<観劇レポート>2223project「共演者」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 2223project |
回 | 2223project produce 劇団晴天 |
題 | 共演者 |
脚本 | 大石晟雄(劇団晴天) |
演出 | 大石晟雄(劇団晴天) |
日時場所 | 2020/01/09(木)~2020/01/15(水) 小劇場楽園(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2223PROJECT
古典作品・現代作品を問わず様々なジャンルの演劇作品上演の為、2017年旗揚げ。劇場公演の他、地域住民へ向けて、老人ホームでの詐欺啓蒙公演等も行っている。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
高校の頃は演劇部に入っていて、同級生は私たち4人だけだった。
昔は朝ドラに出たかったけど、今は深夜ドラマの脚本を書いている。同期で旗揚げた劇団の公演はとても楽しいのに、たったひとりのストーカーのせいで大変な目にあった。仕事はある。結婚はやめた。全ての画面が気持ちに水を差してくる。普通と憂鬱の区別がつかなくなってくる。楽屋は実は戦場だから、私は少しだけ落ち着く。
今夜、4人がまた集まる。
体は熱を帯びている。「わたしは気づいたわ、っていうやつの顔が一番ブス」
劇団晴天、昨冬上演の短編を、大規模加筆修正で長編化!
女が生まれて生きるまで、一番強い気持ちの話。[劇団晴天とは]
大石晟雄と鈴木彩乃の演劇ユニット。
気が付かないふりをしたい現実から目を逸らさず、辟易しない優しさを誠実に描く。無自覚な心の傷に沁みる、 明日もがんばろうと思える演劇。
シンプルな会話と本当の音がする物語で、センスでもアートでもシュールでもない、次世代のスタンダードを目指す。
2015年佐藤佐吉賞優秀脚本賞、2017佐藤佐吉賞主演女優賞(鈴木彩乃)を受賞
劇団晴天HP 劇団晴天 公式HP - 劇団晴天
観劇のきっかけ
チラシを見て興味を持ったのがきっかけです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年1月9日 20時00分〜 |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページからのリンクで、チケットを予約しました。
その際、「クレジットカード決済」を選択しました。
予約完了後に表示されたURLにアクセスすると、事前クレジットカード決済が可能でした。
そこで、再度先ほどと同じ日付を指定して、チケットを購入しました。
客層・客席の様子
男女比は半々くらい。シニアな年齢層が若干目立った気がしましたが、いろいろな年齢層の方がいました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・泣ける
・笑える
・人間ドラマ
観た直後のtweet
2223project produce 劇団晴天「共演者」90分休無。
劇団の中を描いたものだってのもあり、好き嫌い分かれる作風かもだけれど。
女達の、なんだかものすごく切実な、ヒリヒリした感覚を目撃しちゃったなぁ、って感じだった。細かな会話にクスクス笑ってるのに、笑いながら涙流れてた。超オススメ! pic.twitter.com/o1uwbxxz91— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) January 9, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
高校時代、演劇部だった女4人が劇団を作って。少し売れだした頃から、3年後、6年後の、3つの時間軸で楽屋の様子を描いた物語。脚本家のまなみ、少し体の大きいコング、美人で他の劇団で少し売れだしていたショウ、役者一筋でショウを嫌っているやっちゃん、舞台監督助手?のねむこ。彼女たちの、恋と、演劇への想いと、嫉妬と、今への愛おしさとを「楽屋」という固定した視点で綴ったお話。・・・ストーリーを書くのが難しい。5人の女の人生と、劇団を続けて行く事で沸き起こる感情を、切り取ったお話。
描いているテーマ自体は、それ程目新しいものではなくて。きっとありふれたテーマなのだろうとは思う。近いからこそに感じる憎しみは感じつつも、それでも表現をする場所や、仲間が愛おしい感覚。一つ一つの会話が、とてもチクチクと痛い感覚もあるのに、その愛おしさが表現されていて。最初、この舞台裏の人間関係はどうなっているの?と把握するのにちょっと苦労はしたものの、歳を重ねる事で、キャリアを重ねる事で、憎悪や憎しみも出てくる。その微妙な感覚を、絶妙に切り取って見せてもらった感覚だった。
クライマックスは、ショウとやっちゃんが喧嘩したのちの、まなみ。演じ方というか、生き方が、とてもぎこちなくて。すぐ謝ってばっかりだし、話すことには指示語が多くて、彼氏との別れも中途半端で。一見、何を言いたいのか分からないことが多い、まなみという人。・・・正直なところ、芝居の前半は、観ていてイライラを感じることもあったけれど。あの、よく分からない指示語の中に、その時感じている感情とか、想いとか、そういうものが溢れ出ていて。
突然出てくる「想像を超えろ」なんて言葉。あまりにも唐突なセリフなのに、ああ、この4人がもう一度つながるためには、想像を超えて行かないと無理だよな、なんていう納得感もあり。細かく間違う言葉や、小ネタのギャグに、クスクスと笑いを誘われながらも、その感情の爆発と、切実さに、思わず涙を流さずにはいられなかった。ここまで見事な「悲劇なのに喜劇」っていうシーンは、久々にお目にかかった気がする。周りからも、クスクス笑のはざまにすすり泣く声が結構して。舞台で扱われているテーマが、劇団の舞台裏、という事もあり。あ~この客席の感覚、演劇だなぁ、何てことを思っていた自分がいた。
どの役者さんも、人物像の立体化が、とてもはっきりしていた気がする。近藤陽子、最初は話し方がハッキリしなくて、ちょっと観ていてイライラする部分があったのだけれど。クライマックスのシーンに向かってくると、それが、まなみなりの精一杯なんだ、というのが腹に落ちて。人物像が突然はっきり見えた。鈴木彩乃、何が本心なのか、自分でも実は分かっていないんじゃないか、という気もする人物像。何層も重ねたような感情が、時折透けて見えて、時折全く不明瞭になって。そんな少し不安定な様子が魅力的。白石花子、ちょっと性悪な感じ。でも、とことん悪くはなり切れず、憎めもしない。芝居のクオリティに縋りついているのが、ものすごく現実味があって、ちょっと怖いな、とも思った。佐藤沙紀、クライマックスで、やっちゃんを怒鳴りつけるのがとにかくインパクトが絶大。舞台の安定感を一挙に担っていて。コングって、この劇団、この4人の中でどんな位置づけなのかな、というのが物語にあまりなかったので、もう少し彼女の物語を見たいなぁ、と思った。男優さん3人のキャスティングが、絶妙。タイプの違う男性を、奇麗に集めた感じ。
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