<観劇レポート>川口菊池の二人芝居「宇宙からの婚約者」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 川口菊池の二人芝居 |
題 | 宇宙からの婚約者 |
脚本 | 冨坂友(アガリスクエンターテイメント) |
演出 | 冨坂友(アガリスクエンターテイメント) |
日時場所 | 2019/12/18(水)~2019/12/23(月) イズモギャラリー(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
今回の企画について
本企画はフリーの役者として活動する
川口知夏と菊池泰生の
『今やりたいことは今やろう』
という想いから始まりました。
第1回目の今回は作・演出にアガリスクエンターテイメントの冨坂友さんをお招きします。作り手も観劇者も心から満足できる演劇とは何か?
その問いを軸とし、今後活動していきます。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
社会人三年目、今日は記念日、給料三か月分の指輪。
プロポーズを切り出す男に、女は衝撃の事実を打ち明ける。
「別れよう?私、ウルトラマンだから」
観劇のきっかけ
チラシを見ての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年12月19日 19時30分〜 |
上演時間 | 60分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRichのページから予約しました。当日受付で、前売り料金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は8:2くらい。女子高生からシニアなおじさままで、幅広い年齢層がいました。団体もいましたが、一人客が多かった気がします。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・笑える
・会話劇
・シンプル
・前向き
観た直後のtweet
川口菊池の二人芝居「宇宙からの婚約者」60分休無。
前半は予想通りか!って感じだったわけだけど。後半はもうね…。ふたり芝居だし圧倒的な会話劇なのだけれど当然コメディ要素も強く。結局何も解決してないけど、結論が好き。例の小物が気になった。役者さんふたりの魅力たっぷり。オススメ! pic.twitter.com/03pQxYCaSZ— てっくぱぱ (芝居と酒好き) (@from_techpapa) December 19, 2019
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
付き合って一年目。今日こそプロポーズしようと指輪を買ってきた男。外でご馳走より男の家でピーマンの肉詰めがいいという女。食事の後、プロポース。しかし断られる。理由は・・・彼女はウルトラマンだった。今まで隠しながら付き合っていたの大変だったと告白。お互いの溝は埋まらず、別れる事に。・・・引き止める男を振り払う女。ウルトラマンは力が強い。怪我をした男の血は・・・青緑。男も実は、地球人ではなかった。平行線になる話。男の星は滅亡して、月の裏に関東平野くらいデカい宇宙船を連れて移住してきたのだそうだ。男は、先見偵察隊だった。宇宙船が着陸すると、関東平野が潰れるから、名古屋か仙台に逃げよう、という男。地球を侵略している意識は無いものの、女からみればそれは侵略そのもの。だから戦わないといけない・・・。でも、恋人同士、夫婦同氏。愛し合った事は、愛し合った事にしておきたい。そうやって笑いながら、男を送り出す女。この後ウルトラマン対異星人の戦いが待っていようと言えども・・・と、強引にまとめるとこんなお話。
舞台は、生活感があるも小奇麗な部屋。冒頭、2人が登場し。前説かと思いきや女は奥の方にある台所で洗い物。男は、誰ともない方向に(客席)に向かって、今まさにプロポーズの直前だと、指輪を見せながら説明し。突如始まるお話は、二人芝居の惹きつけ方としては上手い。前半の物語は、チラシにも事前ストーリーにも説明が合ったけれど、ある程度予想は出来た。ただ、ディティールというか、描写というか、重ねる虚構の事実が上手くて。コメディ要素にクスクス笑いつつも、ああこの女ほんま、ウルトラマンなんだなぁと信じ出す。で、30分。あれ、ここで終わりって事は無いよね。どう展開するんだろう、と思ったところで、男も実は宇宙人。
正直なところ「川口知夏が宇宙人だから面白いんじゃん!」と心の中でツッコミを入れつつ(笑)。青緑色の血がついた菊池泰生の顔を観ながら、どう展開させる気なのかな、と見守りつつ。細かい設定にクスクス笑いつつも、この設定どう回収するんだ、のハラハラドキドキの要素も増えて。男も実は大変な想いをしているみたいで、女に身の上話を語る訳だけれど、それはどうみても、地球侵略。お互い、どうにもお互いがやる事が共存できない、と分かって・・・。
この芝居、コメディ色が強い。見た目「テーマ性」とは、かなり遠いところにいる(ように見える)芝居な気がするので、あまり「テーマがよかった!」みたいなのを真面目に解釈しちゃうのも、若干野暮ったい気もするのだけれど。「お互いやらなきゃ行けない事で、お互いの関係を壊す事ない」っていうのは、私的にはかなり刺さった。この後、お互い40mと37mの身長になって、殺し合わなきゃいけない絶望があっても、今は今でいいよね、っていう感覚。こういうの好きだなぁ・・・と思いみていた。気が付けば、小奇麗な男の部屋だけで展開された物語だけれど、そういう絶望の中の希望、みたいなのを、見たような気がした。
前半の話に現実味を持たせるための笑かし所と。後半の展開の意外さと。結果、何も解決していないし酷くなりそうだけれど。先が絶望でもジャンプしてやる的な展開。とてもバランスのいい感情の起伏を味わった一時間だった。
とはいえ、役者さん2人芝居だから、基本2人の魅力一杯。
菊池泰生、多分初めて拝見する役者さん。前半の「プロポーズに誠実な男」像が無いと、この芝居って崩れてしまう気がするが。前半、この人が宇宙人だなんて全くもって想像しなかった。いい好青年っぷりっていうのがとても心地よく。表情、怖いけれど魅力的な表情をしているシーンがいくつか。役者さんという意味では、腹黒い役とかやったらどうなるのかなぁ・・・と思い。もっと別のタイプの役も観てみたく。
川口知夏、やみ・あがりシアター「サンカイ」で、焼酎持って男に迫っている役で気になってから、何度か拝見。笑顔が似合う役者さん。絶望しているシーンは、もっとネガティブ・・・「じゅうごの春」みたいな、絶望を見据えている目でもいいのかなぁ・・・、何てことを思いつつも(単にネガティブモードも見たいだけ)。いろんなものへの、愛の方が先に溢れてしまっている感覚は、やはり魅力的で。
と、あの時計。ピロピロする時計。あれが何なのか、ちょっと気になってる。