<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「オレステスとピュラデス」

#芝居,#KAAT,#杉原邦生

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「オレステスとピュラデス」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
オレステスとピュラデス
脚本瀬戸山美咲
演出杉原邦生
日時場所2020/11/28(土)~2020/12/13(日)
神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにある劇場です。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT神奈川芸術劇場

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

誰も観たことのない新しいギリシャ悲劇    

『オイディプスREXXX』『グリークス』に続く、杉原邦生のギリシャ悲劇シリーズ最終章。

彼(か)の二人の青年の旅路を描く、スリリングで壮大な “ロードムービー” 演劇がいま、生まれる!

若手演出家のトップランナー杉原邦生は、2016年『ルーツ』(脚本:松井周)を皮切りに、KAAT白井晃芸術監督の委嘱で数々の話題作を発表、特に、2018年以降はギリシャ悲劇の上演に果敢に取り組んできました。2018年『オイディプスREXXX』(オイディプス王)では、3名のメイン俳優がコロス以外の8役を演じ分けるという、ギリシャ悲劇が演じられた当時のスタイルに則った上演が話題を呼びました。また、コロスの歌をラップに変換するなど斬新なアイデアの数々で、遠いギリシヤの物語を現代の私たちの眼前に鮮やかに蘇らせ、その演出力が高く評価されました。続く2019年には、上演時間10時間に及ぶ大作『グリークス』に挑み、トロイ戦争をめぐり人間の愛憎が渦巻く17年間の壮大な絵巻物を、スピーディーかつスタイリッシュに描き出し、一瞬も飽きさせることのない卓越した演出に称賛が集まりました。

そして2020年、そんな杉原がギリシャ悲劇シリーズの最終として新たな挑戦に挑みます。『グリークス』で物語の主軸となったトロイ戦争において、ギリシャ軍の総大将であったアガメムノン。その息子オレステスが、太陽神アポロンの信託を受け、姉エレクトラと従兄弟で親友のピュラデスの力を借り、母親殺しを行った後の「失われた」(現存していない)物語を創造します。

観劇のきっかけ

一昨年の「オイディプスREXXX」が凄かったからです。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年11月30日
19時00分〜
上演時間125分(途中休憩なし)
価格4500円 全席指定 A席

チケット購入方法

劇場のホームページから、「チケットかなが」に飛んで予約しました。
セブンイレブンで、チケットを受け取りました。受取時にクレジットカード決済しました。

客層・客席の様子

男女比は4:6くらい。様々な年代層の方がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・ギリシャ悲劇
・考えさせる
・ダイナミック

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

舞台空間が、とにかくインパクト絶大。鮮烈。途中から、ここKAATのホールだよな、と自分に言い聞かせながら観ていた。天井から吊り下がるバーや、舞台の骨組みをむき出しにした素舞台。これでもかというくらいにカッコイイ照明と、脚立や装置BOXなど、舞台裏にあるような道具を寄せ集めて作った無機質な舞台装置。その装置が、ギリシャ悲劇の雰囲気を、緻密なセットなんかよりもむしろ形作っていく不思議。私の舞台経験の浅さかもしれないけれど、シンプルなのに、ここまで舞台全体を惜しげもなく使って、空間を作ったうえで物語を紡いでいるのを、他の作品で観た事がない。その空間にいられるだけで、とにかく我と時間を忘れる。

そんな鮮烈な空間で展開される、ギリシャ悲劇をベースにした物語。ギリシャ悲劇にはあまり詳しくない私。ギリシャ人独特の名前を覚えるのに、ちょっと苦労する部分はあるけれど、特に前提知識が無くても観劇には支障はなかった。

描かれているのは、人間の「炎」。情熱の炎、憎悪の炎、愛情の炎、嫉妬の炎。人間のあがなえない熱い感情を、ギリシャがトロイアを侵略をして、民を捕らえて奴隷にして不幸に陥れ、復讐の連鎖を産んでいった歴史と被せて語られる物語。辺境の安息の地、タウリケへの巡礼の旅の中で、一場面一場面ごとに、テーマを被せていく。最後、プロメテウスがその炎を「消すのではなく、鎮めるのだ」といさめる。人間の感情を直視し、語り継ぎ、コントロールせよ、というのは、かなり普遍的なテーマで、観ているものの感情に刺さる。人間の戦争の歴史を思い起こす。また、歴史を語り継ぐことの重要性に思いを馳せた。

巡礼者を演じるコロスたちも、ラップで物語を紡ぐ。ギリシャ悲劇は、どうしてこんなにラップがマッチするのだろう。第五部「トロイア」で、ヤグラの上にのぼり展開する、ピュラデスとラテロスのラップバトルさながらのやり合いは、迫力満点。・・・ん、どこかで観たことあるぞ、とふと思ったのだけれど。劇団「しあわせ学級崩壊」の芝居でも、こんなやり取りを、シェークスピア作品として観た事があるな、と感想を書いてて気が付いた。

2018年に観た「オイデプスREXXX」は、最前列で観た。コロスが目の前を通る迫力はすごかったけれど、舞台全体を見渡せる位置にいなかったことが残念だった。KAATにいくつかある空間のうち、今回はスタジオではなくホールでの上演だったが、前回の反省もあり、あえて少し安いA席、2階からの席を選んだ。これが大当たりで、舞台全景が見渡せて好位置だった。役者さんの顔を見たい場合は、1階が良いかもしれないけれど、舞台全体の場合は2階の席の方が特等席かもしれない。

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