<観劇レポート>演劇プロデュース『螺旋階段』「小田原みなとものがたり」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 演劇プロデュース『螺旋階段』 |
回 | 第26回公演 |
題 | 小田原みなとものがたり |
脚本 | 緑慎一郎 |
演出 | 緑慎一郎 |
日時場所 | 2019/11/08(金)~2019/11/10(日) 小田原市生涯学習センターけやき(神奈川県) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2006年小田原にて。
居酒屋にて緑慎一郎、田代真佐美、上妻圭志、三春瑞樹の
四人で集まり劇団をやることを決意。酒の勢いで最初は
「マッチ小屋」という名前だったが朝起きたらこれは駄目だと緑が演劇プロデュース『螺旋階段』に改名。
以後、年に二回のペースで公演している。
小田原を秋公演、横浜を春公演に現在は落ち着いている。
全て緑慎一郎が脚本と演出のオリジナル作品を上演。
2016年に演劇プロデュース『螺旋階段』十周年を迎えた。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
小田原で漁師をしている赤城智則は男手一つで一人娘のいかりを育てていた。漁に出る日は夜中の一時に起きて朝の十一時に仕事を終えて家に戻り夕方に寝るという生活。いかりが小学生のころから一緒にいられる時間が少ない中、周りの漁師、同級生たちのおかげでいかりは凛と育っていた。いつも智則の家には人が訪れ大勢の家族とともに暮らしているかのような幸せな日々だった。しかし、そこに別れた妻の満智子が飄々と帰ってきた。家を飛び出してから連絡一つなかったのに何をしに帰ってきたのか。美智子に出ていけと強く言えない智則を見ながらいかりはある選択を迫られていた。演劇プロデュース『螺旋階段』が小田原の港を舞台にすべての家族に送る心温まる人情物語。
観劇のきっかけ
チラシがキャッチーだったので気になっての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年11月9日 15時00分〜 |
上演時間 | 105分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 当日券・全席自由 |
チケット購入方法
行けるかどうか分からなかったので、当日直接受付で、当日券を買いました。
客層・客席の様子
アラフィフアップの50代の方が目立ちましたが、それ以外にも、30代くらいの男女も目立ちました。男女比は半々くらい。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・人情劇
・泣ける
・笑える
観た直後のtweet
演劇プロデュース『螺旋階段』「小田原みなとものがたり」105分休無。
港町ならではの人情会話劇。再会の物語ではあるんだけど、町の生活感というかグルーヴ感が良かったかな。男はこういう時だらしないよね。いかり役の女優さんが上手いなぁ。平坦に感情出すのが、見ていてとても納得。割とオススメ。 pic.twitter.com/piDBTXrpeE— てっくぱぱ (@from_techpapa) November 9, 2019
映像化の情報
映像化情報はありません。
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
小田原の漁師町の人情物語の会話劇。男手一人で娘のいかりを育てる漁師の智則は、漁業組合の空き家に住んでるけれど、15,000円の家賃も満足に払えない。というのも、別れた満智子が作った借金を返し続けているから。惚れた女が作った借金とはいえ、子供の生活は潰せないと、二度と小田原には姿を見せない、と約束させて、娘と借金を引き取ったのだ。そんな生活が始まって8年目。幼馴染だったかえでとデートしたりはしているが、どうも煮え切らない智則。漁師町の漁師仲間やその家族、漁業組合長、理髪店の主人が、二人が気になるのか、元漁業組合の建物だからか、どういう訳かみんな2人の家に集まってしまう。そんな中、別れた満智子が、婚約した夫を連れて帰ってきた。智則と、いかりに、結婚する事を告げに・・・と、強引にまとめるとそんなお話。
港町小田原の生涯学習センターのホールで、小田原を舞台にした公演。人情劇の定番、長い事不在にしていた人が帰ってくる物語。まあ、良くも悪くも、定番な人情劇だったとは思う。私的には、演劇的に特別な視点だったり、ギョッと驚いたことがあった訳ではない。また、「小田原」という設定が、ストーリーや舞台の中に、色濃く織り込まれていた・・・という訳ではなかったけれども。劇場空間に居る時間、特に漁師町の人々のグルーヴ感みたいなのを、人情劇と共に楽しめた。智則の家を舞台にした設定が非常に効果的で、気がつくと人が智則の周りに集まり、出入りしてしまう様が、自然な流れで描かれていた。
客席の年齢層は若干高め。あるいは、お母さんが小さな子供を連れて観観ていたりする客席。興行的に、あらかじめからそのな客層を狙ったか否かは判然としないけれども。たまたま客席の後ろの方に座って全体を見渡してしまったこともあり、シニアな方から私のような割と観劇慣れした層まで、幅広いゾーンの人が105分間楽しめていたのがすごいなぁ、と思った(かなり小さな子供は、さすがに客席を歩き出したりしていたけれど)。
一点。音響について。途中、メロウ・パンク?、ポップ・パンク?っぽいけどバラード系の曲を流すシーンが2度ほどあって(Green Day?)。このシチュエーションでこの選曲、なセンスが結構好き。もう少しパンクパンクした曲、でも似合うかなと思った。客入れ曲が、かなりジャパニーズ・オールディーズだったので、この路線で迫られたら、個人的には105分はちょっと辛いかな、と思って心配していたけれど。ガチガチのパンクじゃなくて、バラードっぽいので、客層的にもしっかり配慮したギリギリの線を狙っているのかなぁ、というのを、深読みかもしれないけれど感じた。
気になった役者さん。いかりを演じていた、モハメディ亜沙南。客席から見ると、横顔を見せるシーンが多く、目鼻立ちの綺麗さがとても目立ち、表情がそれ程見えた訳ではないのだけれども。長い事、母と会っていなくて。自分の事を忘れているんじゃないかと少し恐れている、という時に。大げさじゃない…というより、大げさになんてとてもできない、平坦を装った感情、・・・の演技が、かなり強烈に印象に残った。清田俊美、正直なところ最初は、ん?何事だ?と思ったけれど。今回の芝居に関して言えば、設定に組み込んでしまってもよい役だったかも。私の脳内では勝手に組み込んで観ていると、夫婦で頭下げているシーンなどが、ものすごく腹に落ちて好きだった。緑慎一郎、ギャグは受けたり、受けなかったりだったけれど、あの愛くるしいキャラクターが好き・・・と思ったら、作・演出もされている方でした。
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