踪した。事件はニュースやSNSで大々的に報道された。記者が教団に事件との関係を問いただしたが、教祖は全面否認した。
数年後、太田は旧友が話題の教団に入信し、既に幹部クラスへ昇り詰めていた事を知る。
教団幹部の旧友、怒る旧友の家族、川辺タイラの秘密、暴走する教団と世間……太田の視界は、日常と非日常の狭間でおぼろげになっていく……
一つの失踪事件をきっかけに動き出した暴走を、
いくつかの視点から覗く物語。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年07月05日 19時00分〜 |
上演時間 | 135分(途中休憩なし) |
価格 | 7200円 全席指定 |
観た直後のtweet
キ上の空論「幾度の群青に溺れ」135分休無
主に30年前のあの事件と、コロナ蔓延騒動を混ぜたお話。面白かったけど、40代はあの事件経験してるし何度も物語化されてて目新しさは感じず。若い人には目新しいのかな。コロナとかけるところがちょっと強引な気もした。オススメだけど他の人の感想読みたい。 pic.twitter.com/bnNUNiUFTi— てっくぱぱ@観劇垢/4 (@from_techpapa) July 5, 2023
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは事前説明の通りだが・・・、オウム真理教事件をモチーフに、新興宗教の暴走とサリン事件までの出来事をベースに、コロナの事情も交えて語られる物語。サリンが撒かれることがクライマックスだが、宗教団体が妄信している液体=唾液が、サリンであり、人々の疲れを取る教団の収益源の飲料水の原液であり、コロナ禍の中の「飛沫」であり。・・・と、唾液を通して、いくつかの事実をかけ合わせて語られる物語。
オウム事件、サリン事件の時、今40代の私は、当時は中学~高校生。「異臭騒ぎ」っていう言葉が定着するくらいだった。オウム真理教のしてきた事や、新興宗教の危うさは、たくさんの物語でみている。思いつく限りでも、「A」、「A2」、NHKの「未解決事件」、是枝裕和の「DISTANCE/ディスタンス」・・・要はオウム事件を描かれる事には、40代の私には若干の"今更感"がある。物語としては、キ上の空論らしくとても面白いものの、新しい視点・・・という訳ではなかった。一方、キ上の空論の客層が、比較的若い事を考えると、この事実を知らない人も多いだろうから、一定層には刺さる内容なのかもしれない。
統一教会の問題など、コロナ禍が過ぎても未だに「新興宗教」があり、それがコロナ禍の分断の社会の中で助長される・・・という事なのかもしれない。ただ、物語の大半が、オウム事件をなぞる形で展開している事もあり、私には「唾液」を通してコロナとオウム事件をかけることは、若干の強引さを感じる。うまく接合点を見出せなかった・・・というのが正直なところ。スパッと切り抜く感想や劇評に出会いたかったものの、今のところその類には出会えていない。