<観劇レポ>柿喰う客「美少年」最前列で観ると、汗とツバがよく見える。男たちの美しい舞台。
存在しないものを浮かび上がらせる。パワフルな60分。すごいんだけれど。
どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。
「観劇三昧 」で観た、
柿喰う客「美少年」の舞台を観てきました。
公演データ
柿喰う客 新作本公演2018-2019
「美少年」
Geki地下Liberty(東京都)
脚本 中屋敷法仁
2018/12/15 (土) ~ 2018/12/30 (日) Geki地下Liberty
2019/01/18 (金) ~ 2019/01/18 (金) 新潟市秋葉区文化会館
2019/01/09 (水) ~ 2019/01/10 (木) 三重県文化会館
観劇データ
日時 | 2018年12月27日 19時30分〜 |
価格 | 4500円 全席指定(事前にチケットぴあで発券) |
上演時間 | 65分(途中休憩なし) |
Corich満足度 | ★★★★☆(4/5点満点) |
客席の様子
若い女性が多くいましたが、サラリーマン、男性もちらほら。一人で観に来たお客さんが多い印象を受けました。追加公演がバシバシ決まっているみたいなので、当然、満席。階段にザブトン敷く席も出てまして、開演直前に入場していました。
特にチケ取り頑張ったわけではないのですが、最前列センターで観れました。ほとばしる汗とツバ。これぞ小劇場。ま、多少反射的に、避けちゃうけれど。笑
劇団紹介
柿喰う客については、ホームページにこんな説明があります。
2006年1月1日結成。代表は中屋敷法仁。演劇特有の虚構性を重視した躍動感あふれるパフォーマンスが特長。「圧倒的なフィクション」を標榜したオリジナル作品の創作を続ける
という事で。知らない方のために。小劇場界では超有名劇団、です。
ストーリー
公式ページには以下の記載があります。
昭和最後の年。閑静な住宅街で起きた美少年誘拐事件は、地域住民や教育関係者、マスコミも巻き込む大騒動となったが、少年が無事に保護されたことで被疑者不明のまま解決した。あれから30年。かつて美少年だった男が新たな誘拐事件を起こし歴史の闇に葬り去られた悲しくもおぞましい事実が露見する。
ですが、確かにストーリーだけまとめてしまうとこんな感じです。
私にとって初ナマ、柿喰う客なので何とも言えませんが、ストーリーを追う話というより、ストーリーが「浮かび上がる」ような作品でした。
美少年は誰なのか
まずこの話に、美少年は実在としては出てこない。出てこないこと自体を、芝居中ネタにもしている。4人の役者は役がコロコロ入れ替わる。演じるのは「美少年を取り巻く人々」。美少年の周囲を演じることで、気が付くと実在のない「美少年」が舞台に立体化してくる。これは凄いなぁ、と素直に感動。しかも、教授が盗んだのは「美少年」の「美」そのもの。まるで「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」と息まくルパン三世の銭形警部のセリフようだ。印象の強いチラシの美少年のモチーフ。舞台に登場しないのに。ギャラリーの壁に穴を開けて26の瞳を通してみると、観客一人一人の「美少年」像が、それぞれの心に存在する。無から有を作り出す、想像力強制舞台。この表現力は素晴らしい。
4人の役者たちは舞台を、汗ツバを文字通りたらしながら、駆けずり回る。国語教育の弊害とばかりに、しゃべりまくる。活舌が気になるが、あの速度で話すのはそもそも無理だよ、という速度。観ているほうが、役者、途中で倒れるんじゃないかとヒヤヒヤ。途中休憩もギャグにしてるくらい。ハイスピード、ノンストップ。役者の体力と表現力には脱帽した。話はそれるが、赤いジャケットに汗がにじんでないのは凄い。あれは、何か特殊なことをしているのか。そうか、赤いスーツだから、ルパン三世を思い出したのか。いまそんな事を自分に納得させてみた。
12月25日(火)
16:00(乱)/19:30
※受付開始は開演の30分前、当日券抽選受付は開演の1時間前~55分前。
当日券詳細→https://t.co/rwN9zJ3K7u+++
当日券WEB予約(開演の3時間前まで)https://t.co/wlz3uJVCht pic.twitter.com/K4LuVKkEso
— 柿喰う客【2/13『美少年』上映会】 (@kaki_kuu_kyaku) 2018年12月25日
観劇三昧で観た「傷は浅いぞ」にも出ていた、永島敬三。駆けずりながらも、セリフの切れ、表現慮、男の魅力全開。いいな、ずっと見ていたいと思った。「傷は浅いぞ」では女装していた、大村わたる。やっぱ細いなぁ、と思いつつも、セリフのキレと、ダイナミックに体を動かす様の存在感が凄い。
一方、劇場から出てふと思う。銭形警部の台詞のような舞台だな、と一人、よく分からない例えを思うのだが、それ以外のことが記憶から落ちてる。役者の汗と、勝手に思い描いた「美少年」は思い出すのだが、内容がどこか心にこびりついてない。なんじゃ?この舞台、という疎外感。幽霊か幻かにだまされたような。舞台で遊ぶのはいいんだが、テーマとかはないのか、などと、偉そうな事を言ってみようかと思いつつ。心に問えば問うほど、思い出すのは役者の汗と、登場していない「美少年」。それが狙いなら、もちろん成功しているんだが。どこか物足りなさ。
舞台のテイストとして、ど真ん中ストライクで、ワタシ好み。「柿喰う客」今後も観てしまうであろう。だからこそ、だからこそ、心にもガツンと一発欲しい。劇場から帰るとき、「どんより」でも「ウキウキ」でも何でもいい、観なければよかったとさえ、思わせてほしい。もうひと口、スパイスが欲しい。それはワガママな望みなのだろうか。
観劇三昧
柿喰う客を観に行ったきっかけは、「観劇三昧 」。
柿喰う客の作品は
「傷は浅いぞ」
「いまさらキスシーン」
「へんてこレストラン(2016)」
「サバンナの掟」
「天邪鬼」
「変身」
「無差別」
「ながぐつをはいたねこ」
「へんてこレストラン」
スマホ、パソコンで観ることができます!
初劇団を観に行くのは勇気が要りますが、観劇三昧で納得してから、劇場へ足をお運びください。