神奈川県演劇連盟「pinky」

#KAAT,#神奈川県演劇連盟

神奈川県演劇連盟「pinky」
【ネタバレ分離】
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((((当日写真))))
どもっ\(´▽`*)。てっくぱぱです。昨日観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

神奈川県演劇連盟
「pinky」
期間 2019/03/27 (水) ~ 2019/03/31 (日) 神奈川芸術劇場・大スタジオ
3劇団オムニバス
『森が燃える』(劇団820製作所) 脚本・演出 波田野淳紘
『Leave!』(劇団スクランブル) 脚本・演出 坪井俊樹
『静的コンプレックス』 (演劇プロデュース『螺旋階段』) 脚本・演出 緑慎一郎

観劇した日時2019年3月28日 19時30分〜
座席全席指定
上演時間115分(途中休憩なし)
個人的な満足度CoRichに投稿★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子

若者からシニアまでまちまち。多人数組で来ている人が多く、演劇人、あまり普段は観劇しない人が半々かな、と思いました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観劇できる舞台です。
また、ラブホテルを舞台にしていますが、過激な性表現はありません。性的なものに嫌悪感を覚える方でも、許容範囲かと思います。

神奈川演劇連盟?

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

1960年結成。神奈川県内で活動する地域団体および個人会員によって構成されています。

神奈川県演劇連盟
今回の公演のページは、こんな風に書かれています。

「神奈川の地で活動し続け50年。神奈川県演劇連盟が誰にも負けないもう一つの演劇の形を、皆様にお届けします。」
をキャッチフレーズに、「KAAT神奈川芸術劇場OPENING LINEUP」の1つとして、2011年4月に始まった企画が"TAK in KAAT (Theater Association of Kanagawa in KAnagawa Arts Theatre)"です。

9年目を迎える今回の総合タイトルは『pinky』、そして舞台はラブホテル。その2つだけを足掛かりに演劇プロデュース『螺旋階段』、劇団820製作所、劇団スクランブル
が同じ舞台装置を使って30分ほどの演劇を3本お届けします。特色の違う3団体の芝居をご期待ください。

神奈川県演劇連盟 副理事長・演劇プロデュース『螺旋階段』主宰 緑慎一郎

という事で、演劇連盟が主催する、オムニバス会のようです。
そして、舞台はラブホテル。KAATにラブホテル。何だかすごくアンマッチで好きです。

事前に分かるストーリーは?

ホームページには、各劇団のストーリとして、記載がありました。

劇団820製作所『森が燃える』

荒れ果てた部屋。男が三人。外は猛烈な雪。
組織に属する二人の男が、益体もないことをしゃべっている。残る一人は簀巻きになり、無防備な状態で、ベッドに転がっている。ある精神的な拷問がこの場で繰り広げられているのだ。言葉による暴力の気配。冷気が部屋を支配し、男たちは凍えている。そこに「ママ」と呼ばれる若い女がやってくる。「ママ」は簀巻きの男に呼びかける。やがて夢と現実が交錯し―

劇団スクランブル『Leave!』

その家族にとって大事な事は子孫を残す事。それはとても美しく愛おしく、そして切なく初々しい行為。家族の事は、家族一丸となって!あ、多少、他人様のお力も少しだけお借りして…。
「もうあなたしかいない」
「別に僕じゃなくても…」

演劇プロデュース『螺旋階段』『静的コンプレックス』

うす暗い部屋。軋む音が静かに響く。男と女は交わっていた。
ことが終わり身なりを整える二人。すると部屋に別の男が入ってくる。男は静かに呪詛をつぶやくともう一人の男を蹴り飛ばした。
なぜか集められた六人の男女。それぞれの口からでる「ハセガワ」という名前。
ホテルの一室で起こる衝動を抑えられない男と女が織りなす会話劇。
「だから、そいつは誰なんだ?」

という事で、ちょっとドキドキなKAATです。

ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

チラシ通り、3話オムニバス。ラブホテルの一室を舞台に繰り広げられるお話、3話。KAATの大スタジオに、ラブホっぽいセット。なんか違和感あるような、嬉しいような。各話の感想を書き連ねてみると。

●劇団820製作所「森が燃える」
サスペンス。吹雪の中。組織に追われた男を、ラブホテルで捕まえたところから始まる物語。「ママ」の指示で、さしがねられた男と、つかまった男。吹雪で外にも出れず。そこに来る「ママ」。どうやらママと、つかまった男はデキていた。回想と、幻想とをが交錯しながら蘇る、男とママの時間。・・・ストーリーだけ乱暴にまとめるとこんな感じ。

突然、ハードボイルドなの来たなぁ、とびっくりしたけれど。空間の空気感が愛おしい。突然始まる物語に、どういう経緯でこの人たちはこんな「吹き溜まり」に集まってしまったんだろう、という想像力を観客側に求めるのが、心地よかった。

●劇団スクランブル「Leave!」
ラブホで働く夫婦と。女性と。ある日、その女性の弟が酔いつぶれた弟の女上司を連れてラブホにやってきた。酔いつぶれて吐いているので、部屋で休ませたい様子。後ろからついてくるタクシーの運転手は、運賃と車内でゲロした清掃代を請求し。空いている部屋に全員集まって、問わず語り。夫は「おたふく」にかかったことが原因で精子が枯れてしまったことを告白し、姉はタクシー運転手にちょっと惹かれ。・・・ストーリーだけ乱暴にまとめるとこんな感じ。

静かな演劇っぽいというか、人間が生きている中のある瞬間を、上手く切り取ったような芝居。そこに、ラブホっていうテーマを上手くからめていて、笑いの要素をかなり多めに取り入れて、Sitcomと言ってもいいかもしれない。酔っぱらった上司、夫婦、姉弟の会話がとても濃密で。ラブホの部屋に、6人も集まってしまっているのに、ああ、こんな空間あってもおかしくないなぁ、という感覚が楽しかった。

●演劇プロデュース『螺旋階段』「静的コンプレックス」
突然ラブホに入ってきた暴漢が、客を一室に集めた。この中に、俺の大好きなハセガワさんを殺した人がいる、その人を殺しに来た、という男。殺したやつを見つけるまで、誰も外に出出さない、と。たまたまその場所に居合わせてしまった、カップル、風俗を楽しんでた男、風俗嬢、デリヘルが来るのを待っていた男、ラブホの従業員。それぞれが、それぞれの、ハセガワさん、について語りだす。・・・ストーリーだけ乱暴にまとめるとこんな感じ。

別役実的な不条理劇というか、シチュエーションコメデイというか、サスペンスというか。いくつかの要素を行ったり来たり。結局、それぞれが思い描いた「ハセガワさん」は同一人物なのか、別人物なのか。暴漢は、なぜここに殺したやつがいる、と思ったのか、明かされない。ただ登場人物それぞれが、それぞれの隠した事情と、どこかハセガワさん、と繋がってるっていう事だけが明らかになっていく。ラストのラブホの従業員の電話も意味深で。なんか、人間の薄気味悪い側面を観ちゃったな、という感覚が面白かった。

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作品全体としては。
ちょっと普通じゃない人間関係、どの作品も「もうちょっと突っ込んで観たい」と思わされて。3劇団オムニバスという事もあり、制約もあるだろうから仕方ないかな。それと、結果的に、KAAT大ホールはこの作品の性質上、ちょっと広かったかなぁ。もう少し客と役者が近づいて、息遣いが見える場所で見れたら、更に面白かったんじゃないかな、と思った。途中、舞台の周りにみんなで体育座りして見たかったなぁ、とか想像してしまった。

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チラシの裏
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