<観劇レポート>人間の条件「リトル・ブリーチ」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 人間の条件 |
回 | 人間の条件 第二回公演 |
題 | リトル・ブリーチ |
脚本 | ZR |
演出 | ZR |
日時場所 | 2020/03/12(木)~2020/03/15(日) スタジオ空洞(東京都) |
リトル・ブリーチ | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
東京大学の演劇サークル劇団綺畸OBのZR(@ZR_ZRC)によって立ち上げられた演劇団体。「それなしでは人間が生きていくことのできないもの」をコンセプトに、2019年旗揚げ。
https://twitter.com/thc_theater
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
母と暮らしていました。あの曇った国道沿いの町で。もう戻ることはないと思います。母と暮らすことも、もう一度母と出会うことももう、ないはずです。
観劇のきっかけ
カンパニーの方からお誘いを頂いての観劇です。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2020年3月13日 19時00分〜 |
上演時間 | 100分(途中休憩なし) |
価格 | 1500円 全席自由 |
チケット購入方法
CoRich上で予約をしました。
当日、当日料金を受付で支払いました。
客層・客席の様子
男女は5:5くらい。大学生くらいの若い方が多い印象でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
・母と娘
・考えさせる
観た直後のtweet
人間の条件「リトル・ブリーチ」100分休無。
とても切実な物語に感じた。切実が故に当事者の混乱を、表現以前にそのまま舞台にのせたナマの感覚が強かったが、後説に作者が登場で驚いた。ステレオタイプ、観念的とも違うのに、第三者感、観てて何故か迫る感情が、込み上げず、だった。解釈に私も混乱。 pic.twitter.com/baAgGZ0u86— てっくぱぱ (芝居好き) (@from_techpapa) March 13, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
第一部。東京で働く、社会人のサキ。彼氏の子を妊娠した。ちょっと余所余所しさもある姉が、入院を手伝いに来てくれた。姉は(腹違い?)、大学を出て地元の町の養護教諭になった。妹は母を残して東京へ出た。姉から漏れ聞く、母の話。そして妹と母の、2人の歴史。第二部は、サキが大学受験前の高校生。東京行きを止める母との決別。第三部は、中学時代、母子家庭で貧乏をしていた時の話。第四部は、産まれてから小学生くらいまでの、大人たちから聞こえて来る会話の物語。第五部は、母がサキを出産した時の話。時を遡りながら、断片として綴られる、母と娘の愛憎の物語。
理路整然と、淡々と進む会話劇。演劇としての作りはしっかりしているのだけれど、どこか生々しい、整理できていない感情を舞台に上げられているような感覚を持つ。作者自身が、まだ母との感情に、区切り目をつけたり、腹落ちをしていない印象。「ナマの感情」という魚が、ピチピチまな板ではねている感覚。母と娘の愛憎の物語は、これまでもいくつか見てきたけれど、この作者の視点としては、見えているもの、見えている世界が、とても切実な感情なのだと感じる。物語の最後には、しっかりと「母との決別」を描きつつも、「混乱しています」という部分が見え隠れする。
先日、ゆうめいの「弟兄」を見たこともあって、ゆうめいの「姿」を思い出す。あるいは卑近な例だけれど、鴻上尚史の「ほがらか人生相談」に出ていた、母と娘の愛憎の相談を思い出したりもする。
ただ、観劇中不思議だったのは、切実であれば、たとえ「母と娘の憎悪」という古今東西描かれているテーマでも、当事者の痛さ切実さ辛さ、みたいな部分が垣間見れるはずだという事。前述のゆうめい「弟兄」「姿」はその側面が、客の感情をも切り裂くほどに、あまりに鋭すぎる刃物だったけれど、・・・どういう訳かこの物語はそういった側面が殆どない。感情が、湧き上がってこない。舞台全体がどこか第三者的な、傍観の視点で物語を見ている感覚。観劇中、そのギャップを埋められず苦しんだ。
・・・とここまで、この物語は女性の視点で書かれたものだと信じていた。現実的な感情にあまりに近過ぎて、物語が逆にリアルに浮き上がってこないのかな、と思いながら見ていた。一言で言えば「若いな〜」という事なのだけれども。終演後、後説に出てきた作・演出のZR氏は男性だった。驚いた。彼が、「母と娘」の当事者で有り様がない。終演後に、さらに混乱を極めてしまった。
ここまで書いて、当日パンフが目に入る。この物語は実話ではない、との事。実話かはとも書く、男性作家の当事者の物語ではない、という事なのだろうけれど(当たり前だけれど)。男性が、当事者ではないのに、ここまで「混乱したような」話を書けるのだなぁ、という驚きの感情は起きつつも。立ち返ると、観ている観客の私に、それほど大きな感情の渦的なものが沸き起こらなかった事が気になってしまう。
「ステレオタイプだ」とか「観念的だ」とかの言葉で、一刀両断に切り捨てるほど、物語風〜、している訳でもない。ただ、何かよく分からないけれど、演劇として観る上で、足りてないものがある感覚も強烈に拭えない。。。。と書きつつ、その足りないものが何だか、言ってる私自身がよく分からないでいる。そんな混乱をもたらしてくれた、舞台だった。
若い劇団、若い人が多い客席。年齢層の違いによる捉え方の違いや、あるいは女性の視点で観たら別の視点があるのかもしれない、とも思った。
気になった役者さん。笹原花、ん?24歳にしては割と生活に疲れている感が満載だなぁ、と思ったけれど。第二部以降どんどん若くなっていくと、制服にちょっと無理があるはずなのに、自然に若く見えて来る。不思議な魅力だった。概念子、母役と他何役か。演じ分け方がとて上手いな、と思っただけに、どちらか一役だけを演じているのを観たいなと思う矛盾。プライドだけ高い母と、第二話で出てきた中学生が印象に残り。
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