<観劇レポート>演劇ユニットちょもらんま「僕はキヨシ。名前だけはある。」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 演劇ユニットちょもらんま |
回 | 演劇ユニットちょもらんま第6回公演 |
題 | 僕はキヨシ。名前だけはある。 |
脚本 | 高山典子 |
演出 | 高山典子 |
日時場所 | 2019/09/26(木)~2019/09/29(日) 北池袋新生館シアター(東京都) |
劇団紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
演劇ユニット「ちょもらんま」とは
仕事帰りに気軽にみられるコメディを上演します。
ばかばかしいだけではなく、こどもの頃の懐かしくて少し痛々しい思い出~忘れたい思い出も含めて~を切り取り、全て笑いに昇華させます。
事前に分かるストーリーは?
劇団ホームページには、こんな記載がありました。
今回は戸籍のない男が主人公。
でも普通に生きているし、結婚もしたい。
「だから戸籍を作りたいんです!」と訴えるも、
市役所では「担当が、前例が、法律が……」と
言わ!?
観劇のきっかけ
チラシが気になっての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
上演時間・チケット価格・満足度
観劇した日時 | 2019年9月27日 19時30分〜 |
上演時間 | 85分(途中休憩なし) |
個人的な満足度 CoRichに投稿 | ★★★☆☆ (3/5点満点) |
客席の様子
男性6割、女性4割くらい。男女ともにアラサーアップの方が多い、比較的落ち着いた感のある客席でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者の方でも、安心して観ることができる芝居です。
観た直後のtweet
演劇ユニットちょもらんま「僕はキヨシ。名前だけはある。」85分休無。
事情は多々あれど、この境遇にある人って本当に面倒な人生んだろうなぁというのは感じたけれど。物語の焦点が、境遇なのか愛なのか、どこに合わせた話なのかは、戸惑ったまま終わったかなぁ。
お気に入りの役者さん、何人か発見。 pic.twitter.com/y22uq5t3Z7— てっくぱぱ (@from_techpapa) September 27, 2019
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
忌野清志郎が好きな母に、清と名付けられた男。父は清が生まれる前に母を捨て、見たこともない。そして、清には戸籍がない。家出した時に母は自宅の火事で死に、出生証明書や母子手帳など、出生を示す書類も何も残っていない。母の働いていた居酒屋のオヤジに拾ってもらい、そこで青年期を送った清。真面目な清は、やがて居酒屋のオヤジの、1人娘と結婚することに。しかし、戸籍がないと入籍はできない。そんな清が戸籍を取るために、役者へ、裁判所へ、駆けずり回る物語。
物語の2/3くらいは、清が戸籍を取るために役所や裁判所を駆け巡る時間。無戸籍の人の話って、今まで殆ど聞いたことがなかったので、設定自体がとても新鮮な話だった。そもそも、無戸籍という状態がどうして生まれるのかもよく分かっていなかったし、裁判所が関与する問題なのだ、というのも驚きだった。その「新たな知識」みたいなものは、とても新鮮だっだのだけれど。物語の2/3が、法律というか、戸籍の制度の説明に費やされてしまった感があり。出産後の夫婦に対して「不幸な子供を作らないために、出産後、必ず届けを必ず出しましょう!」という類の、保健所の啓蒙演劇でも見せられているのかな感覚が、開演60分くらいまで、拭えないまま進み。
後半の1/3は、清が母の愛に気づいていく物語。出生届を出さなかったのは、理由があった。それは、前の夫の子として認知されて人生を壊されるのを恐れたから。居酒屋のオヤジや、母の元夫、結婚する奥さんとの会話で、おぼろげに真実が見えてきた清。そして、母の大事にしていた忌野清志郎のレコードから見つかる、出生証明書などの書類。清志郎の「デイドリーム・ビリーバー」が流れる中、戸籍を手にする清。
えぇ話だなぁ〜とは思うのだけれど。
前半までの説明の印象を引きずったからか、どこか物語が空虚に思えてしまって、素直に感じ入れなかった、というのが正直なところ。清志郎の名曲も、逆にこの曲で泣かそう、っていう風に見えてしまった。まあ、いい曲だけれど、物語の感情が生きたものになっているかと、曲が感動的なのは、別だ。
清は、裁判所行ったり役所に行ったり、それなりに頑張っていて、けれども、本人にはどうしようもないことが重なったように、私には見えて。その「どうしようもない」部分を、責めてくる周りの人々に対しても、あまり感情移入ができなかった。この感情の繋がらなさもあり、気が付くと、やはり前半の2/3の、説明的な物語が、浮き彫りになってしまった。
物語の好き嫌いは、人それぞれ、いろいろとあって良いけれど。私自身の好みは、『物語は「説明」じゃない』という基準が、とても強い思いである事を、再認識した。そんな時間だったかもしれない。
役者さんが好演。好きだったのが。
山本啓介、どうにもならない境遇を淡々と受け入れつつ、裁判所や役所で奮闘する、なんだかものすごく誠実な感じは好印象。役者さんとしても、演技が丁寧だなぁ、と見ていて感じた。前野鳩子、すごく味のある美人さんだけれど、元気のいい妻と、店を切り盛りしている姿と、出産後の赤ちゃんを抱いているののギャップが印象に残る。丸山美樹、役所の受付係。なんだか照明に映えた姿が妙に印象に残り。底抜けに明るいコメディのような役じゃなくて、底意地悪い役をされたらどんなになるのかなぁ、とか、芝居中に考えてしまった。印象に残ったのは間違いなく。
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