【個人的メモ】2018年11月観劇の総括。演劇の観客席に戻って感じたこと。
10月~11月は、たくさん舞台を観た。劇場に戻った感想。個人的手記。
人生を楽しむなら舞台の客席へ
2018年10月。
ほぼ放置状態だったこのブログを復活させるにあたり、コンテンツは何にしようかと考えた。
ブログは、「人生」を楽しむため、に綴ることに決めた。
という事は「自分の楽しみ」がコンテンツ。単純明快だ。しかしよくよく考えると、そもそもこんな事を悩むのもバカバカしいものだ。なにしろ、コンテンツが何かを考えるという事は、自分が人生を楽しんでいない、という事を認めるようなものだ。まあ確かにそうなのだから、仕方ない。
やはり自分が「楽しい」と感じる事を書くべきだろう。そう思ったとき、私の頭に思い浮かんだのは、真っ先に観劇だった。そうだ、最近、全然芝居観ていないよなぁ、と。5年ほど前に、劇団四季の「ウィキッド」にハマったことはあったけれど、それ以来、ちょっとご無沙汰になっているな、と。
観劇の日々。感激の日々
10月4日のKAAT「華氏451度」を皮切りに、11月末時点でこれだけのステージを観ることができた。観劇三昧での舞台も含めると、もう少し数は多くなる。これほどのハイペースで、今後も続けられるかは大いに疑問だが、今はこの瞬間を楽しんでいたいと思う。
かつて青春を過ごした小劇場。横浜STスポットや下北沢の町。懐かしい、という感覚はちょっと違う。小劇場のあの独特の雰囲気がそこにはあって、相も変わらず暖かく迎えてくれた。
観た芝居は、どれも「あたり」の芝居だった。久しぶりの観劇。私の感受性レベルが低くなっているのかと思ったんだが。そうではなかった。たまたま選んだ芝居が、どれもかなりの実力のある表現力。特に小劇場。私が若いころは、ここまで観てハズレを全く引かないなんて、なかったように思う。全体的に高い品質の作品が多いのかな、と感じる。感服。何度も涙し、感動し、大いに笑った。
私の作品のチョイスの問題か。世の流行は、会話劇なのだという事にも気が付いた。小劇場も含めて、会話劇がメイン。音楽や照明やダンスが駆使される芝居は、少数派だった。だた、その会話が、脚本が、役者の演技が、緻密に組み立てられている。それぞれの芝居が作る世界に、前のめりに入り込んでいった。
また、演出・脚本のみが芯となる劇団を構成し、毎回ごとに役者を集める、いわば「プロデュース」公演的なスタイルが多いことにも気が付いた。役者は、日々別の仕事を持っていることもあれば、タレント事務所に所属しているような場合もある。ここまで「プロデュース」的な劇団スタイルの文化は、20年前はなかったように思う。
初日通信
自然な流れとして、この瞬間を記録しておきたいという衝動に、どうしても駆られた。気が付くと、毎観劇ごとに、レビューを書くようになっていた。そのレビューが誰かの役に立てば、という思いもあり、初日に近い舞台を選ぶことが多くなった。それには大きな理由がある。
かつて、「初日通信」という出版物があった。初日近くの芝居の感想を、ニュースレターとして郵送で配信するサービス。今では考えられない。郵送である。インターネットのない時代だ。熱を帯びていた小劇場。今一番面白い劇団はどれだ、という事を知る情報源にしていたと聞く。
私は、この初日通信を実際に読んでいた世代ではない。80年代の小劇場ブームの足跡を、読んで育った、失われた90年代を演劇に費やした世代だ。演劇に片足を踏み出しかけたとき、図書館の片隅で出会った初日通信をまとめた本が、忘れられなかった。舞台の初日の感想なんて、後から読んで何の役に立つのかと思うかもしれない。確かに、具体的な役者や何かの名前は、全くよくわからなかった。初日通信は、かなり厳しい劇評を書いているので有名だった。そこに、言いしれぬ熱の存在を感じた。同じく図書館で見つけた「別冊太陽 60’s~90’s」という本にふんだんに使われている写真と共に、この時代の熱を知った。
舞台を記録する
インターネットのブログで、私は初日通信のようなことをやりたいのかもしれない。ただ、少し違う部分もある。演じる側と観る側が、つながるキッカケになればいいと考えているのかもしれない。インターネットで、これだけ早く情報が広まる時代。観劇したのち、twitterでハッシュタグ付きの感想をあげれば、同じ客席にいた者も、出演者ともつながれてしまう時代た。
この観劇ペースはどれくらい続くのか。来週には、疲れて辞めてしまうかもしれないし、来年まで続いているかもしれない。
ただ、今は、観客席に私を戻してくれた、得体のしれない「何か」に感謝しつつ、この感激を共有する作業を続けてみようと思う。
観劇記録
舞台 落語含めて13本
- 「華氏451度」@神奈川芸術劇場(KAAT) - なんかくうかい?
- ヌトミック「ワナビーエンド」@横浜STスポット - なんかくうかい?
- (感想)KERA・MAP #8「修道女たち」作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演:鈴木杏、緒川たまき、他 - なんかくうかい?
- <初日レポート>雀組ホエールズ「享保の暗闘~吉宗と宗春~」コメディタッチの本格時代劇!役者達にメロメロな一夜。 - なんかくうかい?
- KAAT「セールスマンの死」は重い芝居だがスゴイ!愛知東海市芸術劇、兵庫県立芸術文化センター公演あり。ぜひ風間杜夫・片平なぎさを観るべし - なんかくうかい?
- <初日レポート>劇団なのぐらむ「フェイバリット・ミステイク」で、安定したストレートプレイを楽しむ - なんかくうかい?
- <初日レポ>古城十忍の新作、ワンツーワークス「善悪の彼岸」は、死刑制度に望むものを問う挑戦的な作品! - なんかくうかい?
- <初日レポ>アンティークス「この星に生まれて」は、涙なくしては観れない、孤独な兄弟の一大叙事詩! - なんかくうかい?
- <初日レポ>らまのだ「青いプロペラ」は、やはり、運命に翻弄される人を、ほのぼの描く。 - なんかくうかい?
- <ほぼ初日レポ>iaku「逢いにいくの、雨だけど」は「許す」という行為に焦点をあてた会話劇。 - なんかくうかい?
- 鈴本演芸場 11月26日夜
- 昭和元禄落語心中 ドラマ化で落語ブーム再来?横浜にぎわい座で落語を聞いてきたよ!! - なんかくうかい?
観劇三昧 11本
- 笑の内閣「名誉男性鈴子」鈴子の迫力に片山さつき議員もビックリ! - なんかくうかい?
- 次は劇場で阪本浩之を観たい!「イヌジニ」@雀組ホエールズは、社会派コメディ - なんかくうかい?
- 絵川杏奈が幽霊に!「ひまわりの見た夢」は秀作。今後の雀組ホエールズに期待大です。 - なんかくうかい?
- 劇団なのぐらむ「愚か者のオノマトペ」は、良質なストレートプレイ。観劇三昧で無料でどうぞ。 - なんかくうかい?
- <観劇三昧>続編の公演間近。うさぎストライプ「空想科学」は時間と空間を行き来する不条理劇。 - なんかくうかい?
- <観劇三昧>アンティークス「あしおと」は、女子高生の青春の一コマを丁寧につむぐ、清々しい作品。 - なんかくうかい?
- らまのだ「明後日まで内緒にしておく」人間性を浮き彫りにする会話劇。 - なんかくうかい?
- ありふれた愛ありふれた世界
- 稚拙で猥雑な戦争劇場
- ひまわりの見た夢