<観劇レポート>うめめ「シゲル」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | うめめ |
題 | シゲル |
脚本 | 真臼ねづみ |
演出 | 真臼ねづみ |
日時場所 | 2019/11/28(木)~2019/12/01(日) BUoY(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページはなく、劇場ページにこんな解説がありました。
2015年6月旗揚げ。
名古屋を中心に俳優/脚本/演出家としてフリーで活動していた真臼ねづみが、自身の表現を舞台上演する母体として設立。2016年第2回公演後さらなる飛躍と挑戦のため拠点を東京に移す。
家族を題材とした作品が多く、日常のリアリティを面白おかしく描く。
人間の格好悪い側面に特に愛着を持ち、不器用な人や追い詰められた人たちの常軌を逸した行動を切り取る。シュールな笑いと、誰もが思い当たる身近さが特徴的。
シゲル – BUoY
https://twitter.com/umeme2015
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
律子が家を出て1年、久しぶりに帰省する。
そこには“彼女のいない1年”があった。
どこにでもいるような家族と、誰もが抱えるかもしれない問題の詰め合わせコメディ。
「簡単に絡まるのに解くのは難しい」をコンセプトに、主人公以外全員男優でお届けする年齢と性別を気にしないホームドラマ演劇。
観劇のきっかけ
気になる役者さんが出演しているから、の観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年11月30日 19時00分〜 |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
価格 | 3300円 全席自由 |
チケット購入方法
劇場サイト内の公演ページから「予約はこちら」を押して、ネット上で予約しました。
代金は当日清算でしたので、当日受付で払いました。
シゲル – BUoY
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。年齢層も様々。極端にシニアな方は見かけなかったかな。特定の傾向があるようには思えませんでした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・泣ける
・笑える
・会話劇
・家族
観た直後のtweet
うめめ「シゲル」90分休無。
笑ってるのに、ものすごく苦しかった。見えないものが見えるように成長して、分からなくていい事が分かるようになっても、でも結局わからいことは、分からない、という事かな。乾いてる感覚。ツボ多くて笑ってるのに、物悲しかった。
役者さんが力強くてすごい。オススメ! pic.twitter.com/5Hu7AlxwoR— てっくぱぱ (芝居と酒好き) (@from_techpapa) November 30, 2019
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(4.5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
一年ぶりに帰宅した姉、律子。20代後半だろうか。実家は大きく変わっていた。家の周りは「ガーデニング」という名の草ぼうぼうに覆われて、祖父の認知症は進行し、父は誰のものとも知らない家族アルバムにストーリーをつけて説明する妄想の中に生きているし、母はテニスをやめても結局世間体に生きている。高校生の妹には彼氏が出来、社長だと言っているが、実は近くの中華屋でバイトをしている。いわゆる「お化け屋敷」を作って事業を起こして成功させると言っていて、顔面真っ白に入れ墨したへんな後輩が家の中をウロウロしている。帰宅した姉は、実は未婚の母になる事を両親に告げに来たが、妹の彼氏の問題もあって最悪のタイミングで話すことになる。そうやって、一年すると家族は変わってしまっているけれど。やはり記念写真は最後に・・・と、強引にまとめるとこんな話。
出演者は、主人公の姉以外は全員男性で、女性も男性が演じて。半分は女装した男たちが演じる、ちょっと変わった家族劇。劇中のセリフでも出てくるのだけれど。「自分自身が成長して理解できることが多くなると、これまで見えていなかったことが見えるんだなぁ。」という感覚。でも、父・母・祖父・妹のいろいろな事が見えても尚、やはり分からない・・・というか、得体のしれない事が見えてきて。その断絶というか、ズレみたいなものを描いている作品に思えた。
変な設定の男(+女装)たちが沢山出てくるのに、会話が物凄くナチュラルというか、自然。物語を進めるのに必要な言葉は選びつつも、帰省した時のある瞬間を切り取ったんじゃないだろうか、という感覚だった。
相手の訳の分からなさを表現する、という点。主人公以外が全てが男性という配役にも現れていいるように思えた。しかも、男性陣が非常にパワフルな役者さんが人が多く、そのドタバタ劇的なものを観ているだけでも面白い。しかし、家族との「ズレ」を描いている作品だけあって、笑いも自然と乾いたものになってしまって。細かいネタでゲラゲラ笑っているのに、全編通じて物悲しい感覚が舞台を支配していたように思った。
作品が提示しているような世界観は、これまでも、どこかでみたことがある。割と普遍的なテーマで、テーマ自体には新鮮さみたいなものは、特に感じなかった。そんな中、私自身は、30代くらいの女性から一人称で世界を捉えた物語は、実はちょっと苦手だったりもする。拝見した回は、作者が主人公の女性も演じるのを知り、一抹の不安を覚えたりもした。「私はこう世界を見たの!」という感覚で、視点を迫られると、ちょっと困る物語だった気がするのだが。・・・観てみて、予想とは裏腹で、完全に裏切られた感覚だった。
律子が主人公の物語なのだが、実は物語の中では、家族を見つめる脇役になっている。あくまで物語の主軸は、家族の面々。自分自身の妊娠、という側面を抱えつつ、その家族を外から「見つめる」視点で進む物語の構造。男優陣の濃さも相まって、律子自身が、とても空虚な存在であるように見えた。客側に、その視点を体験させるような構造に、したかったんじゃないかと思うのだけれども、解釈が正しいとすると、演出的には成功していたように思う。ダブルキャストで、主役のみ、別の女性が演じるバージョンもあるようなので、そちらも観てみたかった。
父が、インターネットで買った他人の家族写真を古臭いアルバムに入れて、その写真が撮られた経緯の、架空の話を作り上げていた話が、とても印象的だった。「GHOST IN THE SHELL /」に出てくる家族の記憶を埋め込まれた人や、「岸辺のアルバム」を思い出した。
男優さんの迫力というか、緩急自在な演技が、一部役の女装した演技と相まってとても印象的。その中で気になった役者さん。山崎丸光、何だかお母さんが板に付きすぎていて。自然に受け入れている自分にビックリした。家田三成、他の男優陣と違って、自信なさそうにトツトツと喋る声と、KENAROのトレーナー着ている様があまりに哀れというか情けなくて。半面、アルバムにかじりついてる時の嬉しそうな表情が印象的だった。今井勝法、女子高生もそうだけれど、パジャマが似合い過ぎてる。お姉ちゃんの布団に入ってくるのとか、それだけでもう可笑しくて仕方なかった。タクシー運転手も好き。白川哲次、あのうさん臭さはいいなぁ。
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