<観劇レポート>アトリエ・センターフォワード 「笑劇★モンスタードリーム」

#芝居,#アトリエ・センターフォワード,#小劇場楽園


Warning: A non-numeric value encountered in /home/daredemo/nanka-ku-kai.com/public_html/wp-content/themes/luxech/shortcodes/tagkiji.inc on line 20

Warning: A non-numeric value encountered in /home/daredemo/nanka-ku-kai.com/public_html/wp-content/themes/luxech/shortcodes/tagkiji.inc on line 20

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 アトリエ・センターフォワード「笑劇★モンスタードリーム」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名アトリエ・センターフォワード
アトリエ・センターフォワード第16回公演
笑劇★モンスタードリーム
脚本矢内文章
演出矢内文章
日時場所2020/11/26(木)~2020/12/03(木)
小劇場楽園(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

アトリエ・センターフォワードは、代表・矢内を中心にステージを企画・制作するだけに留まらず、演劇人・お客様はもちろん、海外や別業種の方との交流を深め広げていく活動をしています。

アトリエ・センターフォワード

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

郊外の弁当工場で起こった大量殺人事件。通報から5時間後に自首した青年・堺清人は「皆を殺してヒーローになった」と宣う。これは殺人ではなくクレンジングなのだからと。
被害者の7人はいずれも事情を抱えながら懸命に働く善良な人々。
青年はなぜ同僚を殺すにいたったのか? 自首した真意は? そして、遺体はどこに行ったのか?警察の取調室で青年は話し始める。「おれだって努力はしたんですよ。」
生命の価値や生きる意味を生産性とコスパで量る風潮に、ユーモアを持って楽しく立ち向かう問題作。「自助>共助>公助」の時代に贈る、逆説ブラックコメディをお楽しみあれ!

観劇のきっかけ

ストーリーが気になったのと、お誘いを頂いたのがきっかけです。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年11月27日
19時00分〜
上演時間110分(途中休憩なし)
価格4000円 全席指定

チケット購入方法

Webの予約フォームから予約しました。
当日受付で代金を現金で支払いました。

客層・客席の様子

男女比は5:5。様々な年代の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・ブラックコメディ
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

前半辛かった。最後まで観ると、前半が壮大な「前振り」だという事が分かるのだけれど、それが分かるまでは観ていて辛い。前半はピクリとも笑えなかったのに、殺傷のシーン辺りからはケタケタと笑ってしまった。確かに「逆説ブラックコメディ」だった。

あらすじにもある弁当工場の刺殺事件を、主人公の犯人が、刑事に自首する体で始まる物語。主人公が全くもってダメな奴。しかもダメなのにプライドばかり高い。話しているのを見ているだけでイライラしてくる感覚。民族浄化なども口走っている。何となく、相模原障害者施設殺傷事件を思い起こさせる。弁当工場の面々は、良い人そうだけれどやっぱりどこか社会の吹き溜まり的な感を否めない場所。しつこく表現される弁当生産の過程・・・ご飯を入れて、平らにならして、肉を四枚のせて、ハランで仕切って、おしんこ乗せて、検品・・・も、妙にテンポの良い表現でコミカルなのに、何度も聞いているとウンザリしてくる。

それが、後半の遺体の遺棄場所の黙秘になると、突然見方が180度変わってくる。主人公も含めた登場人物が、上手く逃げ切れればいいのに、みたいな応援感覚に。この、180度回転する感覚。一体なぜだろう、みたいなことを考える。冒頭からイライラさせられ続けた主人公。刺そうとして刺せなかった彼に、愛着すら湧いてくる。

帰路、下北沢の町を歩きながら、いろんなことを考えた。作品の「主張」とか「テーマ」みたいなものはあるのかと考えたが、一向に思い当たらない。コメディと言い切っているし、作品自体が、何か強烈な主張したい訳ではないのかもしれない。ただ、不遇な人も、能力のない人も、生きる権利があるのに、あまりにも今の状況は酷い、ちょっとおかしいよねの感覚。それを、「社会」と「身近な仲間」の二つの面から光を当てる事で、事実として表現しようとしているのかもしれない。弁当工場で「結局すべての問題は金だ」の言葉の通り、資本主義的な論理に、全て任せてしまっている事が問題なのかな、とかも感じる。ただ、結果的には登場人物の応援モードの展開になるけれど、主人公の正義感は、どこか歪んでいる。黙秘し続ける彼。その事自体には、とてつもない恐ろしさのようなものも感じてしまう。

上手く解釈し切れないけれど、そんな、モヤモヤっとした今の社会の閉塞的な雰囲気を、全体的にはテンポの良いコメディとして、上手くまとめ上げられている感覚だった。

印象に残った役者さん。岡田篤弥、好青年だけれど嫌な奴感が、とにかくイライラとさせられて好演。石塚義髙、安定感がすごい。菅原彩香、可愛い時と人を見下すときの切り替えが悪魔的で怖いな、と思い。花美えりぃ、気配を消してる時と出している時の落差が本当にすごい。梶野稔、「戦争が起きればいいのになぁ」というセリフに、重いリアリティを感じた。


【舞台】カテゴリーの最近の投稿