<観劇レポート>小松台東 「シャンドレ」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 小松台東「シャンドレ」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 小松台東 |
題 | シャンドレ |
脚本 | 松本哲也 |
演出 | 松本哲也 |
日時場所 | 2020/11/04(水)~2020/11/15(日) こまばアゴラ劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
松本哲也による演劇ユニットとして、2010年12月第一回公演「ノンアルコールで吐く」より劇団活動を開始。
2013年より劇団名を小松台東(こまつだいひがし)に変更。
全作品宮崎弁で上演されていることが特徴で、日常の中で起こる人間の機微を丁寧に、ユーモアを交えて描いています。
2019年より瓜生和成、今村裕次郎、佐藤こうじが劇団員として加入
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
あそこに行くと酔う。酒だけが原因じゃない。宮崎弁で贈る、スナックでの話。
観劇のきっかけ
スケジュールと評判を読んで、の観劇です。
過去の観劇
- 2022年11月07日小松台東「左手と右手」
- 2022年06月03日小松台東「シャンドレ」(2022年再演)
- 2021年09月03日小松台東「デンギョ-!」(2021年再演)
- 2021年05月28日小松台東 「てげ最悪な男へ」
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2020年11月6日 14時00分〜$$ |
上演時間 | 110分(途中休憩なし) |
価格 | 3500円 全席自由 |
チケット購入方法
劇団ホームページからのリンクで、当日清算で予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は8:2。男性は40代upが多し。女性の年齢は様々。
私的には、平日マチネでは、あまりお目にかからない客層構成でした。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・シリアス
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
小松台東 「シャンドレ」110分休無。
なんだろうこの嫌な感覚。「二日酔い」と「罪悪感」以外の名前が、ない。それを、目の前の舞台でねちっこく展開された感覚。痛いけどよく分かる。けど名前がない。観てて辛い。よく分かるのに名前がない。そんな絶妙な何かの切り取り方がたまらない。超オススメ! pic.twitter.com/kBsMplu2Z3— てっくぱぱ (芝居が好き・映画も好き) (@from_techpapa) November 6, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは。
宮崎の町。工務店というのか、建物の内装を請け負っている会社。外回りで実際に作業する、工員さん二人、長友と町村、元工員で、今は昇進して営業部長になった、鈴木。3人は行きつけのスナック「シャンドレ」でよく飲んでいる。鈴木は、高校の同級生でもあるスナックのママとデキていて、その事でよく分からない脅しを受けてたり。町村は独身で、スナックで飲むくらいしか楽しみがない。しかもかなり酒癖が悪いようで、酒が入るとヤバい行動を取りそう。長友は、子供も小さいし、スナックはそれ程好きという訳でもないけれど、町村に誘われて、おごってももらっているので、いつも入り浸っている。鈴木はママの店の終わるのを待つ。長友は子供が風邪なのに、町村が強引に誘ってくるので断れず。でも、結局喧嘩になってしまう。最終的には、町村と長友は、ゴルフクラブとカッターでやりあったようで・・・。3人や、周りの人(一人二役)が、酒を飲み、酒を飲まれ・・・。かなり端折ってるけど、そんな物語。
何を感じたんだろう。自分でも、今の自分の感情とか、感じ取った事を、言葉にするのが難しそうだ。酒に酔う・・・。とても身近で、近い問題なのに、観たものを上手く消化する言葉が出てこない。そんな感覚。だからこそ、演劇として観れてよかった、という感覚も同時に湧き上がる。そんな不思議だけれど、見たくないものをみた、嫌な感覚の方が大きい。
それぞれの事情を抱えて、酔う、酔わされる。その、酔っている場面の描写が、とにかくリアルで。酒飲み過ぎた翌朝の、あの「あー、やらかしちゃった、イタイな俺。オマケに頭も痛い。」的な、あの朝の独特の感覚を、ねちっこく、ねばっこく、舞台上で表現していて。あの独特な、気だるい感覚に、「二日酔い」以外の名前が、私には語彙がなくて。そのもやっとした感覚を、舞台に乗っけた感。だから、芝居には引き込まれているのに、観ていると、ホントに痛くて、辛くて。そんな感覚が、終始続く物語。作品のテーマ云々よりも、この描写だけでお腹いっぱい、な感覚。
物語は、酒についての善悪を語っている訳ではないと思う。酒を飲む動機はそれぞれだけれど、それでも飲まないとやってられないよね、な感覚。人が酒に求めてしまう何かを、肯定も否定もなく、賛美でも言い訳でもなく、ただ切り取った感覚。だからこそ、「共感」と共に、「分かってもらえるだろうか」という不安みたいなものも、つねに付きまとう。先輩に誘われて、飲みに行くのを断れない長友の、妻とのやり取りや、おそらくEDで女性と縁がない町村のストレスの発散は、どこかで自分も、同じような事に遭遇しているからこそ、付きまとってくるからこその「共感」の感情だと思う。また、男性視点の物語だし、酒を飲める人の物語だから、どちらにも当てはまらない人が観たらどう思うのかな、というような事を考えたりした。
痛くて辛い原因は、なんだろう、と考える。物語は「飲んでいる」シーンが殆どなのに、酔いが目覚めた時の事ばかり考えて、書いている不思議。ふと「罪悪感」っていう言葉を思うようになる。人は何故、酔っぱらった時に「罪悪感」を抱えながら酔うのだろうか。それは、酔っているシーンを、シラフの観客が見ているから、そう感じるのだろうか。スナックのママに「ママとHさせて」と告白するシーンがあったけれど、あれはとても分かり易い「罪悪感」。シラフになった時、きっと「罪悪感」的に振り返られるんだろうな、とか、考えてしまう。ラスト。きっと長友は、殺されてしまったんじゃないかな、という気もする(それにしては、作業服についている血が少ないかな、とも思ったけれど)。そこまでの物語でお腹いっぱいだから、何もそこまで・・・という気もしたけれど。やっぱり観ている側には、「罪悪感」という言葉が浮かんできてしまう。
もう少し日が経てば、「罪悪感」以上の感覚が出てくるかもしれないけれど、観終わった日の感覚では「罪悪感」という言葉が、どういう訳か頭の中を占めてくる作品だった。
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