<観劇レポート>人間嫌い「かわいいチャージ’19」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 人間嫌い |
回 | 劇団人間嫌い5周年記念公演 |
題 | かわいいチャージ’19 |
脚本 | 岩井美菜子 |
演出 | 岩井美菜子 |
日時場所 | 2019/11/01(金)~2019/11/04(月) 新宿シアター・ミラクル(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
人間嫌いとは?
2014.10.1に発足した、岩井美菜子が主宰するおひとりさま演劇ユニット。少人数かつ女性キャストを中心に、等身大にもなれない女の子を描いている。活動拠点は東京。岩井美菜子とは?
共立女子大学文芸学部在学。神奈川県立神奈川総合高校・個性化コース出身。 生まれも育ちも鎌倉。 幼少期にデブコンプレックスだったことから、ところどころ心が歪んでいる。
16歳の時、とある芝居の写真に衝撃をうけ、演劇の道を志すように。人に言われた「作・演出向いてるかもよ?」という言葉を鵜呑みにし、脚本を書き始める。
17歳で、劇団人間嫌いを立ち上げた。
劇団人間嫌い 公式Webサイト – メンヘラが泣いて、おじさんが笑う。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
2017年初演の『かわいいチャージ』をリクリエーションいたします。
–これはメイドカフェを舞台におこる、かわいいの“義務“と“権利“の物語–
観劇のきっかけ
チラシと、初演の評判を聞いて観劇を決めました。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・チケット価格
観劇した日時 | 2019年11月1日 19時30分〜 |
価格 | 3000円 全席自由 (事前にネット予約) |
上演時間 | 95分(途中休憩なし) |
チケット購入方法
劇団ホームページの公演情報に、予約ページのリンクがありました。
代金は、当日清算として、当日受付で払いました。
https://ticket.corich.jp/apply/102468/
客層と客席の様子
男性7割、女性3割くらい。男性はサラリーマン層が多く、女性は若い方が目立ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・かわいい
・考えさせられる
・メイドカフェ
観た直後のtweet
劇団人間嫌い「かわいいチャージ'19」95分休無。
再演との事。チラシからの想像通り?かわいいメイドさんが沢山出てくるお芝居だけど。
なんてのか余韻が重くて切ないなぁ。途中でストーリーは読めつつも、想いの重さみたいなのが鈍くて痛くて鋭い感覚。当たり前だけど、誰一人間違ってない。オススメ pic.twitter.com/DttPRJY71d— てっくぱぱ (@from_techpapa) November 1, 2019
映像化の情報
情報はありません。
CoRich満足度の★
CoRichに投稿している個人的な満足度
★★★★★☆
(5点満点中の、4点)
(CoRichに公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています)
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
メイドカフェを取り巻く物語。新しく来た、ラブちゃんを迎えつつ、日々を過ごすメイドたち。どうやら、店長は何かでオーナーと揉めていて、ミルクは彼氏にメイドカフェで働いている事を隠していて。店長の妹は就活中で、可愛さとは無縁のタイプで。そんな中、店長が店に来なくなった。どうやら整形した様子。整形した後の、目を腫らして眼帯をした状態では、メイドとし店には立ちたくない、という店長。一方、そんな姉を心配してきたはずなのに、「かわいい」という事に囚われ過ぎていることに、嫌悪感と理解出来なさを爆発させる妹・・・、と、強引にまとめるとそんなお話。
ストーリーを追うことがもちろん必要だけれど、ストーリーから「かわいい」という事に対する考え方の違いを、浮き彫りにさせる事が、この表現の目的のように思えた。登場人物たちの考え方の違いというか、「かわいい」に対する捉え方の違いが、如実に表れていたと思う。ストーリーよりも、その違いの残酷さみたいなものが、観所に思える芝居だった。
店長の妹鈴奈は、どこか垢抜けなくて、自分を不美人と思っているタイプ。勉強頑張ってきたんだろうなぁ、という感じだけれど、就職活動の面接で、地味が裏目にでるのか中々良い結果が出ない様子で、その鬱憤を姉にぶつけているようなところもあり。
一方姉の店長は、正社員の店長として店を任されつつ、メイドカフェにプライドを持って取り組んでいい。だからこそ、眼帯の姿では「かわいい」の塊の、神聖なメイド服を着る事を拒み。
店のオーナー、経営者のエリカは、明確に「かわいい」を商売にしている感覚があり、だからこそ、店長の美意識にも、どこか冷めた時点で見ていて。ちょっと冷徹で怖い部分もあり。
ここあは、「かわいい」という事を、単発的なモノや事柄ではなくて、全体的な人間の有り様(という程高尚でもないけれど)と捉えいてるも、ある種の商品として捉えている感覚もあって、その「かわいい」を淡々と追い求めている部分があり。
みるくは、可愛いという事の価値を、自分の身の回りのものの価値との相対的な比較が出来ておらず、「かわいい」事自体には悩むことはないのだけれど、彼氏との関係で悩み。
らぶは、若い事もあり、自分自身に自信がない事もあり、「かわいい」をメイク道具や小物類などの「もの」に紐付くものだと思っている。
かおるは、普段は男装をして「かわいい」とはちょっと距離を置いて接客しているも、いざメイドの数が足りないとなったら、自分からメイドを買ってでる。「かわいい」を尊びつつも、それほど重要な価値を置いていない人もいて。
誰もが、「かわいい」という事が、何らかの絶大なパワー、エネルギーを持っていることは、認めざるを得ないのだろうけれども(鈴奈にとっても、認めるか認めないかは別にして、負の意味でのエネルギーは認識はしているだろうと思うが)、そのエネルギーをどう捉えるか、という点で、実は登場人物の、誰一人として同じ捉え方をしていない。90分の物語のなかで、いろいろと物語は展開はするものの、結局は、その一人一人が見ているものが違うんだ、という事を浮き彫りにさせられる時間。分かっている事ではあるけれど、改めてこの形で突きつけられると、何だか少し寂しかったり、重苦しい。そんな、一抹の寂しさを感じる事が出来た、観劇体験だった。
印象に残った役者さん。…ええと、何処かで拝見したのだけれど…と思う役者さん多数なのに、すぐに繋がらなくて困る。メイドさんは人を惑わさる。浦田すみれ、feblaboで何度か拝見している役者さん。何だろ、あのちょっと突き放したような達観な感じが、割と好き。星澤美緒、「かわいい」に意固地なのが、ストンと原に落ちてきて心地よかった。