<観劇レポート>劇団俳優座 「心の嘘」
観た芝居の感想です。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団俳優座 |
回 | 劇団俳優座No.342 |
題 | 心の嘘 |
脚本 | サム・シェパード |
演出 | 眞鍋卓嗣 |
日時場所 | 2020/09/04(金)~2020/09/20(日) 劇団俳優座5F稽古場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
劇団ホームページには紹介がありますが、長いので割愛します。
多くの俳優さんが所属し、テレビ等の出演も多い劇団です。
俳優座
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
【あらすじ】
アメリカ西部。
ある夜、フランキーは兄のジェイクから妻のベスを殺したと電話を受ける。
妄想にとらわれた嫉妬により、ベスが浮気していると思い込み、激しい怒りで強く殴りつけたという。
フランキーはベスの生死を確かめるべきだと主張するが、ジェイクは彼女の死を疑わず、聞く耳を持たない。
実際、ベスは家族のもとで脳損傷の治療を受けていた。
しかしベスは、自分の怪我はジェイクではなく家族によるものだと信じ込んでいた。
家庭内暴力が引き起こした事件をきっかけに、
歪んだ認識の中で揺れ動く二つの家族の物語。ピューリッツァー賞を受賞した「埋められた子供」などを経て、
シェパードがたどり着いた父権社会に対する新しい境地が拓かれる―
本邦初演。【解説】
脚本:サム・シェパード(1943-2017)
映画「ライトスタッフ」(1983)でアカデミー助演男優賞にノミネートされ、俳優としてもよく知られる劇作家。
数々の戯曲を発表し、60年代に書かれた作品はオフ・オフ・ブロードウェイなどで上演され、何度もオビー賞を受賞している。
1979年に書かれた『埋められた子供』でピューリッツァー賞を受賞した。
アメリカで最も重要な劇作家の一人であり、数々の作品が世界中で上演され続けている。1985年に初演を迎えた「心の嘘」では、ドラマデスク賞、ニューヨーク・ドラマ・クリティクス・サークル賞(ベストプレイ)、アウター・クリティクス・サークル賞(ベストオフブロードウェイプレイ)を受賞した。
観劇のきっかけ
ストーリーを読んで、面白いかも、と思ったのと、本邦初演というのに惹かれたのがきっかけです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2020年9月11日 13時30分〜$$ |
上演時間 | 160分(15分休憩を含む) |
座席 | 全席指定 |
チケット購入方法
おけぴというチケットサイトで、チケットを購入しました。
当日受付で、チケット代金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5。平日マチネという事もあり、シニア層のお客さんが大半でした。
観劇初心者の方へ
演劇初心者には、ちょっと難解なように感じました。
・シリアス
・会話劇
・シンプル
観た直後のtweet
劇団俳優座「心の嘘」160分含休15分。
役者さん熱演も。サム・シェパード作の戯曲が、正直私には難解だ。表面は仲違いした夫婦とそれぞれの家族の狂気の物語。でも表面的な事実だけ追えばいい訳じゃないだろうな。社会的な隠喩とか皮肉が込められてると感じるも、自信なし。確か日本初演と書かれてた。 pic.twitter.com/56Yi6inEKr— てっくぱぱ(芝居好き) (@from_techpapa) September 11, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(3/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
結婚していた二人の男女。妻を強く殴って殺したと思っている、夫ジェイク。妻ベスは、脳震盪で記憶がどこかおかしくなっているも、生きていた。それぞれの実家で、父母や兄弟と過ごす二人が、交互にシンクロしていく中で、両家族の狂気の様子が、明らかになっていく・・・というお話。
ど真ん中ストレートプレイ。あらすじとしては、確かに事前記載の通り、両家族の狂気の物語。・・・息子ジェイクを愛する母、娘ベスを愛する母は、ありふれた家族愛にも見えるし、ちょっと狂気の沙汰にも見える。夫側の母は、息子を溺愛するあまりに、妹の事をないがしろにしていて。妹との会話から明らかになる、父の真相もおぞましい。妻のベス側の母は、猟師?の父に逆らう事が出来ずに、サラリと流しながら言いなり。兄は娘をこんな風にした夫ジェイクを、殺すか誤らせるかさせようと、猟銃を振り回している。それぞれの家族の狂気的な側面を、濃厚な会話劇で、ゆっくりと描く。同じようなセリフを何度も何度も重ねながら、色鉛筆で何重にも色を重ねて、色を塗り過ぎて輪郭がクッキリし過ぎてしまったしまった塗り絵のように、家族の様相を浮き彫りにしていく。俳優座の役者さん達の演技は確かで、この狂気、を純粋に見ている分には楽しかった。
一方、観ていると、狂気を描くにはちょっと「甘さ」というか、腑に堕ちなさが、いつも付きまとう話でもある。細かい会話の端々が、現実なのか妄想なのか、あえて曖昧に描いているようにも見える。"鹿を撃とうとしたら夫の弟だった"とか、"下半身パンツで星条旗を首から下げて追いかける夫"とかは、その端的な例で、少しおとぎ話的、何かの象徴として比喩として描いているんだろうな、と思う。
では、これ結局何を言いたいんだろう・・・という「作者の言いたい事は何か」「このモチーフは何の隠喩か」みたいなことを考えていくと、途端に難解で、全く理解できない話になってしまう。頭フル回転しても、よく分からなかった、というのが正直なところだった。それを理解するためには、この作品が書かれた時代背景とかを、もっと勉強しないといけないのかも・・・という気がしたが、そこまで深く突っ込む程、興味が持てなかった・・・というのも真実だった。チラシやストーリー紹介に「父権社会」という言葉が出てくる。確かに、男たちの勝手さ、身勝手な強さ、みたいなものはストーリーの軸だけれど、そこまでテーマになるものなのかなぁ・・・という疑問も抱いてしまった。尚、戯曲自体は本邦初上演との事。
気になった役者さん。加藤佳男、頭が固くて、鹿の事しか考えていない父ちゃん役。迫力がすごい。演技とは思えない。ついつい、魅入ってしまった。
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