<観劇レポート>日本工学院専門学校 卒業公演「見よ、飛行機の高く飛べるを 」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 日本工学院専門学校 声優・演劇科 |
回 | 日本工学院専門学校 声優・演劇科/演劇スタッフ科 卒業公演 |
題 | 見よ、飛行機の高く飛べるを |
キャスト | Bキャスト |
脚本 | 永井愛 |
演出 | 須藤黄英 |
日時場所 | 2020/02/11(火)~2020/02/13(木) 片柳記念ホール(東京都) |
見よ、飛行機の高く飛べるを | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
日本工学院専門学校 声優・演劇科/演劇スタッフ科の卒業期が最後の集大成として明治時代の女子師範学校の女学生の生きざまを描きます。
卒業公演2020のご案内 | 声優・演劇科 | 専門学校 日本工学院
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
明治44年。飛行機が飛ぶ世の中になり、「新しい女性」が進出してきた時代。
山中にある小学校の教師を目指す女子師範学校の生徒たちは、閉塞された世界から新しい時代へ飛び立つことを夢見るようになる。自分たちの自由を得るため団結するものの、学校側は校訓を変え「温順貞淑」な女性を強いる。そこで生徒たちはある計画を試みるが、二者択一の現実が待ち構えていた。
観劇のきっかけ
以前からこの作品を観たいと思っていたところ、とても奇麗なチラシが目に留まったのが、きっかけです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年2月13日 13時00分〜 |
上演時間 | 160分(65分-休15分-80分) |
価格 | 無料 全席自由 |
チケット購入方法
当日直接劇場に行き、受付で、観に来た旨を伝えて券をもらいました。
客層・客席の様子
学生さんの卒業公演でしたので、学生さんが多かったです。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・会話劇
・静か
・考えさせる
・シンプル
観た直後のtweet
日本工学院専門学校 卒業公演
「見よ、飛行機の高く飛べるを」 Bキャス160分含休15分。
永井愛の有名な本も初見。割と予想した通りの物語だった。
舞台の創りと演技はとても緻密で良かったなぁ。卒公とはいえこのクオリティの公演が無料か。驚き。杉坂、光島、北川、校長、賄いの板谷が印象的。楽日! pic.twitter.com/JG8ZsA5kgK— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) February 13, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
永井愛・著の1997年の有名な脚本だが、私は作品初見。以前から観たいと思っていた作品なので、奇麗なチラシにも誘われて、足を運ぶことに。有名なホンなので、ストーリー解説は省略。かなりど真ん中ストレートプレイなので、私的には途中、ちょっと退屈してしまう部分が無きにしも非ずだけれども、緻密な構成と芝居は、とても楽しめた。
永井愛らしいストレートプレイ、というべきか。お話は、事前に読んだストーリーから、どこか予想が出来てしまって、想像したそのままのストーリーだったのが、逆に意外でもあった。明治44年。社会規範に従ってい生きていくのを息苦しいと感じる女学生と、先生の想いを、緻密に描く。勢いついた運動が、徐々に人を集めていくけれど、それぞれの思いや立場のすれ違いから、運動は、編集長の杉坂1人で続けていかなければならなくなる。女学校の上空を飛ぶ飛行機に、勇気づけられる。
ひょっとしたら、人は結局、1人でそれぞれのサガを背負っていかなければならないのかもしれない。現代にいて、芝居としてその光景を観ている我々は、劇中の女性の扱われ方の現状に、どこかやるせなさを感じつつも。「みんなといるけれど、ひとはひとり。ひとりだけれど、ひとりじない」みたいな、孤独と独立心のバランスも、空飛ぶ飛行機に象徴されていたように感じる。
何故か、映画「いまを生きる」(1989年)を思い出す。途中、先生がストライキを止めろ、と言いに来る様子なんて、正にキーティング先生そのものじゃないのかな、などと思う。また、一昨年テレビで見た、香川県立丸亀高校演劇部「フートボールの時間」は、この物語を意識して創られたのかな、とも感じた。フートボールの時間は、大正9年。約10年の差がある物語か。
日本工学院専門学校の、卒業公演という事で、無料で観劇できたのだけれども。舞台セットや照明、音効含め、非常に緻密な芝居だった。これを無料で観てしまっていいの?と思うくらい、完成度が高かった。3時間近い舞台をキッチリ創り上げる技量は、ものすごいなぁ、と思う。学内のホールだし(でも駅から激近い)、埋まりは半分くらいだったけれど、地元の人とかにももっと観てもらったらいいのに。こんな素晴らしい舞台を、ほおっておく手はないのになぁ、と思った。
気になった役者さん。大谷侑加、編集長の杉坂役。場を回す役周りのまま、焦りの感覚、どこか他人に壁を作ってしまう感覚。でも、飛行機が飛ぶという事について、他の人とは違って、心底、人間の何か、を信じている感覚が切実だった。鮫島由佳里、杉坂とは対照的で、優等生だけれどどこか心ここに非ずな感もある。ラスト、もう雑誌編集を続けられない、と切り出すのは自然に納得でき。宮本玲奈、英語の先生役。ちょっと人格分裂していた感はあったけれど、頼もしい先生と、将来を心配する先生の濃淡がとてもよく。井上千鶴、賄いの板谷役。体小さいのに、存在感抜群だった。主人公の2人以外には、名前を覚えられていない、お金持ちからするとちょっと気色の悪い貧乏な人、っていう感覚がとてもストレートに伝わってきた。大石健太、校長先生、出番はそれ程多くないのに、デカい声で威圧するところで、存在感抜群。小島美波、北川役。その他大勢的な部分もあるし、目立つ役所ではないんだけれども、何だか目が離せなかった。俗にいう「華のある」役者さんじゃないかな、と思ったのでメモ。
卒業公演、おめでとうございます。
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