<観劇レポート>追手門学院高校 TPAM公演「思考力0の日記~君は砂場~」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 追手門学院高等学校 表現コミュニケーションコース |
回 | 2020年 TPAM参加公演 |
題 | 思考力0の日記~君は砂場~ |
脚本 | 前田司郎 |
演出 | 演劇作品:前田司郎 |
日時場所 | 2020/02/14(金)~2020/02/16(日) ヨコハマ創造都市センター(YCC)(神奈川県) |
追手門学院高等学校 TPAM公演 | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
追手門学院高等学校
表現コミュニケーションコースとは?
2014年に創設された表現コミュニケーションコースは、演劇とダンスといった舞台表現を通してコミュニケーションについて考え、他者と協働する力や価値観の多様性を認め、活かし合う感性を育んでいます。演劇教育を、2013年に『ブルーシート』(飴屋法水/作・演出、第58回岸田戯曲賞受賞)をプロデュースした、いしいみちこが担当。舞踊教育をダンサーとしても活動する福岡小百合が担当している。
https://myatabe.wixsite.com/otemonhyocomyu
事前に分かるストーリーは?
ストーリーの記載は見つけられませんでした。
観劇のきっかけ
チラシを見て気になっての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年2月14日 19時00分〜 |
上演時間 | 90分(途中休憩なし) |
価格 | 2000円 全席自由 |
チケット購入方法
団体ホームページ・CoRichからのリンク先で予約しました。
当日受付で料金を払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5位でしたが、いろんな年代のお客さんがいて、客層が読めませんでした。教育関係者?先生?出演者の親御さん?高校生?他のパフォーマー?・・・と、私には未知の客席でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・笑える
・会話劇
・にぎやか
・ハッピー
観た直後のtweet
追手門学院高等学校 表現コミュニケーションコース TPAM公演
「思考力0の日記~君は砂場~」90分休無。
TPAM参加作品。うわーめっちゃ×4面白かった。こんな作品もあるんや〜。荒削りな面もあるけど、全く意識途切れずの時間。シットコムぽいのに会話がすごく自然。みんな観て観て!超オススメ!! pic.twitter.com/MDheIf4QQB— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) February 14, 2020
映像化の情報
初演は、2019年6月のようです。その時の模様を2分位にまとめた動画がありました。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。・・・多分伝わらないので、書くのがとても、ためらわれるけれど。
文化祭の準備中。練習で、10人くらいでフラダンスを踊っていたら、何だかトランス状態になってしまった。ヤバイヤバイ、と語りつつ、昨年と同じように、ダンスは「マイムマイム」に変更してもらおうと先生にかけ合う生徒。ある女の子が好きな男子生徒は、後ろに張り付いて歩いて回る。ユニコーンが見たい、というその子のために、友達がユニコーンになって追っかけまわす。階段から落ちた子は、ゾンビとなって生き返るも、顔が青い以外は普通で、保健室で心電図取ってもらったら、やっぱり心拍停止しててゾンビだった。学校のとなりの空き地に住んでる子は、実はその空き地の地下の前方後方墳に住んでる。帰国子女の女の子は、スピリチュアル部でスピリチュアルな事が出来るから、失恋の涙でゾンビに血を通わせようとするけれど・・・。
・・・と、書いても、きっと読んでいる人は何のことやら、という感じだと思う。(笑)
インプロ、即興芝居をつなぎ合わせたような形で、文化祭の準備をする高校生を表現しつつ、それに加えて、シチュエーションコメディ的に笑いも作り出している作品。作品自体にテーマ性みたいなものは薄いものの、次から次へと展開する物語に対して、話題が変な方向に進むのに、その「変なもの」が具現化して、妙に現実感のあるストーリー展開になる。観ている方はゲラゲラ笑うも、演じている方は大真面目(楽しそうだけれど)。笑い過ぎて、頭の中がしわくちゃになる。そんな演劇。とても面白かった。
いろいろ語る前に。
まず大事なのは、とにかく「ガハハ」と笑う面白さ。コメディとしての要素が、とにかく秀逸。テクニックの部分で、いろいろと感じるところはあるものの、まずは圧倒的に笑った。現実忘れて笑いまくった。・・・という、一番大きな感情は、強調しつつ。
大阪の学校ということもあるのだろう。大阪弁独特の、漫才のような笑いを取る感覚が非常に鋭い中、展開する会話が、とても自然体。ナチュラル。もし、舞台上で日常会話を忠実に再現しよう、と試みるとする。日常会話なので、言葉を間違えたり、取り違えたり、ちゃんと伝えるために同じことを二度言ったり、2人の人が同時にしゃべり出したり、っていう事を、我々は日々の生活の中で、自然とやっているのが、むしろ普通の会話だと思う。舞台に乗せる時って、あまりそういう部分を再現したりしないのが一般的だが。この芝居、「いつもの会話のぎこちなさ」が、舞台の上で何のためらいもなく普通に再現されて、交わされるのが驚き。私自身はあまり詳しくなく、沢山本数を観た訳ではないけれど、いわゆる「口語演劇」「静かな演劇」のスタイルに近い作品に思える。
途中、会話が交錯する時・・・たとえば、二人の人が同時にしゃべり出した時を考える。普通の芝居なら、役者は慌てて、会話の流れを訂正しようとしたりする。片方が喋るのをやめたり、もう一度呼吸を整えて喋り出したり。そんな「訂正」の光景をよく見る。当然のことながら演劇では、あらかじめセリフを言う順番が決まっていてるから、だけれども。この公演では、そういった事が全く起きない。同時にしゃべりだしても、それが「普通」と言わんばかりに、会話が進んでいく。言い間違えても、ありふれた日常の会話のよう、会話の中で言い間違いを訂正したり、二度言ったりして、会話は進んでいく。しかも、高校生同志の会話なので、それなりにスピードがあるなかでの、交錯感。・・・こんな感覚、初めてだなぁ、と思った。
これは、会話の間違いも含めて全て計算されて作られた会話なのだろうか。・・・だとすると、恐ろしいなぁ、とも思うのだけれど、確信が持てなかった。ある程度自由な会話を許しつつ、その反応、相手の言葉に対する反応をしっかり身に着けている、アドリブのような技術を身につけているようにも感じる。・・・種明かしは見たいような、見たくないような。どちらにしても、コメディなのに、妙に会話がリアルすぎる、という不思議な体験だった。
加えて、脚本。少し日常からズレた設定(ゾンビ・ユニコーン、など)が、徐々に立体化してくる。ズレた設定を絡めとるように伏線回収していくのが面白い。これは、元々脚本として書かれたのか・・・あるいは、即興劇を組み合わせるような形で作られたのか。・・・これも種明かしはして欲しくないが、後者ではないかなぁ、と感じる。
技巧的な部分に、いろいろ思うところがあったものの。とにかく作品としては、面白すぎる。もう一度観て、もう少しじっくり確認したい。そんな事を思った。