<観劇レポート>学習院大学演劇部 少年イサム堂「このBARを教会だと思ってる」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 学習院大学演劇部 少年イサム堂 |
題 | このBARを教会だと思ってる |
脚本 | ハセガワアユム(MU) |
演出 | 小林朔良 |
日時場所 | 2020/02/26(水)~2020/03/01(日) 学習院大学 富士見会館401演劇部アトリエ(東京都) |
このBARを教会だと思ってる | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
学習院大学演劇部「少年イサム堂」です。
ツイッターのみアカウントがあります。
https://twitter.com/dramaisamu
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
教会の告解のように、客はこのバーのマスターに秘密を打ち明ける。
相談以上犯罪未満の数々に、マスターは懺悔に笑うのを耐え、
笑い話に吐き気を呑むが、彼は酒が呑めない。━━ このバーは教会なのか、ゴミ箱なのか。
観劇のきっかけ
最近、良い評判をよく聞くからです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年2月26日 19時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 無料カンパ制 全席自由 |
チケット購入方法
無料公演ですが、CoRichで事前予約しました。
会場と同時に、先着順の入場です。
客層・客席の様子
学生劇団ですので、学生さんが多かったです。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・静か
・シリアス
・告解
観た直後のtweet
少年イサム堂「このBARを教会だと思ってる」100分休無。
静かな芝居。間の取り方、沈黙の取り方がすごくよかった。迷いと、それに対する許しの感覚はとても伝わってきた。悩みが、少しステレオタイプな描写だったかなぁ、とも思い。バーテンさん、印象的。約20年ぶりのイサム堂。アトリエ綺麗で驚き。 pic.twitter.com/PJ3TUopDzN— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) February 26, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
バー「さざなみ」。常連客の姉・三恵子と、妹・ユリカが酒を飲んでる。じきに結婚する妹は、姉から金を借りれないか頼み、渋々了承するも。妹と入れ替わりに入って、たまたま逢った妹との共通の友人、誠子は、妹と婚約者が実は冷戦状態…結婚なんて出来る状態じゃないと告げ口する。お金を借りたがっているのは、彼の行動を興信所に探らせているからだ。その事が伝わってしまい、ユリカは誠子を駅前で殴り。それを仲裁して、「告解」だと言ったバーのマスターが、SNSで拡散されて話題になる。気が付くと、バーは「告解」のキーワードと共に懺悔をする場所として繁盛する。ユリカの結婚相手と浮気しているのは、実は誠子で、でも更衣室で立ったまましかセックスしてくれないと悲哀に暮れる。姉妹の会話を偶然聞いていた、何でも屋の草谷。興信所じゃないけれど、ユリカの結婚相手を探っていたのは、草谷だった。そんな中、草谷はユリカに恋してしまう。バーのマスターは、上の階のガールズバー「フルーティ」の店員と付き合い出したのがキッカケで、辞めたいと言い出す店員に頭を痛める。ハロウィンの折、上の階のガールズバーの店員が、大麻と酒でラリッて吐いている。ガールズバーのオーナーが連れて来て、何でも屋の草谷に介抱を頼むも、それはユリカだった。ゲロが詰まって死にそうになっている所を、姉が現れて、口でゲロ吸って妹を救う・・・と、ストーリーラインだけを追いかけると、こんなお話。
「告解」初めて聞いた言葉。コッカイとは、キリスト教で「罪を告白する」儀式のことらしい。教会で、小さな小部屋に入って網ごしの神父さんに罪を告白する、ドラマなんかでよく見るアレだ、と思う。言葉は知らないけれど、何かはよく知ってた。ただ、告解もいろいろなタイプに分かれるようだけれども、私が知っているのは、網の窓がある小部屋に入るやつ。
バーを教会になぞらえて人々の告解を聞く中で、そこに関わる人の、罪だったり、その告解を、たくさんの人物を出しながらオムニバス的に出してきた作品のように、私には映る。バーのバイト君?が辞める時に、マスターが「お客様情報」を書きためたノートをまず回収しているのが面白い。既にこのバーは、告白をする場所になっている。そういうバーという空間での、お話。
メインのストーリーラインの、三恵子、ユリカ、新島、草谷の、間の取り方が絶妙。静かなシーンで、これでもか、というくらい間をとっても、なんだかそれがとても必然な間の時間だったように感じる。「弱っているのに甘えている気持ちが初めて分かった。でも謝りたい」みたいなセリフが、刺さる。それに対して、十分すぎるくらいに感情の旅をしてからの、三恵子の答えが印象に残った。
物語をあらためて俯瞰して見ると、ある一つの「どうにもならない」状況に陥った時に、事実そのものを芝居として見せる点に重点を置くことで、その事実の只中にいる人の感情を表現してい演劇、のように見えた。要は、「悲しいなら悲しい」という、ステレオタイプな事実と感情がセットになっているように感じる。・・・でも、現実の世界って、笑っているのに哀しかったり、怒っているのに嬉しかったり、事実と、その結果生じる感情って裏返っていたりすんじゃないかなぁ・・・と、私自身はそのように世界を捉えているので、どうも「悲しい」「ツライ」という事を、ストレートな出来事と共に綴られても、なかなか頭に入ってこなかった。ステレオタイプな「出来事」と共に、見せられているような錯覚に陥いってしまった。浅い・・・という語感とは、ちょっと違うけれど、結構人間の感情って、裏切ったりするんじゃないかなぁ、みたいな事を、物語中に思わずにはいられず、頭の中に中々入っていかなかったのが残念だった。
気になった役者さん。翠茉莉子、無謀な人だけれども、そこにものすごく現実感があった。ゲロして悶えている時と、ラストのシーンはとても印象的。森武優介、落ち着いた大人びた感じが印象的。なんだか、もう少しゆっくり見ていたい感触だった。ガールズバーのシーンは、どちらかというと、そのシーンを設定した脚本家なり演出家なりの、後輩への愛情を感じたりもして。
20年前、友人に連れられて観たイサム堂は、もっと汚いアトリエだったけれど。とても奇麗になっていてびっくり。(そして、門から遠くなっているのもびっくり)期せずして、卒業公演。どの方が卒業生かは、どこにも記載がなかっので、分からずも。
ご卒業おめでとうございます。
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